Oracle Database 10g Release 1とリリース時期を同じくして、OracleはODTと呼ばれるVisual Studio .NET(以下、VS.NET)のアドインを提供しました。.NETプラットフォームでより良い開発環境を開発者に提供するために、Oracleはマイクロソフトとパートナーシップを結んで活動しています。このODTは両社のパートナーシップを表す好例です。マイクロソフトはVSIP(Visual Studio Industry Partner)と呼ばれるプログラムを提供しており、Oracleはプレミアレベルパートナーとして、このプログラムに参加しています。これにより、完全にVS.NETに統合された“真の”Visual Studio対応製品としてODTを提供することが可能となっています。
ODTのターゲットはVS.NETを使用している開発者です。ODTを使用することで、Oracleデータベースへアクセスするアプリケーションの開発時に必要な作業のすべてをVS.NETから行うことができます。開発時に必要な作業とは、コーディングのみならず、テーブルやデータベースユーザーの作成、ストアドプロシージャの作成など多岐にわたります。ODTをインストールすることで、これらの作業をすべてVS.NETから一貫して行えます。また、ODTはODP.NETを利用した.NETアプリケーションのコードを自動的に生成する機能を持つので、人手によるコーディングを極力少なくすることが可能です。
このようにODTによって、VS.NETを使用した開発環境は大きく変わります。VS.NETを用いてOracleに接続するアプリケーションを開発する開発者にとって、ODTは標準のツールといえるでしょう。
ODTは以下のようにさまざまな機能を提供していますが、今回は概要を説明し、詳細は次回以降の連載で解説していきます。
Oracleエクスプローラは、サーバエクスプローラによく似たインターフェイスを持ち、Oracleデータベースのオブジェクトをツリー状に表示します。また、ここからテーブルや順序、ストアドプロシージャの作成などさまざまなタスクを開始することが可能です。
デザイナとウィザードは、テーブルをはじめとするデータベースオブジェクトの作成などをVS.NETから行うための画面の総称になります。これらを用いることで容易にデータベースオブジェクトの作成が可能です。
自動コード生成は、ODP.NETのコンポーネントであるOracleConnectionやOracleCommand、OracleDataAdapterのコードをウィザードを利用して自動的に生成します。自動的に生成されたコードの修正は、ウィザードを用いて行うことができます。これにより、.NETアプリケーション開発者のコーディング量は大幅に削減されます。
PL/SQLコード・エディタはVS.NETからPL/SQLストアドプロシージャの開発を可能にします。PL/SQLエディタには、シンタックス・カラーリングやインテリセンス機能があり、VS.NETからコンパイルを行うことも可能であり、コンパイルエラーも表示されます。
Oracleデータ・ウィンドウは、表のデータの表示・編集が可能です。
Oracle問合せウィンドウは、VS.NETからSQLやPL/SQLの実行が可能です。いままでSQL*Plusなどを別途立ち上げて行っていた作業もVS.NETから行うことができます。
ODP.NETについては、クラスやメソッド、プロパティのヘルプはF1キーでダイナミックヘルプが使用可能です。同様にODTについてもVS.NETに完全に統合されており、F1キーで該当ヘルプを表示することが可能です。
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