就職に対して、期待していることは人それぞれかと思います。「一流のエンジニアになりたい」「生涯エンジニアとして働きたい」「新しいサービスや製品を開発したい」「できるだけ安定した暮らしがしたい」「大企業で働きたい」「給与や福利厚生が良い方がいい」「中小企業の方がいろいろな経験ができそう」「いろいろなチャレンジをしたいから、最初の会社は2〜3年で転職する予定」など、その期待はさまざまでしょう。
僕がいままでいろいろな経験をしてきて、就職に対してまず思うことがあるとしたら、「人生は、想定外ばかりである」ということでしょうか。就職の時点で想定したことは、最初のうちはその通りになるかもしれません。ですが、もう少し先の未来は、他にやりたいことが出てきたり、逆に「いまの仕事、合っていないかも」と思ったり、人間関係によるドラマがあったり。ぶっちゃけ、どうなるのか分からない。それが実際のところではないかと思います。
自分の経験からしてもそうです。想定内だったのは、最初、自動車会社で働いたことぐらい。その後、神奈川から新潟にUターンすることになったり、やりたいことが出てきたり、人間関係でトラブったり。こんな人生、社会人になった当初はまったく想定していませんでした。
また、僕が自動車会社に就職したとき、当時の上司からこう言われました。「うちの会社に入れば生涯安泰だぞ。つぶれることはないからな」と。ですが、いま、大手の自動車会社ですら再編真っただ中です。まさか、こんな日が来るとは思ってもいませんでした。企業は生き物だなと思います。
市場の変化もあるし、コロナ禍のような環境の変化もあります。いまどんなに勢いがある会社でも、将来どうなるかなんて誰にも分かりません……。
唯一、安定している業界があるとすれば……行政は安定しているかもしれませんね。ですが、仮に行政で情報関係をはじめとした技術系の仕事に就けたとしても、行政の場合、自分の意思にかかわらず2〜3年で担当が変わったり、配置転換があったりします。加えて、非常に速いペースで進む人口減少社会の中では、行政だって安泰だとはいえません。
そう考えると、「人生は、想定外ばかりである」(言い方を変えると、思う通りにならないこともある)というのが、就職に関して、僕がまず思うことです。
人生が想定外ばかりなのであれば、ちょっと乱暴な言い方かもしれませんが、「将来なんて、どうせどうなるのか分からないのだから、取りあえず就職できれば、就職先なんてどこでもいいんじゃないか」とも思います。
というのも、大学生の時点で「この会社に入りたい」と思う会社は、あくまでも「大学までの経験値の中での最適解」であって、「生涯の最適解」ではないからです。社会に出て、経験を積んでいくことによって見えてくる「やりたいこと」もあれば、「こうじゃないな」もあります。そもそも、経験値が少ない中では「何をやりたいのかよく分からない」という問題もあるでしょう。
ひょっとしたら、あなたの親や身近な人が「○○という会社がいいんじゃないか」といったアドバイスをしてくれるかもしれません。とはいえ、そのアドバイスだって、あくまでも「その人が経験してきた中での最適解」です。それが現代の最適解とは限りません。
それならば、大学生の時点で遮二無二なって就職先を探すよりも、「ま、どこでもいいか」と、肩の力を抜いて取り組むぐらいでもいいんじゃないか? と、ぶっちゃけ思っています。
なお、2024年10月に厚生労働省が発表した新規学卒就職者の離職状況のデータによれば、大卒の3割は「入社後3年以内」に離職しています。
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