Ciscoは産業分野におけるAI活用の最新動向をまとめた年次調査レポートを公開した。工場や公益事業、交通システムなどの3分の2の組織が、既にAIを実運用環境に展開していることが明らかになった。
Cisco Systems(以下、Cisco)は2026年4月7日(米国時間)、産業分野調査レポート「2026 State of Industrial AI Report」を公開した。工場や公益事業、交通システム分野の組織が、AIの展開をいかに加速しているかを調査したものだ。
同調査は、19カ国、21の産業セクターにわたり、1000人を超えるOT(製造現場などの制御・運用システム技術)の意思決定者を対象とした。調査はCiscoがSapio Researchと共同で実施し、年間売上高が1億ドルを超える企業の意思決定者から得られた回答を集計した。
調査によれば、AIは現在、プロセス自動化や自動品質検査、予知保全、物流、エネルギー需要予測といった用途で、測定可能な業務改善効果をもたらしている。一方で、AIが物理環境においてリアルタイムかつ本番運用レベルで利用されるようになるにつれて、ネットワーク基盤やセキュリティ、IT/OTの運用モデルにおける準備不足が、組織にとって新たな課題として浮上しつつある。
産業AIは将来の検討事項から実際の展開へと移行しており、61%の組織がパフォーマンスや信頼性、セキュリティが物理的な結果に直接影響する実運用でAIを使用していると回答した。83%の組織がAIへの支出を増やす計画であり、約9割(87%)は今後2年以内に意味のある成果が得られると期待している。
AIが機械やセンサー、ビジョンシステム、自律運用システムに組み込まれるにつれて、高信頼なネットワーク接続性や無線モビリティー、予測可能なレイテンシ(遅延)、エッジコンピューティング基盤、安定した電力供給に対する要求が高まっている。こうした中で、ネットワークインフラの整備状況が、フィジカルAI(現実世界で動作するAI)の展開を左右する制約要因になりつつある。
同調査では、「AIワークロードが産業ネットワーク要件に影響を与える」と予想する組織は97%、「AIワークロードによって産業ネットワークの接続性と信頼性の要件が高まる」と予想する組織は51%、「無線ネットワーキングがAIの実現に不可欠である」と回答した組織は96%となった。
AIによって産業環境全体の接続性やデータフローが拡大する中で、セキュリティは依然として大規模展開における最大の障壁となっている。一方で、組織はAIを問題の原因ではなく、解決策の一部として捉えるようになっている。実際に多くの組織が、AIによって監視機能や脅威検知、運用レジリエンス(障害発生時の回復力)が強化されることを期待している。
調査では、「サイバーセキュリティがAI対応インフラの基盤である」と回答した組織が98%、「サイバーセキュリティがAIのスケーリングにおける最大の障害である」と回答した組織が40%、「AIが自社のサイバーセキュリティ態勢を改善すると期待する」と回答した組織が85%となっている。
IT部門とOT部門の連携が緊密な組織ほど、AI活用を大規模に拡大することへの自信が高く、物理運用を支える安定したネットワーク基盤や、前提条件となるセキュリティ対策を重視する傾向があることも分かった。加えて、AIをスケーラブルに導入・運用するためには、それを支える人材やスキルの整備が不可欠になっている。
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