AI需要が高まる中で台頭するネオクラウド。Omdiaは企業がクラウドを選ぶ際、インフラの計算能力だけでは判断し切れない要素も加味する必要があると指摘する。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
AIモデルの学習や推論のためのインフラの需要が爆発的に拡大する中で台頭してきたのが、「ネオクラウド」と呼ばれる新興系のベンダー、あるいはサービスだ。企業などの組織がGPUを使用する際、クラウドとしては「Amazon Web Services」(AWS)や「Microsoft Azure」「Google Cloud」といった主要ベンダーが取り込み切れない需要の受け皿として、世界的に選択肢に上るようになっているという。
GPUの需給が逼迫(ひっぱく)する中では、まずはAI向けの十分な計算リソースを確保できるかどうかが着眼点の一つになるが、調査会社Omdiaによれば企業がAI向けのクラウドを選ぶ際は、ネットワークのリソースなどを含めて複数の観点で検討する必要があるとしている。同社が2026年4月に公開した、ネオクラウド50社を対象とした監査結果を基に確認しよう。
多くのネオクラウド事業者がAIワークロード向けに計算能力を増強してきたが、一方でネットワークインフラがボトルネックになりつつあるとOmdiaは指摘する。
AI処理の性能は、分散環境や地理的に離れた拠点間でデータを安全に処理・移動する能力に左右されることがある。Omdiaの通信業界向けB2B(企業間取引)市場を担当するリサーチディレクター、カミーユ・メンドラー氏は、ネオクラウド事業者の成否を左右するのはネットワークインフラだとした上で、「バックボーンネットワークからエッジまで、低レイテンシ(低遅延)、レジリエンス(回復力)、そしてセキュアな接続性はネオクラウド成功のための必須条件になる」と指摘している。
OmdiaはAI活用を進める企業が確認すべき点として、5つのリスク領域を挙げている。こうしたリスクはいずれも、サービスの仕様には現れにくい要素だ。だが安定したAI活用のためには、GPUインスタンスの性能ばかりでなく、これらの要素も安定性を阻害する要因となり得ることを念頭に置かなければならないだろう。
実際、ネオクラウド事業者のネットワーク能力には大きな差がある。ビットコインマイニング(暗号資産の採掘)、コンテンツ配信、Webホスティングといった事業者ごとの出自の違いが、その差につながっているという。
Omdiaは、ネオクラウド各社のネットワーク戦略は依然として流動的な段階にあると分析している。AIワークロードの拡大に伴ってネットワークの重要性が高まる中、各社は提携や買収、自社でのネットワークインフラ構築を急いでいる。
同社はネオクラウドのネットワークインフラについて以下のような傾向を指摘している。
こうしたデータが示すのは、多数のネオクラウドが乱立する一方で、その足元のネットワークは限られた大手インフラ事業者に支えられているという構造だ。こうしたネットワークインフラにおける独自性や多様性の欠如は、パフォーマンスの安定性や可用性の欠如につながる可能性がある要素として見る必要がある。
ネオクラウドはなぜ「AWS、Azureとは別物」なのか? クラウド利用の常識は静かに変わりつつある
データセンターネットワークをAIワークロードに最適化するには
「空冷」ではもう無理 AI時代のデータセンターで「液冷」を選ぶ“必然”
MicrosoftとGoogleだけじゃない、AWSのシェアを奪う「ネオクラウド」の正体
AWSの支配が揺らぎ、“新興勢”が躍進――クラウドは「専門性で選ぶ」時代?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.