入門編:PHP4での開発に必要なものを用意するPHP4で作るWeb-DBシステム(2)(4/5 ページ)

» 2000年07月13日 00時00分 公開
[一志達也株式会社東洋情報システム]

PostgreSQLのインストール

 さて、必要なツールを準備することができたなら、いよいよPostgreSQLをインストールすることにしましょう。PostgreSQLは、カリフォルニア大学バークレー校で開発された、Postgresと呼ばれるデータベースを基にして作成されています。最新バージョンは「7.0.2」で、2000年6月7日にリリースされたばかりです。

 もちろん、オープンソースですから無償で利用することができるのですが、日本ではSRAが商用サポートを行なっています。オラクルなど商用のデータベースを使うまでもないけど、サポートは受けられるようにしておきたい場合などにも対応できるようになってきているのは、昨今のLinux市場を支える大きな力になっています。

 ソースコードの圧縮されたファイルは、「ftp://ftp.sra.co.jp/pub/cmd/postgres/7.0.2/postgresql-7.0.2.tar.gz」や、Ring Server Projectの各サーバーなどから入手することができます。物理的に近いサーバーを探して入手するといいでしょう。容量は約7.2MBとなっています。

Postgres用ユーザーの追加

 ファイルを入手してからでもかまいませんが、PostgreSQL用のユーザーを作っておくほうがいいでしょう。このユーザーは、PostgreSQLのオーナーとなるユーザーです。ほかのユーザーと兼ねてもかまわないのですが、専用のユーザーとしておくほうが、なにかと便利だと思います。筆者は「postgres」というユーザーを作成しました。今後、記事の中ではこのユーザーを使って作業を進めていきますので、違う名前のユーザーで作業をする方は、ユーザー名の部分を読み替えて行なってください。

 ユーザーを追加するコマンドは以下の通りです。

[root@cinderella /home]# useradd -d /home/postgres -s /bin/bash -p postgres postgres

tarでファイルを解凍

 ファイルを入手することができたら、そのファイルを適当なディレクトリ(/usr/local/srcなど)に置いて、tarを使って解凍します。この作業は、さきほどのpostgresユーザーで実行していきますが、通常は/usr/local/srcに書きこみ権限がありませんので権限を与えます。rootユーザーでログインして、以下の作業を行なってください。この作業で、PostgreSQLのソースファイルを解凍するディレクトリと、インストールするディレクトリを作成しています。そして、そのディレクトリにPostgresユーザーで書き込みを行なえるよう、ディレクトリの所有者を変更しています。

[root@cinderella src]# mkdir postgresql-7.0.2
[root@cinderella src]# chown postgres postgresql-7.0.2
[root@cinderella src]# mkdir /usr/local/pgsql
[root@cinderella src]# chown postgres /usr/local/pgsql

ファイルを解凍するコマンドは以下の通りです。

[postgres@cinderella src]$ tar zxvf postgresql-7.0.2.tar.gz

 このコマンドでエラーが出るようなら、tarがGNUの提供するtarでないのかもしれません。その場合にはgzip(gunzip)を使って、ファイルを解凍してから、tarで解凍してください。その場合のコマンドは以下の通りです。

[postgres@cinderella src]$ gunzip -c postgresql-7.0.2.tar.gz | tar xf -

 解凍が終わると、postgresql-7.0.2ディレクトリの中に、いくつかのディレクトリができているはずです。ここからの作業は、その中のsrcディレクトリで行ないます。「cd src」と入力して、ディレクトリを移動しておきます。

PostgreSQLのコンパイル

 次に行う作業は、コンパイル前の設定です。この設定作業では、インストールするディレクトリや、ODBCの要不要などを決定します。デフォルトのままでかまわない項目は、指定する必要がありません。基本的には、日本語を利用することができるように、以下のような設定を行なうといいでしょう。

[postgres@cinderella src]$ ./configure --enable-multibyte

 この他の設定用パラメータは、「./configure --help」とするか、postgresql-7.0.2ディレクトリにある「INSTALL」ファイルを見ていただくと確認することができます。

 設定を開始すると、環境を判断して、自動的に各種の設定が行なわれていくようすを確認できます。なにごともなければ、linkを終えてメッセージが終了します。逆に、うまくいっていないと、警告のメッセージが最後に表示されます。参考までに、筆者が実行したログをこちら(postgresql.log)で公開しておきます。

 設定作業の後はコンパイルを行ないます。コンパイルを行なうには、そのままのディレクトリ(/usr/local/src/postgresql-7.0.2/src)で、makeと入力するだけです。コンピュータの性能にもよりますが、この作業には数分から10分程度必要です。ちなみに、この作業は何度でも実行することが可能です。作業を始める前の状態に戻したければ、/usr/local/srcの中を削除してきれいにするだけで、元通りにすることもできます。

[postgres@cinderella src]$ make

 この部分のログは、あまりにも長大ですので公開することはしませんが、最後に以下のようなメッセージが表示されていれば問題ありません。

All of PostgreSQL is successfully made. Ready to install.

いよいよインストール

 なんの問題もなければ、いよいよインストールです。インストールを行なうには、以下のように「make install」と入力します。このコマンドを入力すると、コンパイルしたバイナリファイルが、指定されているディレクトリ(デフォルトは/usr/local/pgsql)にコピーされます。この作業は、1分もかからないうちに終了する作業です。無事に終了すれば、以下のようなメッセージが表示されます。

Thank you for choosing PostgreSQL, the most advanced open source database engine.

 無事にインストールされているか心配な方は、/usr/local/pgsqlに移動して、ファイルを確認してみるといいでしょう。いくつかのディレクトリが作成されていて、その中にpostgreSQLを構成するファイルがインストールされていることが確認できるはずです。

PostgreSQLデータベースの初期化

 これでインストールも終わり、PostgreSQLが使える状態になりましたが、作業完了というにはまだ不充分です。なぜなら、PostgreSQLはデータベースアプリケーションですから、データベースを作っておかなくてはなりません。それに、このままではPostgreSQLを利用するためのツールを呼び出すにも、不自由でなりません。

コマンドサーチパスを通す

 まずは、PostgreSQLの各種ツールを、どこからでも実行できるように、コマンドサーチパス(以下パス)を設定することから始めましょう。利用しているシェルによって、設定を行なうファイルが異なりますが、いずれにしても/usr/local/pgsql/bin(デフォルトのディレクトリにインストールした場合)にパスを設定します。

 bashの場合は、ユーザーのホームディレクトリにある「.bashrc」に以下のような1行を追加します。

PATH="$PATH":/usr/local/pgsql/bin

 cshとtcshの場合は、ユーザーのホームディレクトリにある「.cshrc」に以下のような1行を追加します。

setenv PATH "$PATH":/usr/local/pgsql/bin

環境変数の設定

 また、同様にいくつかの環境変数も設定します。これらの環境変数も、パスと同様に設定していなくとも困ることはありませんが、設定していないと使い勝手が悪くて不便です。先ほどと同じファイルに、以下のような行を追加して、環境変数の設定を行ないます。

bashの場合:
export POSTGRES_HOME=/usr/local/pgsql
export PGLIB=$POSTGRES_HOME/lib
export PGDATA=$POSTGRES_HOME/data
export MANPATH="$MANPATH":$POSTGRES_HOME/man
export LD_LIBRARY_PATH="$LD_LIBRARY_PATH":"$PGLIB"

cshとtcshの場合:
setenv POSTGRES_HOME /usr/local/pgsql
setenv PGLIB $POSTGRES_HOME/lib
setenv PGDATA $POSTGRES_HOME/data
setenv MANPATH "$MANPATH":$POSTGRES_HOME/man
setenv LD_LIBRARY_PATH "$LD_LIBRARY_PATH":"$PGLIB"

 ここで追加した各行の意味は、以下の通りです。

  • POSTGRES_HOME PostgreSQLがインストールされているディレクトリ
  • PGLIB PostgreSQLのライブラリがインストールされているディレクトリ
  • PGDATA PostgreSQLで作成するデータベースファイルを格納するディレクトリ
  • MANPATH PostgreSQLのオンラインマニュアルがインストールされているディレクトリ。これを設定すると、manコマンドでPostgreSQLのオンラインマニュアルが参照できる
  • LD_LIBRARY_PATH PostgreSQLのクライアント用sharedライブラリがインストールされているディレクトリ(通常はPGLIBと同じディレクトリとなる)

 これらの環境設定は、環境設定ファイル(.bashrc/.cshrc)を再読み込みするか、一度ログアウトして再度ログインするまで有効になりません。環境設定ファイルを再読み込みするには、sourceコマンドを利用します。「source ~/.bashrc」もしくは、「source ~/.cshrc」と入力して再読み込みしてください。設定が反映されていることは、envコマンドで確認することができます。

 環境設定に続いて、PostgreSQLデータベースを初期化します。この作業は、インストール後に一度だけ行うものです。いくつかのデータベースを作成するとしても、何度も実行する必要はありませんから、注意してください。この作業を実施すると、PGDATAに設定したディレクトリ以下に、データベース領域が初期設定されます。実行するコマンドは以下の通りです。実行すると、いくつかのメッセージが表示されて、データベースを起動する準備が整います。

[postgres@cinderella postgres]$ initdb

デーモン(postmaster)の立ち上げとテスト

 PostgreSQLのデータベースデーモン(postmaster)を起動します。この作業は以下のコマンドで実行できますが、サーバを再起動するたびにデーモンの起動を行なうのは非常に面倒です。そこで、サーバの起動時にPostgreSQLが自動的に起動するよう、以下のコマンドをシステム起動用スクリプトに記述しておくといいでしょう。

[postgres@cinderella data]$ postmaster -S -i

 このコマンドが実行されると、サーバのプロセスに「postmaster -S -i」というプロセスの存在が確認できます。


postgresql.log

loading cache ./config.cache
checking host system type... i686-pc-linux-gnu
checking echo setting...
checking setting template to... linux_i386
checking whether to support locale... disabled
checking whether to support cyrillic recode... disabled
checking whether to support multibyte... enabled
checking setting DEF_PGPORT... 5432
checking setting DEF_MAXBACKENDS... 32
checking setting USE_TCL... disabled
checking setting USE_PERL... disabled
checking setting USE_ODBC... disabled
checking setproctitle... disabled
checking setting ASSERT CHECKING... disabled
checking for gcc... gcc
checking whether the C compiler (gcc -O2 ) works... yes
checking whether the C compiler (gcc -O2 ) is a cross-compiler... no
checking whether we are using GNU C... yes
checking whether gcc accepts -g... yes
checking how to run the C preprocessor... gcc -E
checking whether gcc needs -traditional... no
- setting CPPFLAGS=
- setting LDFLAGS=
checking setting debug compiler flag... using default
checking for c++... c++
checking whether the C++ compiler (c++ ) works... yes
checking whether the C++ compiler (c++ ) is a cross-compiler... no
checking whether we are using GNU C++... yes
checking whether c++ accepts -g... yes
checking for include in C++... yes
checking for namespace std in C++... yes
checking for a BSD compatible install... /usr/bin/install -c
checking for flex... flex
checking for yywrap in -lfl... yes
checking whether ln -s works... yes
checking whether make sets ${MAKE}... yes
checking for ranlib... ranlib
checking for find... /usr/bin/find
checking for tar... /bin/tar
checking for split... /usr/bin/split
checking for etags... no
checking for xargs... /usr/bin/xargs
checking for gzcat... no
checking for zcat... /bin/zcat
checking for perl... perl
checking for bison... /usr/bin/bison
- Using /usr/bin/bison -y -d
checking for main in -lsfio... no
checking for main in -lncurses... yes
checking for main in -ltermcap... yes
checking for main in -lreadline... yes
checking for using_history in -lreadline... yes
checking for main in -lbsd... yes
checking for main in -lutil... yes
checking for main in -lm... yes
checking for main in -ldl... yes
checking for main in -lsocket... no
checking for main in -lnsl... yes
checking for main in -lipc... no
checking for main in -lIPC... no
checking for main in -llc... no
checking for main in -ldld... no
checking for main in -lln... no
checking for main in -lld... no
checking for main in -lcompat... no
checking for main in -lBSD... no
checking for main in -lcrypt... yes
checking for main in -lgen... no
checking for main in -lPW... no
checking for ANSI C header files... yes
checking for sys/wait.h that is POSIX.1 compatible... yes
checking for arpa/inet.h... yes
checking for crypt.h... yes
checking for dld.h... no
checking for endian.h... yes
checking for float.h... yes
checking for fp_class.h... no
checking for getopt.h... yes
checking for history.h... no
checking for ieeefp.h... no
checking for limits.h... yes
checking for netdb.h... yes
checking for netinet/in.h... yes
checking for readline.h... no
checking for readline/history.h... yes
checking for readline/readline.h... yes
checking for sys/select.h... yes
checking for termios.h... yes
checking for unistd.h... yes
checking for values.h... yes
checking for sys/param.h... yes
checking for pwd.h... yes
checking for working const... yes
checking for inline... inline
checking for preprocessor stringizing operator... yes
checking for uid_t in sys/types.h... yes
checking for mode_t... yes
checking for off_t... yes
checking for size_t... yes
checking whether time.h and sys/time.h may both be included... yes
checking whether struct tm is in sys/time.h or time.h... time.h
checking for tm_zone in struct tm... yes
checking for signed types... yes
checking for volatile... yes
checking for type of last arg to accept... size_t
checking for int timezone... yes
checking for gettimeofday args... 2 args
checking for union semun... no
checking for fcntl(F_SETLK)... no
checking for 8-bit clean memcmp... yes
checking return type of signal handlers... void
checking for vprintf... yes
checking for memmove... yes
checking for sysconf... yes
checking for sigprocmask... yes
checking for waitpid... yes
checking for setsid... yes
checking for fcvt... yes
checking for fpclass... no
checking for fp_class... no
checking for fp_class_d... no
checking for class... no
checking for snprintf... yes
checking for vsnprintf... yes
checking for isinf... yes
checking for getrusage... yes
checking for srandom... yes
checking for gethostname... yes
checking for random... yes
checking for inet_aton... yes
checking for strerror... yes
checking for strdup... yes
checking for strtol... yes
checking for strtoul... yes
checking for strcasecmp... yes
checking for cbrt... yes
checking for rint... yes
checking for filename_completion_function... yes
checking for getopt_long... yes
checking for finite... yes
checking for sigsetjmp... yes
checking whether 'long int' is 64 bits... no
checking whether 'long long int' is 64 bits... yes
checking whether snprintf handles 'long long int' as %lld... yes
checking alignment of short... 2
checking alignment of int... 4
checking alignment of long... 4
checking alignment of long long int... 4
checking alignment of double... 4
checking for POSIX signal interface... yes
checking for tclsh... /usr/bin/tclsh
updating cache ./config.cache
creating ./config.status
creating GNUmakefile
creating Makefile.global
creating backend/port/Makefile
creating backend/catalog/genbki.sh
creating backend/utils/Gen_fmgrtab.sh
creating bin/pg_dump/Makefile
creating bin/pg_version/Makefile
creating bin/pgtclsh/mkMakefile.tcldefs.sh
creating bin/pgtclsh/mkMakefile.tkdefs.sh
creating bin/psql/Makefile
creating include/version.h
creating interfaces/libpq/Makefile
creating interfaces/ecpg/lib/Makefile
creating interfaces/ecpg/preproc/Makefile
creating interfaces/libpq++/Makefile
creating interfaces/libpgeasy/Makefile
creating interfaces/libpgtcl/Makefile
creating interfaces/odbc/GNUmakefile
creating interfaces/odbc/Makefile.global
creating pl/plpgsql/src/Makefile
creating pl/plpgsql/src/mklang.sql
creating pl/tcl/mkMakefile.tcldefs.sh
creating test/regress/GNUmakefile
creating include/config.h
linking ./backend/port/dynloader/linux.c to backend/port/dynloader.c
linking ./backend/port/dynloader/linux.h to include/dynloader.h
linking ./include/port/linux.h to include/os.h
linking ./makefiles/Makefile.linux to Makefile.port
linking ./backend/port/tas/dummy.s to backend/port/tas.s
linking ./include/port to interfaces/odbc/port
linking ./makefiles to interfaces/odbc/makefiles
linking ./template to interfaces/odbc/template
linking ./include/config.h to interfaces/odbc/config.h

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