「Python一択ではなくなった」 AIコーディング時代、新人が学んで損しないプログラミング言語は?夏休みに振り返る2026年上半期ニュース(2/2 ページ)

» 2026年08月12日 17時00分 公開
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案件単価で見ると、専門性の高さが強みになる

 フリーランス案件での単価を見ると、また別の違いが浮かび上がります。エンジニア向けのインターネット求人サービスを展開するINSTANTROOMが2026年2月に行った調査では、最も単価が高い開発言語は「Rust」の83.9万円(前月比0.6万円増)で、4カ月上昇中のRubyを抜いて、トップとなりました。

 2位はRubyで82.9万円(前月比0.2万円増)、3位は「Scala」で82.8万円(前月比0.8万円増)となっています。また、「C++」の上昇幅(前年同月比6.2万円増)が最大な点も興味深いポイントです。

開発言語別の月額平均単価(提供:INSTANTROOM

 RustやRuby、また単価が急上昇しているC++など、高単価の言語に共通しているのは、「重要であるにもかかわらず人材が不足している領域に使われている」という点です。

 安全性が求められるシステムや長期運用される既存サービス、AIやデータ基盤といった領域では、専門性の高い言語を扱える人材の希少性が単価に反映されていると考えられます。

 高単価の言語や分野は、必ずしも初心者が最初に選ぶべき対象とは限りません。多くの場合、経験や専門知識が求められるからです。一方で、「どの分野に価値が集まっているのか」を知る手掛かりとしては非常に有用です。将来的にどの方向へスキルを伸ばすかを考える際の参考になるでしょう。

AIコーディング時代は「どう書かせるか」も重要に

 これまで見てきた通り、Pythonは汎用性、C#は話題性、Goは高年収、JavaScriptは求人数、Rustは案件単価といった観点で、需要がある言語と言えます。しかし、GitHubの最新データは、開発現場の「道具選び」に根本的な変化が起きていることを示しています。

 2025年10月にGitHubを使用する開発者の動向を調査した年次レポート「Octoverse 2025」では、TypeScriptがコントリビューター数において、2025年1月に初めてJavaScriptを抜いて2位となり、2025年8月にはPythonも抜いて首位に立ったことを明らかにしました。

GitHub上で最も使用される言語の推移(2023年2月〜2025年8月)(提供:GitHub

 こうした変化について、GitHubのR&D部門「GitHub Next」でリサーチを担当するシニアディレクターのイダン・ガジット氏は、単に「TypeScriptがPythonを上回った」という現象ではなく、「AIが言語トレンドそのものを内側から変え始めている結果だ」と指摘しています。

 同氏によれば、かつてはクラウドやコンテナといった「コードをどこで動かすか」が主要な関心事でしたが、現在は「どの言語や構成でコードを書くか」という選択の重要性が増しています。その判断基準も、思想や好みではなく、生産性やリスク低減といった実利に移行しています。特にAIコーディングの普及によって「どの言語を選べばAIツールがどれだけ支援できるか」が新たな軸になりつつあるというのです。

 例えば、TypeScriptのような静的型付き言語は、コードの正しさを検証する上で型情報が手掛かりとなるので、AIが生成したコードの品質を保証しやすいとされています。こうした特性は、生成AI特有の誤り(ハルシネーション)を抑える上でも有効です。

 一方で、Pythonは機械学習やデータサイエンスの分野で依然として中心的な地位を占めています。豊富なライブラリやフレームワークが整備されており、AI開発そのものに不可欠な存在だからです。結果として、AIツールと相性の良い言語と、AI開発を支える言語が、それぞれの役割で選ばれる状況が生まれていると言えるでしょう。

新人が学んで損しない言語を選ぶなら、まずは「自分が何を重視するか」から

 本記事では、人気、話題性、案件単価、求人数という4つの視点からプログラミング言語を整理しました。

  • 人気
    汎用性の高さと学びやすさを示す
  • 話題性
    技術トレンドの今後の方向性を示す
  • 提示年収と求人数
    現実的なキャリアの選択肢を示す
  • 案件単価
    専門性や将来価値を示す

 これらの指標は、それぞれ異なる意味を持っています。そのどれを重視するかによって、「学んで損しない言語」は変わります。

 一方で、生成AIの普及によって、プログラミング言語の選び方そのものも変化しつつあります。これからは、単に「どの言語を学ぶか」だけでなく、「どの言語をAIにどう書かせるか、書かせた結果をどうレビューするか」という視点も重要になるでしょう。

 プログラミング言語は無数にあり、全てを習得するのは難しいものです。だからこそ、「何を作りたいのか」「まず実務経験を重視するのか」「将来的な専門性を重視するのか」といった要件を明確にする必要があるでしょう。

 本記事で紹介した4つの視点に加え、AI時代におけるプログラミング言語の役割の変化も踏まえながら、自分にとっての「学んで損しない言語」を考えてみてはいかがでしょうか。

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