ヒューマンリソシアは、世界のITエンジニア動向に関する調査結果を公表し、総数が推計で初の3000万人を突破したことや、インドの首位独走、日本の人材供給力における構造的な課題などを明らかにした。
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総合人材サービス会社のヒューマンリソシアは2026年1月27日、世界各国のITエンジニア動向を独自に調査・分析した「2025年度版:データで見る世界のITエンジニアレポートvol.17」を発表した。同レポートは、国際労働機関(ILO)などの公表データを基に世界114カ国を対象として集計したもので、2020年から定期的に実施されている。
調査結果によると、世界のITエンジニア総数は推計3023万2000人となり、2020年の調査開始以降、初めて3000万人を突破した。前年比では63万2000人増、伸び率は2.2%増となった。前回調査での対前年伸び率が6.1%だったことから、増加率は縮小している。
国別のITエンジニア数を見ると、1位はインドで499万6000人となった。インドは前回調査で米国を抜きトップになっており、今回もその座を維持した。2位は米国で439万9000人となり、インドとの差は前回調査の39.1万人から59.7万人に拡大している。3位には推計342万人の中国が入った。これら上位3カ国で、世界のITエンジニアの約4割強を占める結果になった。
日本は154万人で、2020年の調査開始から4位を維持している。日本の対前年比の伸び率は6.9%増となり、米国(3.1%減)やドイツ(0.3%減)といったG7各国の多くが減少または微増にとどまる中で、先進国の中では際立った増加を見せた。
対前年の伸び率を国別で見ると、1位のスロバキア(50.4%増)、2位のポルトガル(26.7%増)、3位のフィリピン(24.2%増)といった国々が大きく伸長した。ウクライナと国境を接するスロバキアや、11位に入ったポーランドなど東欧諸国の上位ランクインが目立つ。この背景について同レポートでは、西欧のニアショア開発拠点としての需要や、ウクライナ情勢に伴う人材およびIT拠点の周辺国への避難・移転など、ビジネスや地政学的な要因による人材流動の影響が考えられるとしている。
米国では、2022年に前年比16.2%増を記録した後、2023年は同2.0%増、2024年には同3.1%減となった。これはコロナ禍でのデジタル需要増で急拡大した人員の調整局面にあることに加え、開発拠点の海外移転やAI(人工知能)導入による効率化の影響が表れているものと推察される。
ITエンジニアの供給源となるIT分野(情報通信技術)専攻の大学等卒業者数を見ると、米国は年間25万1000人を輩出しており、直近5年間の年平均伸び率は8.8%増と継続して増加している。対して日本は、IT分野の卒業者数は4万8000人で、卒業者数の伸びは平均2.2%増にとどまり、主要7カ国(G7)中最下位という結果になった。なおITエンジニア数1位のインドでは、2018年から2022年にかけて年平均5.7%増加しており、2022年には約55万9000人のIT卒業者を輩出している。
総就業者に占めるITエンジニア比率(IT人材の密度)を算出すると、1位はイスラエルの5.4%で、その他にはアイルランドや北欧諸国が上位に並んだ。G7ではドイツの3.1%(18位)が最も高く、日本は2.3%で29位とG7の中で最下位だった。
本調査では、現役エンジニアに対するIT卒業者数の割合を示した「新規専門人材の供給率」も算出され、米国が5.7%に対し、日本は3.1%にとどまっている。日本はITエンジニア数が前年比6.9%増と伸長している一方で、その基盤となるIT卒業者数は伸び悩んでおり、専門外からのポテンシャル採用への依存度が高いことがうかがえる。
同レポートでは、高等専門教育を受けた人材の不足を背景に、企業が理系学部以外の新卒や異職種からの採用、あるいはリスキリングを通じて人材を確保している構造的な課題を指摘している。その上で、少子化が加速しDX(デジタルトランスフォーメーション)需要が高まる日本において、ギャップを埋めるにはリスキリングの強化に加え、増加する海外IT人材の戦略的な活用が重要な選択肢になると提言している。
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