Sysdigは、LLMを活用してAWS環境への侵入を自動化する攻撃を観測した。攻撃者は約8分で管理者権限を奪取し、19個のAWSプリンシパルを横断的に侵害した。
目前の課題解決、緊急の障害対応など、IT部門の日常は非常に多忙。そうした中で、「中長期的な視点を持とう」「攻めと守りを両立せよ」「ビジネスに貢献せよ」などと言われても、なかなか難しいものです。それならば、せめて夏休みの間だけでも上半期の振り返りをしてみてはいかがでしょうか。ここでは、この夏にもう一度読みたい「ヒットニュース」をピックアップ。働いている人もそうでない人も、冷たい飲み物片手に追えていなかった情報を見返してみてはいかがでしょうか。
初出:2026年3月6日 文中の記述は掲載当時のママ
クラウドセキュリティベンダーSysdigの脅威リサーチチーム(TRT)は2026年2月3日(米国時間、以下同)、クラウドサービス群「Amazon Web Services」(AWS)の環境を標的としたクラウド攻撃の分析結果を公開した。
2025年11月28日に観測されたこの攻撃では、攻撃者が大規模言語モデル(LLM)を活用して偵察、悪意あるコードの生成、リアルタイムの意思決定を自動化し、初期侵入から管理者権限の獲得までわずか10分未満で達成していたという。
攻撃者は、公開されていたクラウドオブジェクトストレージ「Amazon S3」(Amazon Simple Storage Service)バケットから有効なテスト用認証情報を窃取して侵入を開始した。これらのバケットにはAI(人工知能)モデル向けのRAG(検索拡張生成)用データが含まれており、侵害された認証情報は、サーバレスコンピューティングサービス「AWS Lambda」と生成AIサービス「Amazon Bedrock」への権限を持つIAM(IDおよびアクセス管理)ユーザーのものだった。
攻撃対象のAmazon S3バケットには一般的なAIツールの命名規則に従った名前が付けられており、攻撃者は偵察段階でこうした名称を重点的に検索していたとみられる。
続いて攻撃者は、侵害したユーザーが持つUpdateFunctionCodeおよびUpdateFunctionConfiguration権限を悪用し、Lambda関数へのコードインジェクションによる権限昇格を実行した。既存のLambda関数「EC2-init」のコードを3回にわたって書き換え、最終的に管理者権限を持つIAMユーザー「frick」の認証情報を作成することに成功した。
注入されたコードにはセルビア語のコメントが含まれており、例外処理の網羅性とコードの作成速度から、LLMによる自動生成が強く示唆される。Sysdigは、攻撃者が偵察から認証情報の窃取、管理者権限の確立までを含めてわずか8分で完了した点を問題視している。
攻撃者は6つのIAMロールを14の異なるセッションで引き受け、5つのIAMユーザーへのアクセスを獲得した。結果として、合計19個のユニークなAWSプリンシパル(アイデンティティー)が侵害された。
このように、権限を分散させることで、検知や追跡を困難にするとともに、1つのプリンシパルへのアクセスを維持するだけで被害者環境への永続的な侵入が可能となる。
さらに、攻撃者は新たなユーザー「backdoor-admin」を作成し、AdministratorAccessポリシーを付与した。ロール引き受け時のセッション名には「explore」「test」「pwned」「escalation」など、各段階での意図を反映した名前が使用されており、「claude-session」というセッション名も観測された。
攻撃者はAmazon Bedrockのモデル呼び出しログが無効であることを確認した後、以下の生成AIモデルを呼び出した。
攻撃者は、被害者のAmazon S3バケットにインフラ自動化ツール「Terraform」モジュールをアップロードし、Amazon Bedrock認証情報を生成するバックドアLambda関数の展開を試みた。このモジュールは認証なしで公開アクセス可能なLambda関数URLを設定する構成だった。
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