パソナテックは3月11日、同社が提供開始したITエンジニア向けサイト「てくらぼ」のオープニングイベント「Matz×Dan×Daiji エンジニア進化論」を実施した。イベントでは、Ruby開発者のまつもとゆきひろ氏と、ブロガーでプログラマの小飼弾氏のトークセッションが開催された。会場となった東京・秋葉原のUDXギャラリーは大勢のITエンジニアで埋め尽くされ、キャンセル待ちが出るほどの盛況だった。
トークセッションは、ニューズ・ツー・ユー 取締役 平田大治氏が司会し、まつもと氏と小飼氏に質問を投げ掛けた。まつもと氏と小飼氏が質問に○か×かで答えた後、平田氏が詳しく話を聞くというスタイルだった。以下にトークセッションでの2人の発言をいくつかまとめた。
|
上記以外にも、「ITエンジニアにブログは必要か」「エンジニアが進化していくためにはどのようなものが必要か」という質問が会場の参加者から寄せられた。
「ITエンジニアにブログは必要か」という質問に対し小飼氏は「転職のチャンスが少しでもあるならやっといた方がいい。書いてないというのは人として認識されるかが怪しいというレベルかもしれない」という意見。まつもと氏も「道具なので必須ではない。有利に使える機会はある」とのことだった。大切なことは、「突っ込まれることを恐れないこと」(小飼氏)だという。
ブログを書くに当たってのアドバイスとしては「分からないことを分からない、できないことをできないといっても就職のときに損にはならない」(小飼氏)。また、まつもと氏は「弾さんがamachangについて書いていたが、勉強中で半端な知識でもブログに書いてしまうことが大事。読者に半端な理解だと叩かれるかもしれないが、指摘されたことからまた学べる。一番多く学んだ人とは、一番多くアウトプットを出した人。アウトプットを出してたくさんのことを引き付けてほしい。ブログは成長できる機会だから、活用するに足るもの」というアドバイスだった。
(記事中「小飼氏を例に挙げ、」「弾さんのように、」を削除し、「弾さんがamachangについて書いていたが、」と修正しました。失礼しました。ご指摘ありがとうございます。3月14日@IT編集部注)
「エンジニアが進化していくためにはどのようなものが必要か」という質問には、まつもと氏は「差別化が必要。そのためには、自分は社会の中で代替(交換)不可能な存在になること。日本は、空気を読めという同調圧力が強い。差別化と同調、同時に矛盾したことを求められることになる。会社が自分を交換不可能な人物であると認めてくれないなら自分の能力を伸ばしてほかのところへ行けばいい。差別化をする、ほかの人と違うことをする自分を強調することこそエンジニアとして進化するためのキーではないか」と自分に市場価値を持たせることの重要性を述べた。
小飼氏は、まつもと氏の発言を受け、「違いにこそ価値があるのに違うだけではお金を取れない。その部分というのが『言語』だと思う。違っているだけではだめで、違っていることを誰にでも分かるような形で示すことで価値を示せる。誰にでも分かるが自分にしかできないものがある人が最強」と語った。
進化のためには生き残らなければならない。まつもと氏は「surviveという言葉は日本では嫌われるらしいが、米国ではよく使う。インテルのCEOが『Only the paranoid survive』といっていた。偏執狂、つまり超心配性でないと生き残れないということ。世の中の事態はすぐに変化する。その変化に対して、常に自分に影響があるかもしれないとアンテナを高く張っておくことが生き残る秘けつ」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.