「ここでLinuxが使えたら」を解決するAndroidスマホでLinuxを実行する方法Tech TIPS

2025年3月の更新でAndroid 15に対して、Linuxターミナルの機能が有効になった。まだ試験運用段階だが、Linuxターミナルを使った作業が可能になっている。そこで、本Tech TIPSでは、AndroidでLinuxターミナルを有効にする方法を紹介しよう。

» 2025年03月14日 05時00分 公開
[小林章彦デジタルアドバンテージ]
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対象:Android 15以降(Pixelシリーズ)


AndroidスマホでLinuxを実行する AndroidスマホでLinuxを実行する
外出先でWebサーバの設定を変更したい、といった際にスマホにインストールしたLinux環境を利用している管理者や開発者もいるのではないだろうか。そのような人には便利なLinuxターミナルの機能が、Android 15に対して2025年3月の更新で有効になった。まだ試験運用段階で対象機種も絞られているが、この便利な機能を使う方法を紹介しよう。

 最近のスマートフォン(スマホ)は性能や画面解像度が高いため、ちょっとした作業ならPCを使わなくてもよくなってきている。外出先でWebサーバの設定を変更したい、といった際にスマホにインストールしたLinux環境を利用している管理者や開発者もいるのではないだろうか。

 2025年3月の更新でAndroid 15に対して、Linuxターミナルの機能が有効になった。ただし、原稿執筆時点の対象はGoogleのPixelシリーズのみに限定されている。Android 16になると、広く一般のAndroid端末でも有効化されるということだ。

 本Tech TIPSでは、Pixelシリーズ限定となってしまうが、AndroidでLinuxターミナルを有効化する方法を紹介しよう。

Linuxターミナルを有効化する方法

 まずAndroidに対して、2025年3月の更新を適用しよう。「設定」アプリを起動し、[システム]−[ソフトウェアアップデート]−[システムアップデート]の順にタップする。「お使いのシステムは最新の状態です」と表示された場合は、その下の「Androidセキュリティアップデート」欄の日付を確認し、2025年3月5日以降の更新プログラムが適用されていることを確認する。これよりも古い日付だった場合は、右下の[アップデートを確認]ボタンをタップすると、更新プログラムの適用が開始されるはずだ。

 更新が完了したら再起動されるので、再起動後に再び「設定」アプリを開く。「開発者向けオプション」を有効化する必要があるので、[デバイス情報]をタップして「デバイス情報」画面を開き、一番下の「ビルド番号」を7回タップする。これで「開発者向けオプション」が有効になる。

 次に「設定」画面に戻り、[システム]をタップして「システム」画面を開く。有効化された「開発者向けオプション」が項目として追加されているはずだ。これをタップし、「開発者向けオプション」画面を開く。「開発者向けオプションを使用」欄のスイッチが「オン」になっていることを確認(「オフ」の場合は「オン」にして再起動する)し、画面をスクロール、画面の上から3分の1辺りにある[Linux開発環境]をタップする。「Linux開発環境」画面が開くので、「(試験運用版)AndroidでLinuxターミナルを実行する」欄のスイッチを「オン」にする。

 これで、Linuxターミナルが有効になり、「ホーム」画面に[ターミナル]アイコンが追加される(アプリ名は「Linuxターミナル」ではなく、「ターミナル」なので注意)。機種によっては、アイコンが表示されるまで少し時間がかかることがあるようだ。

 [ターミナル]アイコンをタップすると、初回のみ「Linuxターミナルをインストールする」画面が表示される。通知の許可を求めるダイアログが表示されるので、[許可]ボタンをタップする。ここで[許可しない]ボタンをタップすると、インストールができないようなので、必ず[許可]ボタンをタップすること。

 通知の許可を求めるダイアログが閉じたら、「Wi-Fi使用時にのみダウンロードする」にチェックを入れて、[インストール]ボタンをタップする。

 インストールが完了するとLinuxのターミナルが起動し、Linuxのコマンドが実行できるようになる。なおLinuxのディストリビューションは、Debian 12である。

Linuxターミナルを有効化する(1) Linuxターミナルを有効化する(1)
開発者向けオプションを有効にするため、「設定」アプリの[デバイス情報]をタップして、「デバイス情報」画面を開く。
Linuxターミナルを有効化する(2) Linuxターミナルを有効化する(2)
「デバイス情報」画面が開いたら、画面をスクロールして、一番下にある[ビルド番号]を7回タップする。これで開発者向けオプションが有効になる。
Linuxターミナルを有効化する(3) Linuxターミナルを有効化する(3)
「設定」アプリの「システム」画面を開き、[開発者向けオプション]をタップする。
Linuxターミナルを有効化する(4) Linuxターミナルを有効化する(4)
「開発者向けオプション」画面で[Linux開発環境]をタップする。
Linuxターミナルを有効化する(5) Linuxターミナルを有効化する(5)
「AndroidでLinuxターミナルを実行する」欄のスイッチを「オン」にする。
Linuxターミナルを有効化する(6) Linuxターミナルを有効化する(6)
Linuxターミナルが有効になり、「ホーム」画面に[ターミナル]アイコンが追加されるので、これをタップする。
Linuxターミナルを有効化する(7) Linuxターミナルを有効化する(7)
「ターミナル」アプリが起動したら、初回のみ通知の許可を求めるダイアログが表示されるので、[許可]をタップする。[許可しない]をタップすると、先に進めないので注意してほしい。
Linuxターミナルを有効化する(8) Linuxターミナルを有効化する(8)
さらに初回のみ「Linuxターミナルをインストールする」画面が開くので、「Wi-Fi使用時にのみダウンロードする」にチェックを入れて、[インストール]ボタンをタップする。容量が567MBもあり、モバイル通信では通信容量を消費してしまうので、「Wi-Fi使用時にのみダウンロードする」にチェックを入れておいた方がよい。
Linuxターミナルを有効化する(9) Linuxターミナルを有効化する(9)
Linuxターミナルが開くので、ここでコマンドを入力する。現時点ではGUIアプリは実行できないので注意してほしい(将来的には対応予定ということだ)。
Linuxターミナルを有効化する(10) Linuxターミナルを有効化する(10)
ディストリビューションを調べると、Debian 12であることが分かる。

 試験運用ということもあり、まだLinuxのGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)アプリケーションは実行できないので注意してほしい。

Linuxターミナルで割り当てられるディスク容量を変更する

 Linuxターミナルは、「Android Virtualization Framework(AVF)」を利用した仮想マシンで実行される。そのため、Linuxターミナルをインストールすると、自動的に仮想ディスクが割り当てられる。デフォルトで5.9GBが割り当てられる(最大16GBまで割り当て可能)。このディスク容量を変更したい場合は、「ターミナル」アプリの右上にある[歯車]アイコンをタップし、「設定」画面を開き、[ディスクサイズを変更]をタップ、「ディスクサイズを変更」画面のスライダーで容量を変更すればよい。

 ここで容量を増やすと、その分、Androidで使えるディスク容量が少なくなってしまうので、ディスク(ストレージ)容量が128GB程度と少なめなAndroidスマホの場合は注意してほしい。

ディスク容量を変更する(1) ディスク容量を変更する(1)
LinuxターミナルはAndroid上の仮想環境で実行される。そのため、Linuxターミナルをインストールすると、自動的に仮想ディスクが割り当てられる。この容量を変更するには、「ターミナル」アプリの右上にある[歯車]アイコンをタップする。
ディスク容量を変更する(2) ディスク容量を変更する(2)
「設定」画面が開くので、[ディスクサイズを変更]をタップする。
ディスク容量を変更する(3) ディスク容量を変更する(3)
デフォルトでは、5.9GBが割り当てられている。最大16GBまで割り当て可能だ。用途などに応じてスライダーで容量を変更すればよい。

Pixel以外でいますぐにLinux環境を使えるようにするには

 前述の通り、2025年3月時点ではLinuxターミナルが有効化できるのは、Pixelシリーズに限定されている。Android 16になって、幅広く有効化されるのを待つという方法もあるが、できればすぐにでも手元の(Pixel以外の)AndroidスマホでLinux環境が使いたいという人もいるだろう。

 このような場合、Androidスマホ上で実行できるLinux環境を利用するとよい。「UserLAnd」や「Termux」などがあるので、用途や好みなどで選択すればよい。

 ここでは、簡単にUserLAndを使って、Ubuntuのターミナルを起動する方法を紹介しよう。

 Google Playの「UserLAnd - Linux on Android」で[インストール]ボタンをタップして、AndroidスマホにUserLAndをインストールする。UserLAndを起動し、[Apps]タブの「Distribution」欄で好みのLinuxディストリビューションを「Alpin」「Arch」「Debian」「Kali」「Ubuntu」から選択する。ここでは、「Ubuntu」をタップして、Ubuntuを使ってみる。

 「Please select a connection type」ダイアログが表示されるので、ここでは「Terminal」を選択し、[CONTINUE]をタップする。これでUbuntuがターミナルモードで起動し、コマンドが実行可能となる。

UserLAndでLinux環境を構築する(1) UserLAndでLinux環境を構築する(1)
Google Playで「UserLAnd」を検索して、インストールする。
UserLAndでLinux環境を構築する(2) UserLAndでLinux環境を構築する(2)
インストールした「UserLAnd」アプリを起動する。初回のみパーミションの許可を求めるダイアログが表示されるので、[OK]ボタンをタップする。
UserLAndでLinux環境を構築する(3) UserLAndでLinux環境を構築する(3)
通知の許可を求めるダイアログが表示されたら[許可]をタップする。
UserLAndでLinux環境を構築する(4) UserLAndでLinux環境を構築する(4)
ディストリビューションなどの選択画面が開くので、「Ubuntu」のアイコンをタップして選択する。するとデスクトップ環境の選択ダイアログが表示される。ここでは、Ubuntuのターミナルを起動するのに十分な「Minimal」を選択している。GUIアプリを実行するつもりならば、「LXDE」もしくは「XFCE」を選択するとよい。
UserLAndでLinux環境を構築する(5) UserLAndでLinux環境を構築する(5)
このダイアログでは、「Terminal」を選択する。
UserLAndでLinux環境を構築する(6) UserLAndでLinux環境を構築する(6)
Ubuntuのターミナルが起動する。Ubuntuのバージョンを調べたところ、執筆時点では「22.04.05 LTS」がインストールされているようだ。

 ターミナルからUserLAndに戻るには、ターミナルで「exit」と入力して[Enter]キーを押す。

 またセッションを停止したい場合は、[Session]タブを開き、「Apps Session」欄で停止したいセッションのアイコンを長押しして、表示されたメニューの[Stop Session」をタップする。このディストリビューションを削除したい場合は、再びセッションのアイコンを長押しして、表示されたメニューで[Delete]をタップすればよい。

ディストリビューションを削除する(1) ディストリビューションを削除する(1)
不要になったディストリビューションを削除するには、まずセッションを停止する必要がある。[Session]タブを開き、削除したいディストリビューションのアイコンを長押しする。メニューが表示されるので、「Stop Session」を選択して、セッションを停止する。
ディストリビューションを削除する(2) ディストリビューションを削除する(2)
再びアイコンを長押しすると、メニューが表示されるので、ここで[Delete]を選択すると、ディストリビューションが削除できる。

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