Windows Server 2003 R2ではDFS(分散ファイル・システム)とファイル複製機能の拡張が行われ、それぞれ「DFS名前空間」と「DFSレプリケーション」という名前に変更された。複数のDFSサーバを使った冗長性の確保や、DFSサーバ間でのレプリケーション(複製)機能などが強化されている。
■DFS名前空間
従来のDFSを拡張した機能であるが、1つのDFS共有名の下に、複数のサーバを配置することができるようになった。同じコンテンツを提供する2台以上のサーバをDFS共有名のリンク先に指定しておけば、どれか1台のサーバがダウンしていても、リンク先を自動的に切り替えて、障害を意識することなく利用できるようになる。また障害発生時に自動的にDFSのリダイレクト先を切り替えたり、DFSのツリー構造を後で変更(再構築)したりする機能も強化されている。
■DFSレプリケーション
複数のDFSリンク先のフォルダの内容を同期する機能であり、例えば本社と支店に置いたサーバ間でコンテンツを同期させたり、複数のDFSサーバ間でコンテンツをコピーしたりといった使い方ができる。同期はファイル全体ではなく、変更のあった部分だけが送受信されるし、同期に使用する帯域やスケジュール、レプリケートの対象とする(もしくは対象外とする)ファイルやフォルダの指定機能など、レプリケートの方法を柔軟に制御することができる。
「印刷の管理」ツールは、ドメイン内のプリンタに関する管理業務をまとめた新しいツールである。ドメインやサーバのプリンタ・スプール・キューの設定や管理、ポートや用紙サイズなどの定義、グループ・ポリシーでの展開などの機能を持つ。ブランチ・オフィス(支店)に置いたプリンタのリモート管理や、ネットワーク上のプリンタの自動検出なども行える。
UNIX/Linux環境との相互運用性を向上させるために、Windows Server 2003 R2には、UNIX関連のサブシステム(SUA:Subsystem for UNIX-based Applications)が用意されている。これは、Windows OSに対するアドオンとして用意されていた「Services for UNIX 3.5」という製品(現在では無償で提供されている)を組み込んだものである。
従来は別途ダウンロードして組み込む必要があったが、Windows Server 2003 R2では、あらかじめ標準オプション・コンポーネントとして用意されているため。[コントロール パネル]の[プログラムの追加と削除]で必要なコンポーネントを選択するだけで簡単にインストールできる。利用可能なUNIX関連の機能としては、POSIX/SVR-5/BSD互換サブシステム、POSIXアプリケーション・デバッグ用のVisual Studioデバッガ拡張機能、NFSサーバ/クライアント機能、NISサーバ機能、パスワード同期機能などがある。
以上のUNIXサポート環境には、UNIXのアプリケーションを開発するためのSDKは含まれていない。必要ならば、Windows Server 2003 R2とは別にSDKをダウンロードし、インストールする必要がある。
このSDKをインストールすると、シェルを始めとする各種ユーティリティやコンパイラなどのツールが利用できるようになる。
ADAMは、Active Directoryを利用しつつ独立したディレクトリ対応アプリケーションを開発するために用意された、シンプルなLDAPディレクトリ・サービス環境である。これも、もともとはWindows Server 2003とは別に提供されていたコンポーネントであるが、Windows Server 2003 R2では標準オプション・コンポーネントとして用意されることになった。
ADFSを簡単にいえば、Active Directory環境で利用できるSSO機能(シングル・サインオン。1度ログオンすれば、サーバが変わっても再ログオンする必要なく、シームレスにサービスを利用できるようにする機能)を、Active Directoryのドメインやフォレストを越えて実現するための機能である。例えばある2つの独立した組織(ある会社とそのパートナー会社など)が、Active Directoryの信頼関係を結ぶことなく、SSOが可能になったり、サービスやリソースが利用可能になったりする(ただしWebベースのアプリケーションでのみ利用可能)。
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