エンジニアが大好きなテキストコミュニケーション、その限界仕事が「つまんない」ままでいいの?(117)(2/2 ページ)

» 2024年09月18日 05時00分 公開
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トラブルが発生したときこそ「直接会話をした方がいい」理由

 人間関係をはじめ、何かしらのトラブルが生じているとき、直接会話をするのはイヤなものです。しかし、事態が深刻であればあるほど、テキストだけでのやりとりは危険です。その理由は、大きく分けると2つあります。

 1つ目の理由は、テキストでのやりとりは情報量が少ないこと。

 僕たちは周囲の人とコミュニケーションを取るときに、言語(言葉)と非言語(声のトーンや抑揚、顔の表情やジェスチャー)の両方を使っています。一方、テキストによるコミュニケーションは言語だけです。それ以外の不足している情報は、情報を受け取った側の解釈にゆだねることになります。その結果「そんなこと、一言も言っていないのに」のように、事実とは異なるゆがんだ解釈になる場合があります。

 時々SNSで見掛けるネガティブな言葉の応酬は、こういったケースがほとんどですよね。

 一説によると、言語と非言語における情報伝達の割合は、1(言語):9(非言語)なのだそうです。実際は言語の割合が1割ということはないと思いますが、相手を理解する上で、非言語による情報が大きな意味を持つことは事実でしょう。

 例えば「ばか」という一言でも、表情が笑顔で、声のトーンが明るめなら「冗談だな」と理解できます。しかし文字でのやりとりの場合は「ばか」という言葉をそのまま受け取るしかありません。また、特にネガティブな言葉の場合、テキスト情報は、対面で聞いた言葉よりも冷たく感じる場合があります。その結果「私のことをばかだなんて……」と、実際の会話にはない解釈が頭の中を埋め尽くします。

 これが、テキストでのやりとりは早めに切り上げて、直接会話をした方がいい1つ目の理由です。

 2つ目の理由は、「ある人は知っていて、ある人は知らない」という状況が続くと、ますます不信感につながると思ったことです。

 複数人で連絡を取り合う際、グループチャットのような機能を使うと、全ての関係者が等しく情報に触れられるため、情報の不均衡を避けられます。これは、テキストコミュニケーションならではのメリットです。

 一方、今回のような「オープンの場では話しにくい会話」の場合、1対1での情報のやりとりが多くなります。その結果、一方だけとの接触機会が増えてしまい、情報の不均衡が生じてしまいます。

 「ある人は知っていて、ある人は知らない」という状況は心理的に安全ではないし、情報を知らない人にとって不信感につながります。この状況は好ましくないと感じました。

 そこで今回は、これ以上テキストコミュニケーションを継続するのはやめて、問題をこじらせる前にAさんとBさんが直接対話できる場を作った方がいいと思ったのです。

 直接話してみたら、何てことはない、ささいな言葉のすれ違いでした。お互いの誤解が解けて本当によかった。コミュニケーションの手段を早めに切り替えて正解でした。

状況に応じてコミュニケーションの手段を変える

 僕自身、テキストでのやりとりの方が断然好きなので、ついメールやチャットなどテキストコミュニケーションを選んでしまいがちです。ですが、人間関係のトラブルが起こっている場合などは、テキストでのやりとりは関係をますますこじらせてしまうことがあります。

 いくらテキストの方が好きだからといっても、固執するのは危険です。

 「あれ、最近少しかみ合わないな」「関係が悪化してきたな」と思ったら、できるだけ早い段階でコミュニケーションの手段を変えること。直接対話をすること。臨機応変さが大切です。

 とはいえ、何だかんだいっても、コミュ障の僕は一対一で話すのが苦手。できればテキストのやりとりがいいんですけどね(笑)。

筆者プロフィール

竹内義晴

しごとのみらい理事長 竹内義晴

「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティーの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。

著書「Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント(翔泳社)」「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。


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