Gartnerは、先進テクノロジーに関する最新のハイプ・サイクルを示した「Hype Cycle for Software Engineering 2023」を発表した。AIを活用した変革的なテクノロジーは、2〜5年以内に主流になり、2027年までに企業のソフトウェアエンジニアの50%が機械学習を利用したコーディングツールを使用すると予測している。
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Gartnerは2023年11月28日(米国時間)、先進テクノロジーに関する最新のハイプ・サイクルを示した「Hype Cycle for Software Engineering 2023」を発表した。これによると、「AI(人工知能)を活用したソフトウェアエンジニアリング」(AI-augmented software engineering:AIASE)「AIコーディングアシスタント」「プラットフォームエンジニアリング」などの変革的なテクノロジーは、2〜5年以内に主流になり、2027年までに、企業のソフトウェアエンジニアの50%が機械学習を利用したコーディングツールを使用するようになるという。
Gartnerのシニアディレクターアナリスト、デイブ・ミッコ氏は「AIや機械学習(ML)を活用したソフトウェアエンジニアリングは、ソフトウェアの作成、テスト、運用の方法を変えつつあり、責任あるAIの必要性が高まっている」と述べている。「プラットフォームエンジニアリングのようなプラクティスは、導入済みのシステムから得られた知見や洞察を、開発中のシステムに取り込み始めるだろう」
Gartnerは、「今後数年間にソフトウェアエンジニアリングにもたらすと予想される変革的利益は、組織のビジネスモデルに大きな影響を与え、新たな戦略や戦術を推進する可能性がある」としている。
Gartnerは、2027年までに企業のソフトウェアエンジニアの50%がMLを活用したコーディングツールを使用すると予測している。基盤モデルに基づくコード生成製品は、複雑で長い提案を生成することができ、その結果、開発者の生産性が大幅に向上する。
「ソフトウェアの需要はほとんどの組織の能力を超えているため、既存の開発者は限界に達しており、十分な速さで機能を構築することができず、仕事に満足感を見いだすこともできない」(Gartner)
AIコーディングアシスタントは、開発者の生産性と幸福感を高めるアクセラレーターとして登場しつつある。AIがアシスタントとして定型作業を処理することで、開発者はより価値の高い活動に集中することができる。これにより、組織は既存のチームでより多くの機能をより早く提供できるようになるだろう。
ソフトウェア開発ライフサイクルには、定型的な機能テストや単体テストコード、ドキュメント作成などの定型的で反復的なタスクが含まれるが、AIASEツールはこれらを自動化する。これにより、ソフトウェアエンジニアは、機能開発のような価値の高い活動に時間、エネルギー、創造性を集中させることが可能だ。
AIASEを使用する利点は、優先度が高く、複雑で、不確実なビジネスイニシアチブにソフトウェアエンジニアリングの能力を割り当てられることだ。他にも、品質チームが問題を検出し、修正を提供し、テストシナリオを自動的に生成する自己回復テストや、明白でないコードパスの開発支援などが挙げられる。
テクノロジーエコシステムの複雑性を管理するために、多くのデジタル企業がプラットフォームエンジニアリングの手法を取り入れ、開発チームや製品チームに安全なプラットフォームを提供するプラットフォームチームを設立している。プラットフォームエンジニアリングは、コストとリスクを管理しながら、プラットフォームユーザーがビジネス価値を提供できるよう、セルフサービスのツール、機能、プロセスを提供することに重点を置いている。
Gartnerは、2026年までにソフトウェアエンジニアリング組織の80%が、アプリケーションデリバリーのための再利用可能なサービス、コンポーネント、ツールの社内プロバイダーとしてプラットフォームチームを設立すると予測している。
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