ユーザー企業の不誠実な対応や体制不備が原因でITプロジェクトが頓挫した際、責任を問われるのは、ベンダー、ユーザー企業、どちらなのでしょうか。「訴えてやる!の前に見るIT訴訟動画解説」第3弾は、現場を知らないユーザー企業担当者の「暴走」により破綻したプロジェクトの判例をピックアップ。なぜこのケースではベンダーではなく「ユーザーの責任」が重く見られたのか? 紛争解決のプロがその分岐点を解説します。
アイティメディアが運営するYouTubeチャンネル「TechLIVE」では、テキストだけでは読み解きにくいIT訴訟の核心を、動画で分かりやすくお届けしています。
シリーズ第3弾となる今回は、東京地裁で争われた「飲料製造販売業者向け基幹システム開発」を巡る裁判(平成21年5月29日判決)を解説します。
本件は、プロジェクトの途中でユーザー企業の担当者が交代したことをきっかけに状況が悪化します。後任の担当者は現場の業務を理解しておらず、前任者が積み上げた要件を無視して「僕の考えた最強のシステム」を要求。本社と工場の意見がバラバラなまま、無理な変更を繰り返した結果、プロジェクトは破綻を迎えました。
解説を務めるのは、連載「『訴えてやる!』の前に読む IT訴訟 徹底解説」の筆者、細川義洋氏。裁判所のIT専門委員も務めていた同氏が、TechLIVE編集部の鈴木記者と共に、「ユーザーの協力義務」の真意を読み解きます。
通常、ベンダーには厳しい「プロジェクト管理義務」が課せられますが、本件ではユーザー企業の「協力義務違反」が認められました。細川氏は、たとえ無理難題を押し付けるユーザー企業が相手でも、ベンダーが主導権を握るために必要な3つのポイントを挙げます。
担当者が非協力的な場合、現場のメンバーなど複数の人から話を聞いて、足りない情報を補完する。
「あなたの発言は会社の正式な意思決定である」という認識を担当者に植え付ける。窓口を一本化させ、責任を持って意見を集約させるよう促す。
ユーザー企業はステム開発の素人であることを前提に、いつまでに何をすべきかを明確に指示する。一方、ユーザー企業も専門家であるベンダーから学ぶ謙虚さが必要である。
番組冒頭では、細川氏がユーザー企業の理不尽な担当者を熱演する寸劇を披露。試作段階の「デモプログラム」を本番用と勘違いして「動かないじゃないか!」と怒鳴り散らす、現場で実際に起こり得る(?)悲劇をリアルに再現しています。
「プロジェクトの成功は、ベンダーとユーザーが同じ目的を共有して初めて成し遂げられるもの」。不毛な訴訟を避け、業務改革という本来のゴールに到達するために、IT実務者が備えておくべきマインドセットが詰まった第3弾、ぜひご覧ください。
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