設計開発データの急増を受けて、マツダはストレージインフラを刷新。テープ装置へのデータ退避を不要にしつつ、容量単価を従来の約10分の1に削減した。実現のポイントを紹介する。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
マツダはスケールアウトNAS(ネットワーク接続ストレージ)を利用して、統合ストレージインフラを構築した。数式や物理モデルを基にしたモデルベース開発やCAD(コンピュータ支援設計)、アーカイブなど、複数の用途のストレージを集約したインフラだ。
モデルベース開発を約30年にわたって推進してきたマツダでは、実験の計測データや制御システムデータの管理が大きな課題となっていた。先進運転支援システムの進化に伴い、設計開発データは年間数百TBのペースで急増していたという。
マツダは従来、ストレージアレイとテープ装置を組み合わせてデータを管理していた。この構成ではデータの読み出しに時間がかかることに加えて、運用管理も煩雑になっていたという。CAD用ストレージについても、運用プロセスの老朽化やコストの高止まりといった課題を抱えていた。
これらの課題の解決に向けて、マツダはストレージインフラの刷新を決断した。Dell TechnologiesのスケールアウトNASを中心とした製品や機能を導入し、統合ストレージインフラを構築。2025年12月に本格稼働を開始した。その構成と導入効果を見ていこう。
マツダは統合ストレージインフラにスケールアウトNAS「Dell PowerScale」を利用することで、ノードを追加するだけで容量と性能を拡張できるようにした。メインには「Dell PowerScale A3000L」、バックアップ用には「Dell PowerScale A300L」を採用。Dell PowerScaleの専用管理ツール「PowerScale InsightIQ」とスナップショット機能「SnapshotIQ」も活用し、ストレージの状態や利用状況を監視できるようにするとともに、業務データの誤消去に備えた。
Dell PowerScaleを選定する上で、マツダはモデルベース開発用ストレージに求める大容量と、CAD用ストレージに求める高い処理性能という、異なる要件を両立可能な拡張性を評価した。管理ツールの充実度に加えて、以前に解析業務用のスーパーコンピュータをDell Technologies製品で構築した際の品質と信頼性も、採用を後押ししたという。
統合ストレージインフラの構築により、マツダは複数用途のデータを一元的に管理できるようになった。コスト削減も実現し、同社の社内テストではストレージの容量単価を従来の約10分の1に削減できたという。新インフラへのデータの完全移行により、ストレージの総容量を従来の約4P(ペタ)Bから約10PBへと約2.5倍に拡大。テープ装置へのデータ退避を不要にした。
容量不足や性能低下に関する従業員からの問い合わせ対応もなくなり、運用管理にかかる時間や工数も大幅に削減したという。Dell PowerScaleの筐体(きょうたい)間レプリケーション機能「SyncIQ」によるバックアップも実現し、重要な設計開発データの保護も強化した。
マツダは今回の統合ストレージインフラについて、将来的には生成AIなどのAI活用を支えるデータレイクとして活用する考えだ。AI活用では関連するデータの収集が大きな課題となる中、同社はデータを新インフラに集約することで、データに基づく新たな知見の創出を見込む。Dell Technologiesの日本法人であるデル・テクノロジーズが2026年5月20日に、この事例を発表した。
AIは「脱メインフレーム」を促し、実は“レガシー維持”にも使える その実践例とは
日立が「脱・PC購入」 17万台のグループ向けPCを“サブスク”で調達へ
ぐるなびが“脱VPN” 「リスクが減り、コストも4割減」をどう実現?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
編集部からのお知らせ