[System Environment] | |||||||||||
仮想ハードディスクのサイズを拡大する
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解説 |
仮想化ソフトウェアVirtual PC 2004/2007やVirtual Server 2005などを利用する場合、仮想マシンで利用するために、最初に「仮想ハードディスク」と呼ばれるファイルを(ホストOS上に)作成する(拡張子は.VHD)。このファイルの中には、仮想マシンで利用するハードディスクの内容(セクタ・データ)がそのまま保存されている。
仮想マシン作成ウィザードや仮想ディスク作成ウィザードを使って.VHDファイルを作成する場合、デフォルトでは16Gbytesに設定されているので、そのまま作成していることが多いだろう。だが場合によっては、これではサイズが不足することがある。インストールしたゲストOSに加え、さらにサーバ・アプリケーションやデータベース、それらで使用するデータ・ファイルなどもインストールしようとすると、16Gbytesはあまりにも少ない。
このような場合は、.VHDファイルのサイズを拡大できると便利である(OSのインストールからやり直すのでは手間がかかりすぎるから)。仮想ディスクは、実際にはホストOS上のファイルとして実現されているため、こんなことは簡単にできそうだが、残念ながらVirtual PCやVirtual Serverには.VHDファイルのサイズを拡大する機能は用意されていない。これを行うには、何らかの補助的なソフトウェアを利用する必要がある。
仮想ディスクのサイズを拡大する方法は2つある。ゲストOS上で、ディスクのコピー・ツール(あるディスクの内容を別のディスクへコピーするツール。引越しツールなどと呼ばれることもある)を利用するか、.VHDファイルに特化した操作ツールを利用して、より大きなサイズの仮想ディスクへコピーする。
.VHDファイルを直接操作するツールはいくつかあるが、本TIPSでは、vmToolkitのサイトで配布されている「VHD Resizer(VhdResizer)」というフリー・ソフトウェアを紹介する。
このサイトのDownloadsというリンクから「VHD Resizer」というファイルをダウンロードし(.ZIPファイルで配布されている)、適当なフォルダに解凍して利用する。ただしダウンロードするためにはメール・アドレスの登録が必要である(登録はサイト右上にある「Sign in」から行うこと)。また実行には.NET Framework 2.0が必要である。
以下、VHD Resizerを使った.VHDファイルの拡大方法について解説する。ただしいくらか制限などがあるので注意が必要だ。具体的には次のような点が挙げられる。
- .VHDファイルの仕様では2Tbytesまで可能だが(このツールでは2Tbytesまで拡張できるが)、仮想マシンの仕様や利用するゲストOS環境などの制限により、128Gbytesが現実的な最大サイズとなっている。大きな仮想ディスクを作成しても、仮想マシンのBIOSのIDE設定画面では137Gbytesまでしか認識されないからだ(いわゆるIDEの「137Gbytesの壁」に遭遇する。詳細についてはSystem Insider「IDEハードディスクの「容量の壁」とは?」を参照)。ただしVirtual Serverの仮想SCSIインターフェイスに接続するなら、大きな仮想ディスクでも利用できる。
- 縮小も可能だが、ゲストOSのボリュームが確保済みの場合は縮小できない。
- これは仮想ディスクのサイズを拡大するツールであり、仮想ディスク上に確保されているゲストOSのファイル・システムのボリューム・サイズを変更するツールではない。
- 拡大できるのは容量固定か容量可変の仮想ディスクのみ。差分仮想ディスクや物理ハードディスクへリンクされた仮想ディスクは操作できな。必要ならこれらのタイプへ変換してから作業すること。
■Hyper-Vのディスク編集ツールについて【2009/09/18追記】
Windows Server 2008/Server 2008 R2の仮想環境であるHyper-Vの場合は、Hyper-V管理ツールに含まれているディスク編集ツールを使って仮想ディスクのサイズを拡大できる(最大2040Gbytesまで拡大可能)。詳しくはTIPS「仮想ハードディスクのサイズを拡大する(Hyper-V編)」を参照のこと。.VHDファイルの仕様は同じなので、Hyper-Vの管理ツールを使ってVirtual PCやVirtual Serverの.VHDファイルを操作してもよい。
操作方法 |
手順1――VHD Resizerで.VHDファイルを拡大する
VHD Resizerを起動すると、元の.VHDファイルを指定するダイアログが表示される。そこでファイルを指定してもよいし、[Esc]キーを押してスキップしてもよい。起動すると次のような画面が表示される。
VHD Resizerによるファイル・サイズの変更 | ||||||||||||||||||
VHD Resizerを使えば、.VHDファイルのディスク・サイズを変更できる。これはディスクの物理的な容量を変更することに等しい。
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ここで変換元と変換先のファイル名を指定し、さらに変換後の仮想ディスクのタイプやサイズを指定してから[resize]ボタンをクリックすると、自動的に変換が行われる。特に難しい操作は何もなく、これだけで自動的に仮想ディスクのサイズが拡大される。
手順2――ボリューム・サイズを拡大する
以上の操作により、仮想ディスクのサイズは拡大するが、その上に確保されているファイル・システム(ボリューム)のサイズはそのままである。例えば16Gbytesの仮想ディスク上に16GbytesのNTFSボリュームが確保済みの場合、32Gbytesに拡大しても、NTFS領域は16Gbytesのままである。拡大された16Gbytes分は未割り当て領域のままになっている。ゲストOSから見ると、単にディスクの総容量が増えたようにしか見えない。
未割り当て領域の活用方法には2通りある。1つは、新しいパーティションを確保し、その上に新しくボリュームを作成する方法である。これは分かりやすい方法だろう。ゲストOSの持つディスクの管理機能を使ってパーティションを確保し、その上にボリュームを作成してフォーマットすればよい。この方法については、これ以上は述べない。
もう1つの活用方法は、すでに確保されているボリュームを拡大する方法である。これが最も望ましい方法だが、すべての場合に使えるわけではない。ファイル・システムがNTFSの場合には、以下のような操作によって、ボリューム・サイズを拡大できる。
NTFSボリュームのサイズを拡大するには、Windows OSに用意されているdiskpart.exeコマンドを利用する。具体的な操作方法や制限などについてはTIPS「ディスクのボリューム・サイズを拡張する」を参照していただきたいが、簡単にまとめると次のようになる。
1.ゲストOSの2台目のディスクとしてマウントする
diskpartコマンドは、Windows OSのシステム・ボリュームやブート・ボリュームは拡大できないので(ゲストOSが使用しているボリュームは拡大できない)、適当な別のゲストOSを起動し、そのゲストOSの2台目以降のディスクとしてマウントする。ちなみにディスクのマウントは、仮想マシンの設定オプションで行う。
2.diskpartコマンドでボリュームを拡大する
diskpartコマンドを使い、次のようなコマンドを発行して、ボリュームを拡大する。extendコマンドを引数なしで実行すると、指定されたボリュームに続く空き領域部分がすべて追加され、ボリュームが拡大される(拡張するサイズをMbytes単位で「size=引数」で指定可能。詳細は上記TIPSを参照)。なおWindows Vistaでは、GUIのディスク管理ツール([コンピュータの管理]−[記憶域]−[ディスクの管理]ツール)でこの拡大操作ができる。
C:\>diskpart …diskpartコマンドの起動 |
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Windows OS以外の場合や、FAT32ボリュームなどの場合は、この方法は利用できない。必要なら市販のディスク・コピー・ツールなどをゲストOS上で実行するか、FAT32ならば、エクスプローラやXCOPYコマンドなどでコピーすればよいだろう。
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このリストは、デジタルアドバンテージが開発した自動関連記事探索システム Jigsaw(ジグソー) により自動抽出したものです。
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