キャリア10年超のライター、ついにAIに仕事を奪われる「この仕事はAIで内製することになりました」

10年のキャリアは、一通のメッセージで否定された。効率化の代償は、単なる仕事の失注か、自らの存在意義の喪失か――。

» 2026年02月05日 05時00分 公開
[岡田有花@IT]

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 仕事納めも終わった2025年末。実家でのんびりしていたら、取引先からメッセージが届きました。「年末だけど、新しい仕事かな?」と開いたところ……。

このお仕事は、今年いっぱいで終了します。今までありがとうございました。

 えっ!!!

 私は、企業から発注を受けて記事を納品するフリーランスのライターです。キャリアは10年以上ありますから、継続受注していた仕事の終了は何度も経験してきました。

 ただ今回は、いつもよりショックが大きかった。「この仕事はライターへの発注をやめ、AI(人工知能)で内製することになりました」と言われたからです。

 初めて「AIに仕事を奪われた」瞬間でした。

AIに仕事を奪われてショックを受けているライター(Nano Banana Proで作成。以下、同)

「AIでラクになった」と思った途端に

 ついに来たか……。

 打ち切られたのは、生成AIが普及する前から受注していた仕事でした。当初は全て手作業で書いていましたが、ここ数年はAIに草稿を書いてもらったり、情報の補足をお願いしたり、誤字脱字チェックを任せたりしていました。

 それだけに、こんな予感がありました。「クライアントが直接AIを使えば、私、いらなくなるんじゃないか?」と。

 私も、100%AIに任せていたわけではありません。生成された文章を確認し、構成が妥当か、内容が必要十分か、うそを追加していないかどうかを見て修正していましたし、ほぼ全て書き直したり、構成をまるっと変えたりすることもありました。

 原稿料分の付加価値は提供していた自負があります。ただ、生成AI普及前より、仕事の労力が減っていたことも事実。「ラクになったなあ」とありがたがっていたら、クビを切られました。

編集現場でもライターへの発注は減っている、らしい

 この件を、社員編集者の知人に話してみると、シビアな現状が見えてきました。

 彼女いわく、編集現場でもライターへの発注が減っているそうです。特に減らしているのは、既存の資料をまとめるだけの仕事。編集者がAIを使って自前でこなせるようになっているからです。

 一方で、独自の経験を基にした面白い記事が書けるライターや、綿密な取材ができる人への発注はこれまで通りだそうです。が、この分野も未来永劫(えいごう)、AIが浸食してこないとは限りません。

 私は新卒でWebメディアの記者になり、その後、独立して10年以上、ライター一本で仕事をしてきました。難しい内容をかみ砕き、分かりやすい文章に直すことが得意だと自負してきましたが、この分野、AIも得意なんです。強みがバッティングしている。

 いつ仕事がなくなるか……震えています。

「人間にしか書けないもの」とは

 プログラミングの世界は、もっと変化が早いと聞きます。AIを導入している企業では、現場のコーディングをほぼAIに任せ、人間はさらに高度な仕事を求められてきているようです。文章の世界にも、少し遅れてその流れがやってきているのかもしれません。

 AIがどんどん賢くなる時代に、私たちはどうすればいいのでしょうか。日々考える中で、気になるニュースがありました。AI企業が2026年の共通テストを、生成AIの高性能モデル3種類に解かせた結果です。

 3モデルとも9割以上得点するなど、AIの劇的な進化を裏付ける結果です。ただ、全AIが誤答したものも。国語、小説問題の心情理解です。人間の割り切れない思いをAIが理解できず、「間違いは正すべき」といった“道徳的に正しい”選択肢を回答したそうです。

 心身と五感を持つ人間が生き残る道は、このあたりにあるかもしれません。「人間にしか作れないもの」や「人間だからこそ書けるもの」に注目し、泥臭く探していくことが、「AIにできない仕事」を続ける鍵になりそうです。

「AIに仕事を奪われてショックを受けているライターの絵」を描くよう命じて、イラストレーターの仕事を奪った筆者

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