【急ぎ適用を】Windows 11にゼロデイ攻撃リスク 2026年8月更新プログラム「KB5121003」の内容と注意点Tech News

Microsoftは2026年8月11日(米国時間)、Windows 11向けの月例更新プログラム「KB5121003」の提供を開始した。今月は約400件の脆弱性が修正されており、その中には既に悪用が確認されている「AFD.sys」の権限昇格の脆弱性が含まれる。また、ファイルサイズ表示の改善やタッチパッドのジェスチャー設定など、2026年7月のプレビュー更新で先行提供された新機能も正式に展開される。本更新プログラムの内容と注意点を解説する。

» 2026年08月12日 05時00分 公開
[小林章彦デジタルアドバンテージ]

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2026年8月更新プログラム「KB5121003」の内容と注意点 2026年8月更新プログラム「KB5121003」の内容と注意点
Microsoftは2026年8月11日(米国時間)、Windows 11向けの月例更新プログラム「KB5121003」の提供を開始した。今月は約400件の脆弱性が修正されており、その中には既に悪用が確認されている「AFD.sys」の権限昇格の脆弱性が含まれる。また、ファイルサイズ表示の改善やタッチパッドのジェスチャー設定など、2026年7月のプレビュー更新で先行提供された新機能も正式に展開される。本更新プログラムの内容と注意点を解説する。

 Microsoftは2026年8月11日(米国時間)、Windows 11向けの更新プログラム「KB5121003」をリリースした(Microsoftのサポート「August 11, 2026-KB5121003 (OS Builds 26200.9168 and 26100.9168)」)。この更新プログラムは、Windows 11 2024 Update(バージョン24H2)および2025 Update(バージョン25H2)を対象とした月例のセキュリティ更新プログラムで、これによりOSビルドが「26100.9168(24H2)」および「26200.9168(25H2)」に更新される。

 またWindows 11バージョン26H1向けには「KB5121000」が提供され、こちらのOSビルドは「28000.2704」となる。なおバージョン26H1は、Snapdragon X2搭載PC向けで、Windows 11の新機能が最初に提供されるバージョンではない点に留意したい。

悪用が確認された「AFD.sys」の権限昇格の脆弱性に注意

 今回の更新では、Windowsおよびその他のコンポーネントの約400件の脆弱(ぜいじゃく)性が修正された。そのうち42件は深刻度が「緊急(Critical)」に分類されている。解消される脆弱性の詳細は、Microsoft Security Response Center(MSRC)の「August 2026 Security Updates」を参照されたい。

 このうち「KB5121003」で解消される脆弱性は193件で、深刻度が「緊急」のものは8件である。影響の内訳は「特権の昇格」が129件、「情報漏えい」が30件、「リモートコードの実行」が21件などとなっており、今月は権限昇格の脆弱性が大半を占めている。

 今月特に注意すべきなのは、既に攻撃に悪用されていることが確認されている「Windows Ancillary Function Driver for WinSock Elevation of Privilege Vulnerability(CVE-2026-68820)」だ。これはWinSock用の補助機能ドライバ(AFD.sys)における解放済みメモリの使用(use-after-free)に起因する権限昇格の脆弱性で、深刻度は「重要(Important)」、CVSS 3.1の基本値は7.0とされている。

 攻撃者は、この脆弱性を悪用するように細工したアプリケーションを実行させて競合状態を発生させることで、ローカルの低権限ユーザーからSYSTEM権限を取得できる可能性がある(その際、攻撃対象となるユーザーの操作は不要とされている)。既に悪用が確認されていることから、早急な更新プログラムの適用が必要だ。

 なお同じAFD.sysに対しては、別の権限昇格の脆弱性「CVE-2026-61348」「CVE-2026-70307」も併せて修正されている。いずれも悪用は確認されていないものの、Microsoftの「悪用可能性指標」では「悪用される可能性が高い(Exploitation More Likely)」と評価されている。

 この他、修正前に情報が公開されていた脆弱性として、ユーザープロファイルサービスの権限昇格の脆弱性「Windows User Profile Service Elevation of Privilege Vulnerability(CVE-2026-62832)」(CVSS 3.1基本値7.8)、コンテナ分離FSフィルタードライバ(unionfs.sys)の改ざんの脆弱性「CVE-2026-72971」(同5.5)がある。前者は別のローカルアカウントの資格情報を持つ攻撃者が他ユーザーのレジストリハイブを読み込ませることで管理者権限を取得し得るもので、「悪用される可能性が高い」と評価されているため注意したい。

 なお、Microsoftによれば現時点においてこの更新プログラムに関する重大な既知の問題は報告されていないという。

継続実施されるセキュアブート証明書の有効期限切れ対策

 「KB5121003」においても、セキュアブート証明書の有効期限問題に対する措置が継続されている。多くのWindowsデバイスで使用されているセキュアブート証明書が2026年6月以降、順次有効期限を迎えることから、Microsoftは個人向けや非管理対象ビジネスデバイスに対して新しい証明書を段階的に配布してきた。本更新プログラムでも、新しい証明書を自動的に受け取れるデバイスの判定データが追加され、その対象範囲がさらに拡大している。証明書の配布は今後数カ月にわたってWindows Update経由で継続される予定だ。

 なおMicrosoftは、新しい証明書を受け取っていないデバイスについても、引き続き起動および通常の動作が可能で、標準的なWindows Updateも継続してインストールされると説明している。ただし一部のPCでは、セキュアブート証明書の更新によって予期せずBitLockerの回復モードに入ってしまう問題が発生していた経緯がある。万一に備えて、適用前にはMicrosoftアカウントにサインインしてBitLockerの回復キーを確認し、バックアップしておくべきである(BitLockerの回復キーの確認方法は、Tech TIPS「BitLockerの回復キーが分からない場合の確認方法【Windows 10/11】」参照のこと)。

 セキュアブート証明書の有効期限切れについては、Tech TIPS「【最終案内】2026年6月にWindows 11が起動不能に? 『セキュアブート証明書』の期限切れリスクと対策、起動しなくなった場合の対応策」を参照してほしい。

Windows 11 24H2 Home/Proは2026年10月13日にサポート終了

 今回のサポートページでもWindows 11バージョン24H2のHomeおよびProエディションが2026年10月13日に更新プログラムの提供を終了することが改めて告知されている。この日以降、対象デバイスには既知の問題の修正やタイムゾーンの更新、テクニカルサポート、最新の脅威への保護を含む月例のセキュリティ更新プログラムおよびプレビュー更新プログラムが提供されなくなる。一方、EnterpriseおよびEducationエディションは2027年10月12日までサポートが継続される。

 サポート終了まで残り2カ月となっており、Home/Proエディションで24H2を利用している場合は、最新バージョンのWindows 11へのアップグレードを急ぎたい。

前月の不具合解消と段階的に導入される多数の新機能

 「KB5121003」の更新プログラムには、2026年7月の月例更新プログラム「KB5101650」、2026年7月18日(米国時間)に提供された緊急のオプション更新「KB5121767」、2026年7月28日(米国時間)に提供されたオプションのプレビューリリース「KB5101684」による修正と品質改善が含まれている。

【既知の問題の修正】Dell製PCの性能低下や電力消費の問題を解消

 2026年7月の月例更新プログラム「KB5101650」には、Intel Innovation Platform Framework(Intel IPF)ドライバを搭載した一部のデバイスにおいて、性能や電力消費、システムの挙動に変化が生じる問題が含まれていた。これにより、一部のDell製PCには7月のセキュリティ更新プログラムの配信が一時的に保留されていた。その後、この問題は「KB5121767」で修正され、対象デバイスにも更新プログラムが配信されるようになった。「KB5121003」にはこの修正も含まれている。

【既知の問題の修正】SMB共有へのファイル履歴バックアップの不具合を解消

 SMB(Server Message Block)を使用したネットワーク共有へのファイル履歴の自動バックアップが、資格情報が無効であるという誤ったエラーによって実行できない不具合が解消されている。

更新プログラムによる機能追加

 今回の更新プログラムで導入された主要な新機能は以下の通りだ。いずれも7月28日のプレビュー更新で先行提供されていたもので、段階的なロールアウトで有効化される。

エクスプローラーのファイルサイズ表示を改善

 エクスプローラーの「詳細」表示において、ファイルサイズの単位に「KB」「MB」「GB」が使えるようになった。従来は「KB」単位のみでの表示だったのに比べると、一目でファイルサイズを把握しやすくなっている。

 また、アドレスバーおよび[ホーム]画面において、中クリック(マウスの右ボタンと左ボタンの間のホイールボタンをクリックすること)を使ってフォルダを新しいタブで開けるようになり、タブ操作の一貫性が向上した。

音声アクセスに「音声分離」を追加

 「音声アクセス(Voice Access)」アプリに、周囲の背景ノイズや他の話し声をフィルタリングして取り除く「音声分離(ボイスアイソレーション)」が追加され、音声認識の精度が向上した。音声認識機能の[設定]−[音声認識の改善]を開くと、「音声分離(初回のみセットアップが必要)」「背景ノイズのみを除去」「フィルタリングなし」の3つのモードから選択できるようになった。

音声アクセスに「音声分離」を追加 音声アクセスに「音声分離」を追加
「音声アクセス(Voice Access)」アプリに、周囲の背景ノイズや他の話し声をフィルタリングして取り除く「音声分離(ボイスアイソレーション)」が追加され、音声認識の精度が向上した。音声認識機能の[設定]−[音声認識の改善]を開くと、「音声分離」が選択できるようになった。

 また、音声アクセスが韓国語に対応した。

高精度タッチパッドのジェスチャー制御を強化

 [設定]−[Bluetoothとデバイス]−[タッチパッド]に、高精度タッチパッド向けの新しいジェスチャー設定が追加された。スクロールとズームの基準速度を調整できる他、ジェスチャーを繰り返すことでより高速にスクロールできるようになる。これにより長い文書内の移動が効率化される。

タッチパッドの設定に「高速スクロール」を追加 タッチパッドの設定に「高速スクロール」を追加
ジェスチャーを素早く繰り返すとスクロール速度が速くなる「高速スクロール」機能が追加された。長文のスクロールなどがタッチパッドでも高速でできるようになった。

Windows Helloが外付け指紋センサーに対応

 Windows Helloの拡張サインインセキュリティ(Enhanced Sign-in Security:ESS)が、周辺機器の指紋センサーに対応した。これにより、内蔵指紋センサーを持たないデスクトップPCなどの環境でも、Copilot+ PCを含むWindows 11 PCで安全なサインインが可能になる。対応するESS指紋リーダーを接続し、[設定]−[アカウント]−[サインインオプション]から登録する。なお本機能は2026年1月(KB5074105)に予告されていたもので、今回からロールアウトが開始されている。

ウィジェットの通知をより控えめに

 タスクバーの通知バッジが、赤色ではなくWindowsのアクセントカラーで表示されるようになり、不要に注意を引く表示が抑制された。またロック画面のウィジェット体験が簡素化され、新規ユーザーではロック画面に既定で表示されるウィジェットが「天気」のみとなった。

Windows Searchの検索精度を向上

 インストール済みアプリの検索において、タイプミスやアプリ名の一部入力に対する処理が改善された。また設定項目の関連性判定が改善され、より有用な設定が検索結果の上位に表示されるようになった。

[スタート]メニュー表示設定の信頼性を向上

 ユーザーが選択した[スタート]メニューの表示形式が正しく保持されるようになった。また[スタート]メニュー内のアプリ一覧にキーボードフォーカスがある際のキーボード操作も改善されている。

その他の改善

 [設定]−[システム]−[電源とバッテリー]において、バッテリー節約機能を有効にするしきい値を設定する機能が復活した。またWindows Updateの進行状況の算出方法が改善され、更新後のクリーンアップ処理の見直しによってシステム性能の改善が図られている。この他、対応するCopilot+ PCでは「Image Generation」AIコンポーネントを削除できるようになった。

バージョン26H1向けの機能追加

 バージョン26H1向けの「KB5121000」では、25H2/24H2に先月提供された「スクリーンティント」のアクセシビリティ機能、静かなウィジェット体験、Windows Updateの一時停止の終了日をカレンダーで指定できる機能が導入されている。

 また、TPMのメンテナンスレポートにおいてEK証明書(TPMの保証鍵に対して発行される証明書)の状態が正確に報告されるよう改善された。

AIコンポーネントの更新

 AIコンポーネントのバージョンアップも実施されており、各AIコンポーネント(Image Search、Content Extraction、Semantic Analysis、Settings Model)が「1.2605.856.0」に更新される。

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