グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。今回は世界で活躍する日本出身のエンジニア、牛尾 剛氏にお話を伺う。プログラミングをやりたくて大企業に入社するも、営業的な仕事ばかり。そこで同氏が取った「ギーク的な行動」とは。
国境を越えて活躍するエンジニアにお話を伺う「Go Global!」シリーズ。今回は世界で活躍する日本のエンジニア、牛尾 剛氏にお話を伺った。エバンジェリストとして活躍していた同氏だが、子どものときは内向的で本質的には今も変わっていないという――。
聞き手は、AppleやDisneyなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広。なお本稿はインタビューの雰囲気を知っていただきたいため、話し言葉をできるだけそのまま書き起こしている。
阿部川 “Go”久広(以降、阿部川) 牛尾さん、おはようございます。この本、本当に何度も読ませていただきました(付箋をたくさん貼った牛尾氏の著書『世界一流エンジニアの思考法』を掲げて)。
牛尾 剛(以下、牛尾さん) まじすか。めっちゃありがとうございます。
阿部川 これについて深く伺ったら時間がいくらあっても足りないので、今回は牛尾さんの人となりやキャリアをお伺いします。早速ですが、子ども時代はどんなことをしていましたか。
牛尾さん 子どものときからイントラバート(内向的)ですね。“スーパー内向的”って感じゃないんですけど。友達がせっかく遊びに誘いに来てくれても断って家で本読んでいる時もある、そんなノリですね。小っさい頃も今もイントラバートです。
阿部川 本以外だと何かしていましたか。将棋、囲碁、ゲーム、スポーツ……。
牛尾さん いやぁ、あんまり記憶がないですね。僕、ADHD(注意欠陥・多動性障害)なので、忘れやすいんです。鳥のような記憶力しかないです(笑)。
阿部川 「今も内向的」というのはどういったところから感じるのですか。
牛尾さん うーん、基本1人が好きってところですかね。僕、趣味がギター、音楽、プログラミングじゃないですか。そんなんどう考えても「陰キャ」(引っ込み思案な人をやゆ、もしくは自嘲する表現)ですよね(笑)。筋トレやランニングはしてますけど、疲れた時には1人になりたいなっていうタイプです。
もちろん人嫌いとかじゃないですよ。エバンジェリストやってたぐらいなんで、どんなに人がいたとしても緊張しないんですよ。でも、それとイントラバートは別ですよね。人前でアクト(話したり説明したり)できても、家で1人でなんかする方がエナジャイズされる(Energize:元気になる、活発になる)みたいな感じです。
阿部川 子ども時代の性質がそのまま大きくなったイメージでしょうか。牛尾さんがおっしゃるように、人前に出るのが恥ずかしいとか嫌だとかではないけれど、だからといって外交的とは限りませんよね。
牛尾さん うん、全然ちゃいますね。僕の兄弟は常に周りに友達がいて、一緒にいたいと思えるタイプ。僕の場合は、なんかもう決まった人とばっかり。「自分の時間がなくなったら僕は死ぬ」みたいな。つるむのは嫌やないねんけど、自分の時間がなくなったらストレスに感じますね。
阿部川 何か共感できる気がします。小学校、中学校の時に得意な教科は何でしたか。
牛尾さん 僕は何をやってもできなかったんで、あんまり得意なものが思い付かないですね。学校の勉強は嫌いではなかったですけど、めっちゃできるわけでもなく。運動もうまくなく、みたいな。
阿部川 運動も嫌いじゃないけど、できない。
牛尾さん 全くできないですね。めっちゃ努力しているけど、成果につながらない。小学校の時はソフトボール部だったけど、下手くそで1秒も試合に出たことがなくて。中学校高校はバスケ部やったけど、同じく試合には出られませんでした。バスケはめっちゃ頑張って、毎日ランニングとかめっちゃして、誰よりも早くシューティング練習とかもしたんですけどね。努力はすんねんけど、全然成果が上がらない、人並みにすらできない。大体そういうノリでしたね。
阿部川 成果が全く上がっていないのに何で続けられたのでしょうか。
牛尾さん 後がないからです。僕は昔から「人の3倍ぐらいやったら、人が普通にやるぐらいの成果がやっと出る」みたいなノリなんですよ。だから、何かやれへんかったらもっとひどいことになるんで、もう後がないんです。だからやるしかないんですよ。すごい根性があるとか、そういうのじゃないんです。
阿部川 だから最初から人の3倍やっている、と。
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