RPG技術者不足で「AS/400レガシーに触れない」――生成AIで解決できるか、その検証結果Claude Codeを活用、オーエムネットワークが実践

AS/400向けのRPG技術者が不足する中、オーエムネットワークが基幹システム開発に「Claude Code」を活用した実践レポートを公開した。

» 2026年04月21日 13時00分 公開
[@IT]

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 1988年に登場し、2026年現在でも製造業や金融、流通などを中心に企業の基幹システムに使われている統合型システム「AS/400」(現IBM i)。システム開発を手掛けるオーエムネットワークの調査・推計によれば、国内で約2万社が現在も利用中とみられる。AS/400向けのプログラミング言語である「RPG」の技術者の平均年齢は50歳を超えるといい、技術者不足と属人化が課題だ。外部委託コストの増加も中小企業にとっての負担として大きくなっている。

 そうした中で同社は、生成AIツール「Claude Code」をRPGプログラム開発に活用する実践的なアプローチに取り組み、その結果をまとめたレポートを公開した。

深刻化するRPG技術者不足、「レガシーに触れない」を解消できるか

 RPG言語には特殊な構文、厳格なカラム位置制約、古い環境に依存した書き方など、独特の難しさがあるという。学習リソースも少なく、若手が「自分から学ぼう」という気持ちになりにくいとオーエムネットワークは指摘している。

 オーエムネットワークは今回の取り組みで、銀行マスター保守プログラム(3ファイル構成)を開発対象とした。

  • RPGプログラム(約700行)
    • 業務ロジック、エラーハンドリング、データベース連携を実装
  • CL(Control Language)プログラムによる制御
    • プログラム全体の起動・制御を担当
  • DDS (Data Description Specifications)ファイル
    • 画面レイアウト定義(入出力画面)

 新規登録、修正、厳格な文字種チェック(半角カナ・英数字のみ許可)、画面遷移制御などが実装機能となっている。

 開発は2段階で実施された。

第1段階:仕様書からの自動生成(約30分)

 既存RPGプログラムをサンプルとしてClaude Codeに提示し、仕様に基づく3つのプログラムファイルを自動生成する。命名規則、コメント書式、インデントスタイルまで既存コードのスタイルを完全継承する。

第2段階:環境対応と最適化(約2〜3時間)

 古いRPG環境特有の制約への適応、変数命名規則の統一、文字種チェックロジックの段階的な改善。具体的なエラーメッセージ、行番号、期待動作を共有することで、修正は数秒から数分で完了。

 同規模のプログラムを従来の人手作業で開発した場合との比較は以下の通り。

  • 初期コーディング
    • 従来の2〜3日を約30分に短縮
  • デバッグ・調整
    • 従来の1〜2日を2〜3時間に短縮
  • ドキュメント作成
    • 従来の半日〜1日を数分に短縮
  • 合計
    • 従来の4〜6日を約4時間に短縮

コスト・品質・人材への影響

 オーエムネットワークは、生成AI活用による効果として次の3点を挙げている。

コスト

 高額な外部委託に頼らず内製化できる可能性が広がる。専門人材なしで基幹系プログラムの保守・開発を継続できることは、中小企業にとって経営上のメリットとなる。

品質

 AIが生成するコードは一貫したコーディング規約が自動的に守られるため、人的ミスが大幅に減少する。属人化を防ぎ、誰が見ても読めるコードとドキュメントが同時に生成される。

人材育成

 若手エンジニアがAIをメンターとして活用することで、レガシー技術への参入障壁が下がる可能性がある。ベテランのサンプルコードをAIが学習することで、組織の暗黙知を形式知として継承できる。

完全自動化は困難、最終検証は人間の確認が必要

 生成AIツール活用による一定の効果が見込める一方で、同社は現時点での制約として以下3点を挙げている。

  • 完全自動化は困難:最終的な検証・調整は人間の確認が必要
  • 環境依存の問題:個別システムの特殊事情は都度対応が必要
  • 機密情報の取り扱い:社内機密を含む情報の入力には適切な配慮が必要

 同社は推奨される活用方法として、以下を挙げている。

  • 初期開発の高速化:骨格コードの作成に活用し、工数を大幅削減
  • 教育ツール:若手エンジニアの学習支援・メンター代替
  • ドキュメント整備:過去のレガシーコードからの仕様書自動生成

 オーエムネットワークは今回の実践を踏まえて、生成AIがレガシーシステムの開発・保守において実用的なツールとなり得る可能性を確認できたとし、技術者不足という深刻な社会課題に対し、AIとの協働という新しいアプローチが有効な解決策になると指摘している。

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