富士キメラ総研によると、生成AI需要を追い風に「ホスティング」が再び成長している。クラウドサービスの普及で縮小傾向にあった市場は、なぜ再び伸び始めたのか。AI時代に起きているITインフラ選びの変化を探る。
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富士キメラ総研は2026年5月11日、国内データセンター市場の調査結果をまとめた「データセンタービジネス市場調査総覧 2026年版 市場編」の概要を公表した。データセンターサービス11品目とデータセンター関連製品25品目の市場を分析した結果だ。2025年10月〜2026年2月に、ヒアリングや関連文献、データベースを活用して調査を実施した。
データセンターサービス市場は、生成AIの急速な普及や企業のクラウドサービス移行などを背景に成長し、2026年には5兆円超、2030年には7兆円近い規模になると富士キメラ総研は予測する。これまで市場をけん引してきたメガクラウドベンダー向けのハイパースケールデータセンターに加えて、数十〜数百メガワットの大規模データセンターから数メガワットの小規模データセンター、コンテナ型データセンターまで、さまざまな新設計画が進行している。
国は震災リスクへの備えや地域活性化などの観点から、データセンターの地方分散を推進している。既存の電力インフラと通信インフラを効率的に活用する「ワット・ビット連携」や、新たなインフラ整備によってギガワット級のデータセンター集積地を造成する「GX戦略地域」などの取り組みがある。
サービス別では、データセンター事業者が専有サーバを提供する「ホスティング(基本)」が、2025年に前年比2桁成長を見込む(図)。背景にあるのは、企業がITインフラに求める要件の変化だ。
ホスティング市場は、クラウドサービスの普及によって新規案件が減少していたものの、生成AI需要の急増を背景にGPU(グラフィックス処理装置)サーバの利用ニーズが高まっている。GPUサーバのユーザー企業は専有インフラを求める傾向があり、クラウドサービスだけではなく従来型のホスティング利用が増えているという。
データセンター事業者がユーザー企業のIT機器を預かる「ハウジング(基本)」も拡大している。クラウドサービスへの移行は逆風となっているものの、生成AIの学習用途システムや機密性の高いシステムに加えて、通信量の増加に伴うネットワーク機器向けラックの需要拡大が追い風となっている。SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)などを展開する、海外Webサービス事業者による国内データセンターへの大型投資も市場を押し上げている。
IaaS(Infrastructure as a Service)やPaaS(Platform as a Service)といったクラウドサービスも成長が続く。新規システム開発用途で定着している他、既存オンプレミスインフラからの移行も進む。生成AI向けではGPUクラウドサービスの利用が広がっており、学習やファインチューニング(追加学習による微調整)用途での需要増加も市場拡大を支えている。
地域別のデータセンター総床面積は、主要事業者やユーザー企業の拠点が集まる関東が60%以上を占める。関東地域では千葉県印西市や東京都西部、神奈川県川崎市、同県相模原市などで開発が活発だ。東京都心部では、クラウドサービスやIX(インターネット接続事業者同士を相互接続する拠点)との接続を目的としたデータセンターの利用も進んでいる。
関西では大阪府や京都府、奈良県、兵庫県などがデータセンター開発の主要エリアとなっている。2026年にはAI向け大規模データセンターの開発計画がある。北海道や九州でも、数百MW規模のデータセンター開発計画が進む。
生成AI需要を背景に市場が急拡大しているコンテナ型データセンターは、機器の増設がしやすく、段階的に拡張しやすいことが特徴だ。一般的な建屋型データセンターと比べて建設期間を短縮しやすい利点もある。生成AIサービス向けGPUサーバの設置拡大や新規参入事業者の増加が、市場拡大を後押ししている。
課題は、コンテナ型データセンターを設計できる技術者の不足だ。近年参入したデータセンター事業者の中には、市場の黎明(れいめい)期からコンテナ型データセンター事業を手掛けてきた事業者から技術支援を受けているところもあるという。
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