徳島編:IT系イベントは東京比で100分の1――僕がUターンで失ったもの:U&Iターンの理想と現実(50)(2/2 ページ)
アイデアソンもねえ、ハッカソンもねえ、勉強会もそれほどやってねえ。AIねえ、ブロックチェーンねえ、たまにあるのはRubyくらい――そんな徳島で僕は絶対的幸福を手に入れました。
失ったのは「ITコミュニティー」
アイデアソンもねえ、ハッカソンもねえ、勉強会もそれほどやってねえ。AIねえ、ブロックチェーンねえ、たまにあるのはRubyくらい……。
徳島で開催されるIT系イベントの質と量は、東京比で100分の1くらいです。最新技術をテーマにした勉強会は、あまりありません。ブロックチェーンなどの実験分野は、やってる人自体がいません。
これには、IT産業が盛り上がっていないのもありますが、表に出たがるエンジニアが少ないのも理由としてありそうです。「MashupAwards」などの全国規模のイベントがやってきても、エンジニアよりも一般の参加者の方が多かったり……。
では、外とつながりたいエンジニアはどうしたらいいのでしょうか?
数は少ないですが、徳島にもエンジニアコミュニティーは存在します。定例で続いているのは、Rubyの「Tokushima.rb」。僕も「Code for Tokushima」というアイデアソン主体のコミュニティーを主催して、「阿波おどり連レーダー」などのプロダクトを作っています。
AIやIoTは、ベンダーが講演に来ることがあります。「徳島県情報産業協会」や「OSS普及協議会」などに登録すると、案内をもらえます。
東京と徳島に拠点を持ち、出張もそこそこある会社に勤めるのもお勧めです。コミュニティー活動に理解のある会社でしたら、出張と絡めて東京開催のイベントに参加することが可能かもしれません。
レガシーでエンジニア同士の交流や副業を禁止するような会社ですと、視野が狭くなって、エンジニア人生ツんじゃうかもしれません。「ハッカソン」という用語を知っているか、参加を推奨しているかは、理解度の1つの見極めポイントです。
個人でできることも、あります。
僕は、東京で働いていたころに入っていたコミュニティーの活動をオンラインで続けており、最新トレンドの情報や実践を仕入れています。
その経験からいえるのは、Uターンする前に勉強会やハッカソンにできるだけたくさん参加して、名刺交換して、Facebook友達も50人くらいは作っておいた方がいいかもしれない、ということです。
不幸なのはきっと人と比べてしまうから
東京はきらびやかで、吉野家のクーポンを握る僕の横をフェラーリが駆け抜けていく――都会にいたころは、僕の幸福度は相対的に萎縮していました。
でも今は、絶対的に幸福です。
「徳島県は金持ちランキングで全国3位」との調査があります(※1)。他の調査では、この20年で働き盛りの所得中央値がダントツで増えています(※2)。特に、「大塚製薬」や「日亜化学」が属する製造業が絶好調です。
僕はというと、フェラーリに乗れるようなお金持ちになったわけではありません。ではなぜ、金持ちランキング上位の人々に囲まれていながら、絶対的幸福感を得られているのでしょうか。それは、お金があっても使い道がないからなんです。
特に目に見えるところに使い道がありません。
ブランド品をビシッと決めてショッピングモールに行くの?
フェラーリでカエル踏みつぶしながら田んぼ道を走るの?
立派な家を建てても、隣の農家の方が大きくない?
私立の学校はステータスになるものではないよね?
徳島では、世帯収入350万円も、500万円も、1000万円も、パッと見は変わらない。だから、羨んだり、焦ったりすることがなくなったのです。それよりも、自分がやりたいこと、大切にしたいことに向き合いたい。相対ではなく、絶対で生きる。それができているから僕は今、幸福なんです。
地方の魅力や嫌なところは、どこも似たようなものです。本連載の「島根編」や「愛媛編」の地域名を「徳島」に読み替えても大体あってるはずです。それよりも僕は、僕個人に起こったこと、感じたことを伝えたかった。
ちなみに、僕が徳島で誇れるのは「阿波おどり」「大塚国際美術館」「米津玄師」です。一般的な情報は、徳島県のPRサイト「vs東京」を見てください。
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