Convention on Cyber crime
ネットワークのみならず、コンピュータシステム全般への不正アクセスを禁止し、組織犯罪の捜査などのためにコンピュータ上のデータを証拠として差し押さえたり、保全させる命令を実行可能にするなどの行為を、国内法に基づいて刑事手続きを整備するための国際条約。近々、日本もこの条約を批准し、国内法によって保証するべく法整備が行われる。
原案は欧州評議会(Council of Europe)によって起草され、一説には米国や英国などの保有する「エシュロン」と呼ばれる大規模通信傍受システムに対抗した条約ともいわれる。
本条約は、ネットワーク上の犯罪の取り締まりはもとより、犯罪にかかわると見られる証拠がコンピュータシステム内にある場合、そのデータを立件のための証拠などとして、収集したり提出させたりすることに力点が置かれている。また通信傍受法によるところの「重大犯罪」(組織的殺人・薬物・集団密航・銃器 通信傍受法3条1項により規定)に当たる場合、ネットワーク通信の内容のリアルタイム傍受が認められることなど、新規に法整備が必要な要件が多いのが特徴といえる。
現状での問題点としては、そうした証拠保全命令や差し押さえ、強制処分のたぐいを実行できる組織や法律が日本に整備されていないことが挙げられる。犯罪捜査手続きの大きな変化や、人員の確保、専門性教育の問題から、警察や検察以外に新規の「権限ある機関」が設置される可能性がある。法務省を中心にして、この点が今後整備されるものと思われる。
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