「AIも1人作業でサボり出す」 Claude Code、3つの失敗モードトークン多用「動的ワークフロー」の注意点

Anthropicは、「Claude Code」の「動的ワークフロー」機能の仕組みと実践的な活用パターンを解説したブログ記事を公開した。

» 2026年07月15日 07時00分 公開
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 Anthropicは2026年6月2日(米国時間)、エージェント型コーディングツール「Claude Code」に導入した「動的ワークフロー」機能の仕組みと実践的な活用パターンを解説したブログ記事を公開した。

 動的ワークフローにより、Claudeはタスクに合わせたマルチエージェントのハーネスをその場で自ら作成し、オーケストレーション(調整)できる。

単一のコンテキストウィンドウの限界による「3つの失敗モード」とは

 Claude Codeが標準ハーネスでタスクを処理する場合、計画と実行を単一のコンテキストウィンドウ内で行う必要がある。これは多くのコーディングタスクで非常に効果的だが、長時間にわたるタスク、大規模並列処理を伴うタスク、高度に構造化されたタスク、敵対的なタスクではうまくいかない場合がある。

 Claudeは単一のコンテキストウィンドウで複雑なタスクに長時間取り組むほど、以下3つの失敗モードに陥りやすくなるからだ。

エージェントの怠慢

 複雑な複数パートのタスクを完了する前に作業を止め、部分的な進捗(しんちょく)で作業完了を宣言してしまう。例えば、セキュリティレビューの50項目のうち35項目だけに対応するなど。

自己優先バイアス

 自身の結果や発見を優先する傾向。評価基準に照らして検証や判断をするよう求められた場合に顕著になる。

目標のドリフト

 コンテキストの圧縮後などに、多くのターンを経るうちに当初の目標への忠実度が徐々に損なわれていく。要約のステップごとに情報が失われるからだ。

ワークフローによる対処

 これらの問題に対処するには、ワークフローの作成により、それぞれ独自のコンテキストウィンドウと独立した目標を持つ複数のClaudeサブエージェントをオーケストレーションする必要がある。

 従来も、「Claude Agent SDK」や「claude -p」を使って静的なワークフローを構築することはできた。だが、静的ワークフローはあらゆるエッジケースをカバーしなければならず、汎用(はんよう)的なものになりがちだ。

 Claude Codeの標準ハーネス(モデルを呼び出し、ツール実行を処理し、エージェントの動きを制御する仕組み)はコーディング向けに設計されているが、それ以外の多様なタスクにも有効だ。ただし、リサーチ、セキュリティ分析、エージェントチーム、コードレビューといった種類の作業で最高の性能を引き出すには、Claude Code上にカスタムハーネスを構築する必要があった。

 Anthropicによると、「Claude Opus 4.8」により、Claudeは個々のユースケースに合わせたカスタムハーネスを自ら作成する動的ワークフローを可能にする知能を備えるに至ったという。

静的ワークフローと動的ワークフローの違い(提供:Anthropic

「動的ワークフロー」とは何か

 動的ワークフローを使えば、ClaudeがClaude Code上にハーネスを動的に作成し、これらの問題をよりネイティブに解決できるようになる。ワークフローは保存、共有、再利用も可能だ。

 技術的には、動的ワークフローは、サブエージェント(※)の生成と調整を支援する幾つかの特殊な関数を含むJavaScriptファイルを実行する仕組みだ。データ処理用にJSON(JavaScript Object Notation)を利用でき、「Math」「Array」といった標準のJavaScript関数も利用できる。

※メインのClaude Codeセッションから独立して動作する自己完結型のClaudeインスタンス。それぞれが独自のコンテキストウィンドウを持ち、ファイルの読み取り、コードの探索、変更などを独立して行う。タスクが完了すると、関連する結果のみをメインの会話に返す。

動的ワークフローで利用できる特殊な関数(提供:Anthropic

 動的ワークフローは、「各エージェントがどのモデルを使用するか」「サブエージェントを固有のワークツリーで実行するかどうか」を決定できる。これにより、Claudeは各ステップに必要な知能レベルと分離度を選択できる。ワークフローは、中断されても、セッションを再開すれば、中断した箇所から続行することもできる。

よく使われる6つのワークフローパターン

 動的ワークフローは、プロンプトでClaudeに作成を依頼するか、あるいはトリガーワード「ultracode」を用いてClaude Codeに作成させることで使用できる。Anthropicは、Claudeがワークフロー構築時に使用したり、組み合わせて作成したりする一般的な6つのワークフローパターンを紹介している。

よく使われる6つのワークフローパターン(提供:Anthropic

【1】分類して実行

 分類エージェントがタスクの種類を判定し、それに応じて作業を異なるエージェントや動作にルーティングする。

【2】ファンアウトと統合

 タスクを多数の小さなステップに分割し、各ステップでエージェントを実行した後、構造化された出力をマージする。

【3】敵対的検証

 生成された各エージェントに対し、別のエージェントが特定の基準に照らして出力を敵対的に検証する。

【4】生成とフィルタリング

 多数のアイデアを生成した上で、評価や検証によってフィルタリングし、重複を除去して、最高品質の結果を返す。

【5】トーナメント

 同じタスクに異なるアプローチで挑むN個のエージェントを生成し、勝者が決まるまで、判定エージェントが結果を一対比較で評価する。

【6】完了するまでループ

 作業量が不明なタスクでは、決まった回数のパスを実行するのではなく、停止条件が満たされるまでエージェントの生成を繰り返す。

動的ワークフローの主なユースケース

 Anthropicは、動的ワークフローの主なユースケースとして以下を挙げている。ワークフローは非技術的な作業において、さらに有用な場合もあると指摘している。

移行とリファクタリング

 JavaScriptランタイムの「Bun」は、ワークフローを使って「Zig」から「Rust」に書き直された。こうした移行やリファクタリングで重要なのは、呼び出し箇所やモジュールといった単位にタスクを分解し、ワークツリー内で修正ごとにサブエージェントを生成し、別のエージェントに変更を敵対的にレビューさせてからマージすることだ。

ディープリサーチ

 Claude Codeの「/deep-research」(詳細調査)スキルは、動的ワークフローを使用している。Web検索をファンアウトし、ソースを取得し、その主張を敵対的に検証し、出典付きのレポートに統合するというものだ。

詳細検証

 1つのエージェントがレポート内の全ての事実主張を特定し、サブエージェントが各主張を詳細にチェックする。

レポート内の事実主張を網羅的にチェックする詳細検証ワークフロー(提供:Anthropic

大規模ソート

 1000件を超える項目を1つのプロンプトでソートすると、品質が低下するため、一対比較を繰り返すトーナメント方式や、並列のバケットランク付けを使用する。

トーナメント方式で大量の項目をソートするワークフロー(提供:Anthropic

ルール順守

 Claudeが見落としがちなルールごとに、検証エージェントを一つずつ割り当てる。逆方向の活用も可能であり、繰り返している修正を過去のセッションから抽出し、「CLAUDE.md」のルールへと蒸留できる。

ルールごとに検証エージェントを割り当てるルール順守のワークフロー(提供:Anthropic

根本原因調査

 例えば、デバッグにおいて、エージェントがログ、ファイル、データといった互いに重ならない証拠から仮説を生成し、各仮説を検証者と反証者の討議にかける。このアプローチは、売り上げ減少の理由など、コーディング以外の事後分析にも適用できる。

大規模トリアージ

 バックログの各項目を分類し、既存の追跡内容との重複を除去した上で、適切なアクションを実行する。「検疫」パターンでは、信頼できない公開コンテンツを読み取るエージェントに対し、高い権限を必要とするアクションを禁止する。

バックログの分類、重複除去、対応を行う大規模トリアージのワークフロー(提供:Anthropic

 これらの他、感性や好みに基づいて、特定の評価基準を用いて行う探索(デザインやネーミングのような)や、特定のタスクに対する軽量な評価、想定されるタスクの複雑さに応じたモデルのルーティングといったユースケースも挙げられている。

注意点と活用のヒント

 動的ワークフローは、全てのタスクに必要なわけではない。多くの場合、より多くのトークンを消費するので、複雑で価値の高いタスクに適している。

 Anthropicは、通常のコーディングタスクには動的ワークフローの使用を推奨しておらず、動的ワークフローは、従来とは異なる方法でClaude Codeの可能性を引き出すために、創造的に活用するのがベストだと述べている。

 さらに実践的なヒントとして以下を挙げている。

  • 前述のワークフローパターンを踏まえ、詳細にプロンプトを記述する
  • 小規模な作業には「クイックワークフロー」を使用するよう指示する
  • 繰り返し実行できるワークフローを使用する場合、定期的に実行するには「/loop」と組み合わせ、完了の厳格な要件を設定するには「/goal」と組み合わせる
  • 「1万トークンを使う」のように、明示的なトークン使用量上限を設定する

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