企業の関心が「対話型AI」から「AIエージェント」へと移り変わる中、ABI ResearchはNVIDIAのNemoClawを「エンタープライズにおけるAIエージェント採用を加速させるための転換点になる」との見解を示した。
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調査会社ABI Researchは2026年3月18日(米国時間)、NVIDIAの年次イベント「GTC 2026」で発表されたオープンソースのセキュリティスタック「NemoClaw」が、企業の基幹ワークフローへAIエージェントを本格的に組み込むための転換点になるとの認識を示した。
NemoClawは、パーソナルAIアシスタントのように動作するオープンなエージェントプラットフォーム「OpenClaw」に、プライバシーとセキュリティ制御機能を追加する企業向けオープンソーススタックだ。
2026年1月に正式公開されたOpenClawは、ローカルデバイスのファイルやツールに直接アクセスし、長期にわたって多段階のタスクを自律的に実行する「Claw」と呼ばれる新しいコンセプトを定着させた。GitHub史上最速の成長を記録したOpenClawは、AIが単なる「相談相手」から「実務の代行者」へと進化したことを象徴している。
しかし、ABI Researchはこの急激な普及の裏にある懸念を指摘する。ローカルデバイスのルート権限を必要とするClawの特性は、企業利用においてガバナンスとセキュリティ上の大きな障壁となる。同社は、これまでのAIエージェントブームが「テストやトレーニング」の域を出なかった背景に、「自律性と安全性のトレードオフがある」と分析する。
NVIDIAが発表したNemoClawについてABI Researchは、「OpenClawにエンタープライズグレードの安全性をもたらすガバナンスレイヤー」だと定義する。
NemoClawの中核となるのがオープンソースのランタイム「OpenShell」の存在だ。OpenShellはOpenClaw環境全体を管理するレイヤーとして、エージェントがデータにアクセスする方法やツールの使用方法、ユーザーが設定したポリシー境界内での動作を定義し、サンドボックス内で動作を完結させる。
ABI Researchは、NVIDIAがMicrosoft SecurityやCrowdStrikeといった既存のサイバーセキュリティ大手と密に連携している点に触れ、OpenShellによって「サイバーセキュリティ企業が自社の既存ツールにOpenShellをネイティブに統合できるようになる」との見解も示している。
今後の市場について、ABI Researchはさらに踏み込んだ予測を展開している。
OpenClawの生みの親であるピーター・スタインバーガー氏がOpenAIに採用された事実を踏まえ、OpenAIや競合企業であるAnthropicも、2026年以内に独自のクローズドソース版「Claw」を発表する可能性が高いと言及した。
同社の分析によれば、今後の企業向けAI市場は「オープンかクローズドか」の二者択一ではなく、両者を適材適所で使い分ける「ハイブリッドアプローチ」が主流になるという。
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