第2回 Windowsネットワークのレイヤ・モデルとファイル共有:基礎から学ぶWindowsネットワーク(1/3 ページ)
Windowsネットワークのレイヤ・モデルを概観するほか、共有ファイルのアクセスを例にとり、その働きを知る。
■連載目次
第1回 Windowsネットワークの舞台裏
第2回 レイヤ・モデルとファイル共有
第3回 NetBIOSを理解する(1)
第4回 NetBIOSを理解する(2)
第5回 NetBIOSの通信の実際
第6回 TCP/IP始めの一歩
第7回 IPアドレスとネットマスク
第8回 アドレス・クラスとIPアドレス
第9回 IPルーティング
第10回 IPパケットの構造
第11回 MACアドレスを解決するARP
第12回 TCP/IPを支えるICMP
第13回 データグラム通信を実現 UDP
第14回 信頼性を実現するTCP(1)
第15回 信頼性を実現するTCP(2)
第16回 信頼性を実現するTCP(3)
第17回 LLCとNetBEUI
第18回 NetBIOS over TCP/IP(1)
第19回 NetBIOS over TCP/IP(2)
第20回 ファイル共有SMB/CIFS(1)
第21回 ファイル共有SMB/CIFS(2)
第22回 ファイル共有SMB/CIFS(3)
第23回 ブラウザ・サービス
前回は、Windowsネットワークの基本部分には、MS-DOSの時代にIBMによって開発されたNetBIOSプログラム・インターフェイスや、LAN Manager向けに開発されたNetBEUIネットワーク・プロトコルが今でも息づいていることを述べた。これから連載では、Windowsネットワークのさらに深層に踏み込むことになるが、その前に今回は、いったんWindowsネットワークを離れて、一般論としてのネットワーク概論について簡単に解説しようと思う。「自分はWindowsネットワークについて知りたいのであって、まわりくどい一般論など不要だ」という人がいるかもしれないが、ネットワークに高い相互運用性(さまざまなネットワークと相互接続できること)や、柔軟性が与えられている源には、考え抜かれた基本階層モデルが寄与していることは間違いがない。またWindowsネットワークを構成する各部を素早く位置付けて理解を促すという意味でも、ネットワークの基本中の基本である階層モデルへの理解は欠かせない。
さまざまな接続方法を選択できるネットワーク
ひと口にネットワークといっても、さまざまな接続方法があることはご存じだろう。このうち、現在最も代表的なのはイーサネットである。当初は最大で10Mbpsの転送速度を持つ10BASE-Tが普及していたが、最近ではこれを100Mbpsにまで高速化した100BASE-Tが一般的となっている。特別な理由がないかぎり、会社内部のネットワークはイーサネットで構成されているだろうし、机で固定的に使う(持ち歩かない)PCは、イーサネット・カードを通して会社の100BASE-T(10BASE-T)ネットワークに接続されているだろう。
しかしこのイーサネット以外にも、ネットワークへの接続方法はたくさんある。例えばアナログ・モデムやISDN TAを使ったダイヤルアップ接続、最近では、ケーブルTV用に敷設されたケーブル網を利用してインターネット・アクセスを可能にするケーブル・インターネット、アナログ電話回線を使って高速通信(〜8Mbps程度)を可能にするxDSL、さらに高速な(100Mbpsなどの)光ファイバを使ったインターネット接続サービス、無線LANなど、さまざまな特徴を持った接続手段を目的に応じて使い分けられるようになっている。場合によっては、イーサネットに接続したノート型PCに同時に無線通信カードを接続して、双方のネットワークを同時に使うなどということも珍しくなくなった。
一ユーザーとして漫然と使っているかぎりは気付かないかもしれないが、考えてみれば、これだけバリエーションに富んだネットワークを、特に意識することなく使えるというのは驚きである。無線通信と有線通信では、通信手順などは大きく異なるはずだが、どちらを使ってもWebページは同じように見えるし、メールは同じように送受信できる。共有フォルダや共有プリンタもまったく同様に使うことができる。本稿の冒頭部分で「ネットワークの相互運用性と柔軟性」と述べたが、これを簡単にいえば、今述べたように異なるネットワークを透過的に使えるということである。
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