BIOSパスワードやハードディスク・パスワードを設定していない場合や、これらのパスワード制限を突破された場合、次の関門はOSのログオン画面になる。正しいユーザー名とパスワードを入力してログオンしないとOSを利用できないようになっていれば、これらを知らない第三者が不正利用する危険は低減する。
しかし、起動時にログオン画面が表示されず、いきなりデスクトップ画面が表示されてしまったのでは、誰でもハードディスクに記録されているデータをのぞき見たり、コピーしたりできてしまう(これは、次項で取り上げる暗号化の有無とは関係がない)。Windows NTでは、最初に必ずログオン画面が表示される仕様になっていたが、ドメインに参加しないワークグループ構成のWindows 2000 ProfessionalやWindows XPでは、利便性を優先して、自動ログオンの設定が可能になった(ドメインに参加している場合、デフォルトでは自動ログオンを設定するGUIツールは用意されていない。だがレジストリを手動で変更したり、TweakUIなどのツールを利用するとドメインでも自動ログオンさせることができる。Windows TIPS「ログオンを省略してWindows 2000を利用できるようにするには(レジストリによる設定法)」参照)。たとえワークグループ構成のPCでも、安全性を高めるために、この機能は利用するべきでない。
■起動時の自動ログオンを無効にする(ワークグループ構成時)
ドメインに参加していないWindows XPでは、ユーザー・アカウントはコンピュータごとに作成・管理される(Windows XP Home Editionではドメインの参加ができない)。いわゆるローカル・アカウントだ。この場合、Windows XPの既定値では、作成した直後のユーザー・アカウントはパスワードを持たない。さらに、Administrator(=管理者)以外のユーザー・アカウントが1人しか存在しない場合、そのユーザー・アカウントにパスワードが設定されていなければ、このユーザー・アカウントに対する自動ログオン機能が動作して、コンピュータを起動しただけで自動的にデスクトップ画面まで表示されてしまう。従って非ドメイン環境で運用しているWindows XPでは、ユーザー・アカウントに必ずパスワードを設定しておく必要がある。パスワードは、コントロール・パネルの[ユーザー アカウント]アイテムの[パスワードを作成する]をクリックし、表示されるパスワード設定画面で設定する。
また、同じくコントロール・パネルの[ユーザーアカウント]から、「ようこそ画面」の使用を停止して、Windows NT/2000と同じログオン画面を使用することもできる。
■ローカル・アカウントの確認(ドメイン参加構成時)
Active Directoryドメイン、あるいはNTドメインに参加しているWindows XP Professionalでは、ドメイン参加設定を行った段階で「ようこそ画面」の使用が自動的に停止され、ドメインに登録されたユーザー名とパスワードを入力しなければ、Windowsにログオンできなくなるので、上記の設定は不要である。ただしドメインのアカウントとは別に、コンピュータのローカル・アカウントが存在する場合には、それらの中にパスワードが設定されていないアカウントが存在しないように注意する。特に、ユーザー名が広く知られているもの(AdministratorやGuestなど)がパスワードなしになっていると、簡単にログオンされてしまう危険性がある。
■「最後のユーザー名」の非表示
ドメイン参加とは関係なく、Windows NT/2000方式のログオン画面を使用している場合には、ローカル・セキュリティ・ポリシー、あるいはグループポリシーの設定で[対話型ログオン:最後のユーザー名を表示しない]を有効にできる。これは、前回ログオンに使用したユーザー名をログオン画面に表示しないようにするための指定だ。これにより、ログオンの際には毎回必ず、ユーザー名とパスワードの両方を入力しなければならなくなり、安全性が高まる。
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