Forresterは、2030年までの米国における雇用について分析した。現在のレイオフの多くは、AI導入が主要因ではないと指摘する一方で、AIと自動化による職業再編が進むと予測している。
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調査会社のForrester Research(以下、Forrester)は2026年1月13日(米国時間)、2030年までの米国における雇用について分析した「The Forrester AI Job Impact Forecast, US, 2025-2030」を公表した。同報告書では、AI(人工知能)と自動化が雇用市場に与える影響を、短期的な誤解と中長期的な構造変化に分けて分析している。
現在、経営層やメディア、従業員の間では、AIが既に広範な失業を引き起こしているという認識が広まりつつある。2025年の米国では100万件を大幅に超えるレイオフ(再雇用を前提とした一時解雇)が発生した。
SalesforceのCEO、マーク・ベニオフ氏は同社のレイオフの一部は自社AI製品の内部利用によるものだと述べている。サンフランシスコの街頭では、「人間を雇うのをやめよう」というメッセージを掲げた、AIエージェントスタートアップArtisan AIによる議論を呼ぶ広告も見られた。
しかし、Forresterは「現時点で発生しているレイオフの大半は、景気減速やコスト削減といった財務的要因によるものであり、AIはスケープゴートにされている側面が強い」と指摘する。
多くの企業が「従業員の20%を削減し、AIに置き換える」と公言しながらも、その業務を代替できる成熟したAIアプリケーションを準備できているケースは極めて少ないのが実情だという。
これまでの雇用予測では「もうすぐAIによって大量の失業が起きる」と言われ続けてきた。2016年にAI科学者のジェフリー・ヒントン氏は「5年以内にディープラーニングが放射線科医を上回るため、放射線科医の養成をやめるべきだ」と予測したが、メイヨー・クリニックの放射線科スタッフは当時から55%増加している。
対して、2023年の前回予測以降、状況は変化した。特定の課題をより正確に解決する「エージェント型AI」が登場し、生成AIへの投資も拡大している。こうした背景を踏まえた最新の予測は以下の通りだ。
AIによる雇用の崩壊が差し迫っているわけではないものの、AIの導入が職種を再編し、働き方や顧客サービス、生活様式を変える新しい時代に入っている。
ただし、今後5年間、仕事の未来は依然として人間が中心であり続ける見通しだ。
AIはワークフローやタスクを代替していくが、タスクの集合体が必ずしも職そのものではない。企業には、AIを活用して生産性や従業員体験を向上させる人材への投資が不可欠になる。従業員がAIの浸透した職場で活躍するために必要な理解、スキル、倫理観を習得できるように支援することが、成功するAI雇用戦略の出発点になるだろう。
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