IT部門はシステムやツールを導入していればよい――。こうした認識のままでは企業の変革を支え切れないと、JUASは指摘する。調査結果から見えてきた、生成AI時代のIT部門に求められる役割とは。
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一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は2026年4月24日、企業のIT投資やIT戦略の動向に関する調査「企業IT動向調査2026」の報告書を公開した。今回の調査では、生成AIの普及が進む中で、企業のIT部門に求められる役割や変化の方向性を探った。
JUASは2025年9月5日〜10月24日にかけて、東証上場企業およびそれに準じる企業4500社のIT部門長を対象に調査を実施。957社から回答を得た。
報告書では、今回の調査結果を踏まえて、JUASが生成AI時代に求められるIT部門の役割を提言している。その主な内容を見ていこう。
JUASはIT部門に対して、単なるIT導入の担当組織ではなく、デジタルトランスフォーメーション(DX)を全社に広げる「推進リーダー」としての役割を担うべきだと指摘する。IT部門はロールモデルとして、自ら生成AIを活用した業務変革を実践し、その知見や成果を全社に展開することが重要だという。
現状のDXは、業務効率化やコスト削減を重視する“守りのDX”が中心だ。今回の調査では、DX推進の目的として最も多かった回答は「既存事業のコスト削減」(36.1%)だった(図1)。ただし前年度からは6.0ポイント低下した。
新規事業の創出や収益拡大を目指す“攻めのDX”に関する回答も一定の割合を占めた。具体的には20.3%が「既存事業の収益力向上」、13.5%が「新規事業や新たな事業領域への進出、事業モデルの再構築」を挙げた。IT部門が推進リーダーとして全社のDXを主導することで、こうした取り組みをさらに後押しできるとJUASはみる。
企業がDXを推進するには、データを活用可能な状態に維持することが重要だとJUASは指摘する。その上でIT部門には、事業戦略や投資効果を踏まえながら、データや人材といった経営資源の最適な配分を主導する役割が求められるという。
調査によると、企業のIT予算は増加傾向にある。ただし円安や人件費の高騰、既存システムの維持費増加などが影響し、新たな価値創出に向けた「バリューアップ予算」の比率は横ばいだった(図2)。企業の間ではコスト増への対処と成長投資を両立させるために、IT投資の事前/事後評価を通じて投資効果を検証し、実施する案件を選別する動きがあるとJUASは説明する。
システム開発におけるQCD(品質、予算、工期)の順守状況は悪化傾向にある。JUASはその要因として、システム構成の多様化やアーキテクチャの複雑化、ベンダーのスキル不足を挙げる。こうした中、約7割の企業が内製と外部委託の使い分けを目指しているという(図3)。具体的には企画や要件定義などの上流工程を中心に内製化を進め、外部委託との役割分担を見直す動きが広がっている。
セキュリティ強化は「IT投資によって解決すべき経営課題」としての認識が広がっていると、JUASは説明する。実際の対策に目を向けると、セキュリティ製品の導入や従業員教育など、インシデントの発生を防ぐための取り組みが中心だ。復旧手順の整備や訓練といった、インシデントの発生を前提とした取り組みは十分に浸透していないという。
JUASはセキュリティについて、IT部門だけの課題ではなく、事業継続や企業競争力に関わる経営課題だと位置付ける。IT部門には、インシデントの発生を防ぐ対策に加えて、発生後の迅速な復旧を支えるレジリエンス(回復力)の強化を主導する役割が求められると提言する。
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