生成AIが「過度な期待のピーク期」から「幻滅期」へ Gartnerが先進技術のハイプ・サイクル2024年版を発表自律型AIが台頭へ

Gartnerは、先進テクノロジーに関するハイプ・サイクルの最新版「Hype Cycle for Emerging Technologies, 2024」を公開した。

» 2024年08月27日 08時00分 公開
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 Gartnerは2024年8月21日(米国時間)、先進テクノロジーに関するハイプ・サイクルの最新版「Hype Cycle for Emerging Technologies, 2024」を公開した。

 このハイプ・サイクルには、創造的破壊をもたらす注目すべき25の先進テクノロジーが含まれている。これらは、Gartnerが毎年2000以上のテクノロジーと応用フレームワークを調査、分析し、そこから得た洞察に基づいて、それらの中から知っておくべき重要な先進テクノロジーとして選定したものだ。

 これらのテクノロジーは、「自律型AI(人工知能)」「開発者の生産性」「トータル体験」「人間中心のセキュリティとプライバシー」の4つの主要分野に分類されている。

 「生成AIは、『過度な期待のピーク期』を過ぎた。基盤モデルへの期待が高まっていたが、ビジネスの焦点が、ROI(投資利益率)を押し上げるユースケースへとシフトし続けているからだ」と、Gartnerのディスティングイッシュトバイスプレジデントアナリストを務めるアルン・チャンドラセカラン氏は説明する。

 「この動きは自律型AIを加速させている。現行世代のAIモデルはエージェント性を欠いているが、AI研究ラボは、目標を達成するために環境と動的にやりとりできるエージェントを、迅速にリリースしている。ただし、その発展は段階的なプロセスになるだろう」(チャンドラセカラン氏)

 さらに同氏は、AI以外の先進テクノロジーへの対応について、IT幹部に次のように提言している。「AIが注目され続けているが、CIO(最高情報責任者)などのIT幹部は、開発者、セキュリティおよび顧客体験や従業員体験に変革をもたらす可能性がある他の先進テクノロジーも調査し、まだ実証されていないテクノロジーを扱う自社の能力を踏まえて、それらのテクノロジーをどのように活用するかを戦略的に検討する必要がある」

25の要注目の先進テクノロジーをまとめたHype Cycle for Emerging Technologies, 2024(先進テクノロジーのハイプ・サイクル:2024年)(提供:Gartner)

先進テクノロジーのトレンドの4つのテーマ

自律型AI

 AIの急速な進化により、人間による最小限の監督下で稼働し、自己改良を行い、複雑な環境で効果的な意思決定ができる自律的なAIシステムが生まれている。人間に可能なあらゆるタスクを実行できるこうした高度なAIシステムは、徐々にSFから現実のものになりつつある。これらのテクノロジーには、マルチエージェントシステム、大規模アクションモデル、マシンカスタマー、ヒト型作業ロボット、自律エージェント、強化学習などが含まれる。

開発者生産性の向上

 開発者の生産性は、コードを書く速さだけに関わるものではない。開発者の効果的なコミュニケーションやコラボレーション、積極的かつ集中的な取り組み、尽力、楽しさ(“フロー状態”にあること)によって影響を受ける。

 「テクノロジーは、開発者がソフトウェアを設計、提供する方法を革命的に変え、かつてないほど開発者生産性を向上させている。開発者の満足度、コラボレーション、フローの改善によって利益を最大化しながら、より高品質な製品の迅速な提供を可能にしている」(チャンドラセカラン氏)

 開発者の生産性を高める先進テクノロジーには、AI拡張ソフトウェアエンジニアリング、クラウドネイティブ、GitOps、社内開発者ポータル、プロンプトエンジニアリング、WebAssemblyなどがある。

トータル体験による顧客と従業員への力づけ

 トータル体験は、顧客体験、従業員体験、マルチ体験、ユーザー体験の実践を絡み合わせることで、優れた共有体験を生み出す戦略だ。テクノロジーを活用して重要なやりとりに対応し、顧客と従業員の双方に力を与えることで、信頼性、満足度、ロイヤリティー、支持の向上を目指す。評価すべきテクノロジーとして、顧客のデジタルツイン、空間コンピューティング、スーパーアプリ、6Gなどがある。

人間中心のセキュリティとプライバシーの実現

 相互信頼の文化と、チーム間での共有リスクの認識とを醸成するセキュリティとプライバシーの手法を活用することで、組織はより強靭(きょうじん)になる。

 「セキュリティ対策は、人間が完全に安全かつ確実に行動できるという前提に依存しがちだ。だが、従業員がセキュリティと業務遂行のどちらかを優先しなければならない場合、業務遂行を優先することが多く、時には厳格過ぎるセキュリティ対策を回避することもある。人間中心のセキュリティとプライバシーは、組織のデジタル設計に強固なセキュリティとプライバシーの仕組みを織り込む」(チャンドラセカラン氏)

 人間中心のセキュリティとプライバシーをサポートする先進テクノロジーには、AI TRiSM(AIの信頼性/リスク/セキュリティマネジメント)、サイバーセキュリティメッシュアーキテクチャ、デジタル免疫システム、偽情報セキュリティ、フェデレーション型機械学習、準同型暗号(HE:Homomorphic Encryption)などがある。

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