“距離の壁”が消えた? 1人で重機3台制御、「IOWN」「ローカル5G」「WiGig」で遠隔操作はここまで来た大容量データの伝送時間は約8分の1

NTT、NTT東日本、大成建設は、1人の作業員が複数の重機を1台の操作卓から遠隔操作、自動制御する実証実験に成功した。IOWN APNとローカル5G、60GHz帯無線LANを組み合わせたネットワークを構築した。

» 2026年05月29日 13時00分 公開
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 NTT、NTT東日本、大成建設の3社は2026年4月10日、1人の作業員によって複数重機の遠隔操作、自動制御をする実証実験が成功したことを発表した。

 三重県内の2拠点間を、次世代通信基盤「IOWN APN」(APN:オールフォトニクスネットワーク)で接続し、さらに「ローカル5G」(第5世代移動通信システム)と60GHz帯の無線LAN技術「WiGig」を組み合わせ、1台の操作卓からメーカーの異なる“複数の重機”を操作した。

IOWN、ローカル5G、WiGigでどう実現した? 遠隔操作は新局面

 建設業界では技能者不足や長時間労働の深刻化を背景に、自動施工や遠隔施工による施工のニーズが高まっている。今回の実証では、1人の作業員が複数重機を操作できることを確認し、省人化に向けた実現可能性を示した。

 重機の高度な遠隔操作、自動制御を高度化する際には、操作の違和感をなくす低遅延で揺らぎの少ない通信(低ジッタ通信)によるリアルタイム性や遠近感の把握が不可欠だ。自動制御の重機が広い現場で安定稼働するためには、複数アングルの高精細映像を伝送できる広帯域の無線環境構築が課題となっていた。

IOWN APN、ローカル5G、WiGigの組み合わせで重機を遠隔操作

 実証期間は2026年2月2日から2月27日まで。遠隔操作拠点と3台の重機を配置した実証現場を、IOWN APNで接続した。実証現場の無線環境は、300メートル程度の広域を大容量通信でカバーする自動制御用ネットワークをローカル5Gで、複数カメラ映像や制御信号の低ジッタ伝送を行う遠隔操作用ネットワークをWiGigで構築した。

 この環境下で、油圧ショベルでの土砂掘削や積み込み、クローラー型ダンプトラックでの運搬、ブルドーザーでの敷きならしという一連の施工工程を、遠隔操作および自動制御で完結できることを確認した。重機の長距離移動や旋回動作も、安定的に遠隔操作可能であることを実証した。これにより、複数重機による施工プロセス全体を遠隔操作と自動制御で成立させられることを示した。

画像 2拠点間をIOWN APNで接続し、ローカル5GとWiGigで1人が複数重機を遠隔操作した実証構成(提供:NTT)

低遅延通信により1人で複数重機を操作可能に

 低遅延、遅延揺らぎなしのIOWN APNと大成建設の接続切替システムを活用し、通常は3人で実施する複数重機での作業を1人で遠隔操作、自動制御できることを確認した。MC(マシンコントロール)やMG(マシンガイダンス)機能も、同一敷地内での利用と同等の精度で利用可能なことを実証している。ドローン空撮で取得した大容量の現況地盤データの伝送時間は、IOWN APNの活用で従来の約8分の1に短縮できたとしている。

 WiGigではNTTアクセスサービスシステム研究所のサイトダイバーシティー技術を搭載した機器を活用し、エンドツーエンドで遅延数ミリ秒程度、ジッタ数十マイクロ秒程度を確保した。WiGigでLAN区間を代替することで、詰所と現場の無線ネットワーク構築が従来の終日作業から約1時間に短縮できることも確認した。これらにより、低遅延かつ安定した通信環境を前提に、1人で複数重機を遠隔操作、自動制御できることを示した。

2027年度にはSIP第3期のダム堆砂対策に適用

 3社は本実証の成果を踏まえ、2026年度に大型造成工事などの現場での実証を予定している。2027年度には、大成建設が戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期で取り組むダムの堆砂(たいしゃ)対策における遠隔操作、自動制御への適用を目指す。i-Construction 2.0が掲げる施工のオートメーション化の普及と、建設業界の人材不足解決への貢献を狙うとしている。

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