Microsoftは、AIエージェントのガバナンスとセキュリティに関する新レポート「Cyber Pulse」を公開した。同社の調査によると、Fortune 500企業の80%以上が業務でAIエージェントを活用していることが明らかになった。
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Microsoftは2026年2月10日(米国時間)、サイバーセキュリティのリスクに関する実践的な洞察とガイダンスを提供するレポート「Cyber Pulse」を公開した。
同レポートは、AI(人工知能)エージェントの可観測性(オブザーバビリティ)、ガバナンス、セキュリティ確保に向けた実践的指針を示している。
2025年11月の28日間に計測されたMicrosoftの自社テレメトリーによると、Fortune 500(米Fortune誌の売上高上位500社)の80%以上が「Microsoft Copilot Studio」や「Microsoft Agent Builder」で構築されたアクティブなAIエージェントを使用しているという。
業界別では、ソフトウェア・テクノロジー(16%)、製造業(13%)、金融機関(11%)、小売業(9%)が上位を占める。AIエージェントは技術職に限らず、営業、財務、セキュリティ、カスタマーサービス、製品イノベーションなどのワークフローで日常的に活用されている。エージェントはユーザーのプロンプトに応答する支援モードと、最小限の人間の介入で自律的にタスクを実行するモードの両方で動作している。
AIエージェントの急速な普及にもかかわらず、多くの組織では「稼働エージェント数」「所有者」「アクセスデータ」「承認状況」を把握できていない。以前から問題になっている「シャドーIT」(未承認のIT利用)に加え、「シャドーAI」が新たなリスク領域となっている。
エージェントはユーザー権限を継承し、機密データにアクセスし、大規模に出力を生成できるため、統制外で動作すると情報漏えいや不正操作のリスクが高まる。
同レポートによると、従業員の29%が未承認のAIエージェントを業務に使用しているという。アクセス管理やデータ保護、コンプライアンス(法令順守)の制御が確立される前にAI機能が展開されている実態が浮き彫りになった。
レポートでは、AIエージェントを従業員やサービスアカウントと同等の基準で管理すべきとし、ゼロトラストの3原則を一貫して適用することを推奨している。
Microsoftは、AIエージェントのオブザーバビリティとガバナンスを確立するために、組織が構築すべき5つの取り組みを次のように提示している。
Microsoftは、ガバナンスとセキュリティは相互補完的だが別領域だと位置付けている。ガバナンスは所有権、説明責任、ポリシー、監視を定義し、セキュリティは制御の適用、アクセスの保護、サイバー脅威の検知を担う。
同レポートは、「AIガバナンスはIT部門だけに、AIセキュリティはCISO(最高情報セキュリティ責任者)だけに任せるべきではない。法務、コンプライアンス、人事、データサイエンス、経営層、取締役会を含む全社横断で担うべきだ」と指摘している。
MicrosoftのSecurity部門コーポレートバイスプレジデントを務めるヴァス・ジャッカル氏は、「AIリスクを財務、運用、規制リスクと並ぶエンタープライズリスクとして扱う組織ほど、迅速かつ安全に展開できる。セキュリティとイノベーションは対立するものではなく、互いを強化するものだ」と述べている。
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