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第5回 NetBIOSサービスを利用した通信の実際基礎から学ぶWindowsネットワーク(1/3 ページ)

NetBIOSコマンドを利用した通信手順とはどのようなものか? いくつかの具体例をもとに、実際のやりとりを概観する。

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連載 基礎から学ぶWindowsネットワーク ―― Windowsネットワーク管理者への道 ―― 
Windows Server Insider

 

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 前回は、NetBIOSネットワークにおいて、コンピュータや各種のサービスなどを識別するための「NetBIOS名」について解説した。ネットワークでの通信を正しく行うには、通信相手を特定(アドレッシング)するためのしくみが必要だが、NetBIOSでは、ユーザーなどが勝手気ままに付ける16bytesの文字列(=名前)を使ってこれを実現している(このうち最後の1bytesは、途中からネットワークのリソース・タイプを表す副指数として使われるようになった)。TCP/IPネットワークにおけるIPアドレスのように、サブネット・マスクなどでネットワークを論理的に分割し、それらのネットワーク間でパケットルーティングするなどは考慮されていない。これはNetBIOSが、すべてのコンピュータやネットワーク・サービスが、フラットに接続された小規模なネットワークを想定して設計されているためだ。

 そして第3回で解説したように、ネットワーク・アプリケーションは、ハードウェアBIOSのネットワーク拡張として設計された非常にプリミティブなNetBIOSコマンド(=API)を組み合わせることで、各種のネットワーク処理を行う。繰り返しになるが、第3回でご紹介した主要なNetBIOSコマンドの一覧をここに再掲載しよう。

コマンド名 コマンドのはたらき
一般
RESET NetBIOS名を管理するテーブル、セッション・テーブルをリセットし、ステーションを再構成する
CANCEL 直前に行った要求をキャンセルする
名前関連サービス
ADD NAME ユニーク名(NetBIOS名)を登録する
ADD GROUP NAME グループ名(NetBIOS名)を登録する
DELETE NAME 登録されている名前を削除する
セッション・サービス
CALL コネクションの確立要求を行う
LISTEN ステーションをコネクション可能な状態にする
HANG UP 確立されたコネクションを終了する
SEND 確立されたコネクションを使ってデータを送信する
RECEIVE 指定したコネクションを使ってデータを受信する
RECEIVE ANY 任意のコネクションを使ってデータを受信する
SESSION STATUS セッションの状態を取得する
データグラム・サービス
SEND DATAGRAM 特定のステーション、またはグループに向けてデータグラムを送信する。あて先としてグループ名を指定したときには、そのグループの各メンバがデータグラムを受信する
SEND BROADCAST DATAGRAM ネットワーク内のすべてのステーションに向けてデータグラムを送信する
RECEIVE DATAGRAM このステーションに登録されたNetBIOS名に向けたデータグラムを受信する
RECEIVE BROADCAST DATAGRAM SEND BROADCAST DATAGRAMによって送信されたブロードキャストを受信する。ブロードキャスト・データグラムがステーションに到着しても、アプリケーションがこのコマンドを実行しなければ、そのデータグラムは破棄される

 NetBIOS名によるNetBIOSネットワークでのアドレッシングの基礎を理解したところで、次はこれらのNetBIOSコマンドを使って、どのような手順で通信(データ交換)が行われるのかを詳しくみていくことにしよう。ただしネットワーク・アプリケーションの作成が目的ではないので、プログラム・コードは掲載せず、サーバ側とクライアント側でどのようなやりとりが行われるのか、その手順を説明するにとどめる。

 具体的には、NetBIOS名がどのように登録されるのか、セッション・サービスにおいて、通信を行うためのセッションがどのような手順で確立されるのか、データグラム・サービスを使って、通信相手を指定したデータグラム通信がどのような手順で行われるのか、同じくデータグラム・サービスを使って、ネットワーク内のすべてのコンピュータに対するブロードキャストがどのように行われるのかを説明しよう。これにより、NetBIOS APIを呼び出しながらさまざまなサービスを実現しているNetBIOSアプリケーションのおおまかな挙動を理解することができるだろう。


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