単価アップを求めたら、取引先から「お前の代わりはいくらでもいる」と言われた――。フリーランスや個人事業主などを対象にした調査からは、こうした実態が明らかになった。価格交渉の現場で何が起きているのか。
資金繰り改善を支援する企業、ふぁくたむは、全国のフリーランスや個人事業主、下請け企業の経営者を対象に「2026年 価格交渉と理不尽な取引に関する実態調査」を実施した。取引先との価格交渉の結果や、交渉時に取引先から受けた扱いの実態を調べた。
直近1年間で、取引先に単価アップの交渉をした際の反応を尋ねた質問では、単価が希望通りに上がったと回答したのは14.1%にとどまった(図)。単価アップを拒否された、または「検討する」と言われたまま保留にされているとの回答は、合わせて72.4%に達した。
単価アップを求めても交渉がまとまらないだけではなく、価格交渉や支払いの遅延を巡って、取引先から許容しがたい言葉を投げ掛けられる例もあるという。
価格交渉時や、支払いの遅延が発生した際に、取引先の担当者から言われて最も理不尽だと感じた一言を自由回答で尋ねたところ、1位は「うちも苦しいから、企業努力(ただ働き)でカバーして」だった。2位には「値上げするなら、もっと安い他の業者に切り替える」、3位には「インボイス登録をしたのだから、消費税分はそちらでかぶって(値引きして)」が挙がった。
自由回答では、30代のITエンジニアから「『お前の代わりはいくらでもいる』と鼻で笑われ、その後の連絡を無視されている」という声が寄せられた。この他、20代のデザイナーは「『予算がない』と言いながら、その会社の社長がSNSで高級車の納車をアピールしていた」と回答。40代の建設一人親方は「支払いが遅れている理由を聞いたら『担当者が退職して引き継ぎがされていないから、もう一回無料で納品して』と言われた」と答えた。
取引上の優越的な立場を利用して、価格協議の求めに応じないまま一方的に価格を決めたり、必要な説明をしないまま価格を据え置いたりする――。こうした行為は、取引の状況や取引先との関係などによっては、中小受託取引適正化法(取適法)に抵触したり、独占禁止法上の優越的地位の乱用に該当したりすることがある。
理不尽な要求を受け入れて採算の合わない取引を続ければ、資金繰りが行き詰まって資金ショートにつながると、ふぁくたむは指摘する。こうした状況を回避するために、懸念のある取引先からは勇気を持って撤退したり、取引先を分散させたりすることで、特定の取引先への依存を低減することを勧める。
調査期間は2026年8月1〜31日。全国のフリーランスや個人事業主、下請け企業の経営者を対象にインターネット調査を実施し、300人から有効回答を得た。
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