Linuxの最大の特徴の1つとして、広範囲にわたるデバイスドライバのサポートが挙げられます。Linuxは現時点でも多くのデバイスに対応していますが、カーネル2.6ではさらに多種多様なデバイスに対応します。ここでは、新規対応されたデバイスや、新たにカーネルに取り込まれたデバイスドライバの概要を説明します。
カーネル2.6では、従来のUSB 1.1に加えてUSB 2.0に正式に対応しています。USB 2.0は、USB 1.1でサポートされていた、
に加え、High Speed転送(480Mbit/s)をサポートしたUSBの新規格です。
現在、市場に出回っているUSB準拠のストレージ機器の多くがUSB 2.0に対応しています。カーネル2.6からは、これらのストレージ機器をLinux上でフル活用できるようになるでしょう。また、USB-MIDIのサポートも追加されています。
カーネル2.6では、ALSA(Advanced Linux Sound Architecture)ドライバによるサウンドカードサポート機能が標準のLinuxカーネルに統合されました。ALSAドライバは、Turbolinuxなどのディストリビューションにすでに標準搭載されており、長い実績を持ったサウンドドライバです。
ALSAドライバの主な特徴を以下に示します。
従来、Linuxのネットワークドライバの問題点の1つとして、ネットワークが高負荷になると、ネットワーク割り込みに処理時間のほとんどを取られてしまい、システムが無反応状態に陥るという問題がありました。
これを改善するために導入されたのが、NAPI(New API)機構です。NAPIは、ネットワークに高負荷が掛かった時点でドライバの動作を割り込み駆動からポーリング駆動に切り替えることで、ネットワーク負荷に伴うシステム全体の応答性能の低下を防ぎます(図6、図7)。
なお、NAPIでは新規データが到着していないことをポーリングで検出した時点で、通常の割り込み駆動動作に戻るようになっています。
カーネル2.6では、コンソールレイヤの見直しが行われ、1つの端末に複数のキーボードやディスプレイを接続することができるようになりました。Linuxの新コンソールレイヤの応用としては、教師と生徒が同じコンソール上で作業を行うような教育用の端末などが考えられます。
また、新コンソールレイヤとは直接関係ありませんが、ATキーボードやPS/2マウスなどのPCの標準入力デバイスも従来のUSBインターフェイスキーボードと同様にInput Device機構(入力機器の共通インターフェイス機構)を通して管理されるようになります。
カーネル2.6では、ビデオキャプチャやデジタルビデオ放送受信用ハードウェアに対する対応が強化されています。これに伴い、Video for Linux(Linuxでビデオキャプチャなどを行うドライバ)のAPIがバージョン2にアップしました。
主な変更点を以下に示します。
●ビデオキャプチャ系デバイスサポートの拡充
対応ビデオキャプチャカードの種類が大幅に増えています。例えば、
といったカードへのサポートが追加されています。
●DVB(Digtal Video Broadcasting)デバイスのサポート
デジタルテレビ放送の受信カードをLinux上で動作させるためのデバイスドライバです。ALPS BSRU6/BSRV2/TDLB7の各DVBカードなどをサポートしています。
DVBのサポートに伴い、今後はセットトップボックス用OSとしてのLinuxの利用が加速するかもしれません。
第2章では、特にハードウェア関係を中心にカーネル2.6の新機能を紹介しました。第3章では、ファイルシステムやボリューム管理といった機能について解説します。
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