2025年3月の更新でAndroid 15に対して、Linuxターミナルの機能が有効になった。まだ試験運用段階だが、Linuxターミナルを使った作業が可能になっている。そこで、本Tech TIPSでは、AndroidでLinuxターミナルを有効にする方法を紹介しよう。
対象:Android 15以降(Pixelシリーズ)
最近のスマートフォン(スマホ)は性能や画面解像度が高いため、ちょっとした作業ならPCを使わなくてもよくなってきている。外出先でWebサーバの設定を変更したい、といった際にスマホにインストールしたLinux環境を利用している管理者や開発者もいるのではないだろうか。
2025年3月の更新でAndroid 15に対して、Linuxターミナルの機能が有効になった。ただし、原稿執筆時点の対象はGoogleのPixelシリーズのみに限定されている。Android 16になると、広く一般のAndroid端末でも有効化されるということだ。
本Tech TIPSでは、Pixelシリーズ限定となってしまうが、AndroidでLinuxターミナルを有効化する方法を紹介しよう。
まずAndroidに対して、2025年3月の更新を適用しよう。「設定」アプリを起動し、[システム]−[ソフトウェアアップデート]−[システムアップデート]の順にタップする。「お使いのシステムは最新の状態です」と表示された場合は、その下の「Androidセキュリティアップデート」欄の日付を確認し、2025年3月5日以降の更新プログラムが適用されていることを確認する。これよりも古い日付だった場合は、右下の[アップデートを確認]ボタンをタップすると、更新プログラムの適用が開始されるはずだ。
更新が完了したら再起動されるので、再起動後に再び「設定」アプリを開く。「開発者向けオプション」を有効化する必要があるので、[デバイス情報]をタップして「デバイス情報」画面を開き、一番下の「ビルド番号」を7回タップする。これで「開発者向けオプション」が有効になる。
次に「設定」画面に戻り、[システム]をタップして「システム」画面を開く。有効化された「開発者向けオプション」が項目として追加されているはずだ。これをタップし、「開発者向けオプション」画面を開く。「開発者向けオプションを使用」欄のスイッチが「オン」になっていることを確認(「オフ」の場合は「オン」にして再起動する)し、画面をスクロール、画面の上から3分の1辺りにある[Linux開発環境]をタップする。「Linux開発環境」画面が開くので、「(試験運用版)AndroidでLinuxターミナルを実行する」欄のスイッチを「オン」にする。
これで、Linuxターミナルが有効になり、「ホーム」画面に[ターミナル]アイコンが追加される(アプリ名は「Linuxターミナル」ではなく、「ターミナル」なので注意)。機種によっては、アイコンが表示されるまで少し時間がかかることがあるようだ。
[ターミナル]アイコンをタップすると、初回のみ「Linuxターミナルをインストールする」画面が表示される。通知の許可を求めるダイアログが表示されるので、[許可]ボタンをタップする。ここで[許可しない]ボタンをタップすると、インストールができないようなので、必ず[許可]ボタンをタップすること。
通知の許可を求めるダイアログが閉じたら、「Wi-Fi使用時にのみダウンロードする」にチェックを入れて、[インストール]ボタンをタップする。
インストールが完了するとLinuxのターミナルが起動し、Linuxのコマンドが実行できるようになる。なおLinuxのディストリビューションは、Debian 12である。
試験運用ということもあり、まだLinuxのGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)アプリケーションは実行できないので注意してほしい。
Linuxターミナルは、「Android Virtualization Framework(AVF)」を利用した仮想マシンで実行される。そのため、Linuxターミナルをインストールすると、自動的に仮想ディスクが割り当てられる。デフォルトで5.9GBが割り当てられる(最大16GBまで割り当て可能)。このディスク容量を変更したい場合は、「ターミナル」アプリの右上にある[歯車]アイコンをタップし、「設定」画面を開き、[ディスクサイズを変更]をタップ、「ディスクサイズを変更」画面のスライダーで容量を変更すればよい。
ここで容量を増やすと、その分、Androidで使えるディスク容量が少なくなってしまうので、ディスク(ストレージ)容量が128GB程度と少なめなAndroidスマホの場合は注意してほしい。
前述の通り、2025年3月時点ではLinuxターミナルが有効化できるのは、Pixelシリーズに限定されている。Android 16になって、幅広く有効化されるのを待つという方法もあるが、できればすぐにでも手元の(Pixel以外の)AndroidスマホでLinux環境が使いたいという人もいるだろう。
このような場合、Androidスマホ上で実行できるLinux環境を利用するとよい。「UserLAnd」や「Termux」などがあるので、用途や好みなどで選択すればよい。
ここでは、簡単にUserLAndを使って、Ubuntuのターミナルを起動する方法を紹介しよう。
Google Playの「UserLAnd - Linux on Android」で[インストール]ボタンをタップして、AndroidスマホにUserLAndをインストールする。UserLAndを起動し、[Apps]タブの「Distribution」欄で好みのLinuxディストリビューションを「Alpin」「Arch」「Debian」「Kali」「Ubuntu」から選択する。ここでは、「Ubuntu」をタップして、Ubuntuを使ってみる。
「Please select a connection type」ダイアログが表示されるので、ここでは「Terminal」を選択し、[CONTINUE]をタップする。これでUbuntuがターミナルモードで起動し、コマンドが実行可能となる。
ターミナルからUserLAndに戻るには、ターミナルで「exit」と入力して[Enter]キーを押す。
またセッションを停止したい場合は、[Session]タブを開き、「Apps Session」欄で停止したいセッションのアイコンを長押しして、表示されたメニューの[Stop Session」をタップする。このディストリビューションを削除したい場合は、再びセッションのアイコンを長押しして、表示されたメニューで[Delete]をタップすればよい。
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