BIND 9は設定こそ複雑ですが、インストールは極めて簡単です。
一昔前に、NIS環境をデフォルトで採用しているOSにBINDを組み込んでいたころを考えると、近年発表されるOSはDNSへの親和性が上がっていると同時に依存度が高くなっていることを実感します。また、ほとんどのLinuxディストリビューションはBINDのバイナリパッケージが用意されているため、ソースからインストールしなくてもrpmなどのコマンドで簡単に組み込むことが可能です。Linuxのインストール時に「デスクトップ」オプションなどが選択されている場合はインストールされませんが、「ネットワークサーバ」などのオプションをチェックしてインストールした場合はすでに組み込まれているでしょう。新規にインストールする前に確認してみましょう。
$ rpm -q bind |
BIND-9.2.1がインストールされている場合 |
パッケージを新規にインストールする際は、インストールCDのファイルを使用する前に、ディストリビュータが最新のBIND 9パッケージ(注)を用意していないか確認しましょう。
古いバージョンのディストリビューションを使用している場合や、BIND 9のパッケージをディストリビュータが提供していない場合は、下記の手順でソースからインストールします(注)。
BINDは現在、ISC(Internet Software Consortium)社にメンテナンスされており、最新版は同社のWebサイト(http://www.isc.org/)などで公開されています。ここでは、2002年12月現在の最新版であるBIND 9.2.1を前提に話を進めます。
まず、BIND 9.2.1を
ftp://ftp.isc.org/isc/bind9/9.2.1/bind-9.2.1.tar.gz
から入手します。
最近、配布元のファイルが改ざんされるといったことが報告されています。必須の作業ではありませんが、ダウンロードしたファイルの正当性を確認する手順も併せて紹介しましょう。
正当性を確認するには、PGPユーティリティのインストールとBIND 9.2.1のPGP Signatureファイル、ISCの公開鍵が必要です。
ここでは、PGPユーティリティにGnuPG(http://www.gnupg.org/)を用います。GnuPGはPGP(http://www.pgpi.org/)と同じ機能を提供しながら、PGPが抱えていたライセンス問題や商業利用における煩わしさなどを解消しており、現在も活発に開発が続けられています。GnuPGがインストールされていない場合や最新のパッケージを使用する際は、後述の「Appendix:GnuPGのインストール」を参照してください。
用意ができたらgpgコマンドを使って公開鍵を組み込み、PGP Signatureを利用してbind-9.2.1.tar.gzファイルの正当性を検証してみましょう。
$ gpg --import isckey.txt |
公開鍵が正常に登録されているかどうかを確認し、同時にidを調べておきます。
$ gpg --list-keys |
ピンク色がidになります |
次に、自分の秘密鍵で相手の公開鍵を署名します。署名にはLocalなものとExportableなものがありますが、大抵は責任の範囲が自身で完結するLocal署名を選択します。先ほどのidを引数に、「gpg --lsign-key」を実行します。
$ gpg --lsign-key 51BAB2ED |
ここまで終了したら、bind-9.2.1.tar.gz.ascファイルを使ってbind-9.2.1.tar.gzファイルの正当性を検証します。
$ gpg --verify bind-9.2.1.tar.gz.asc
bind-9.2.1.tar.gz |
注:bind-9.2.1.tar.gzがbind-9.2.1.tar.gz.ascと同じカレントディレクトリにあれば、bind-9.2.1.tar.gzは省略可能。 |
以上でソースファイルの正当性が確認できます(注)。
では、BIND 9のインストールを続けます。
# tar xvfz bind-9.2.1.tar.gz |
以上の作業で、/usr/local下にBIND本体とユーティリティがインストールされます。
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