開発が佳境に入ると、お昼をゆっくりと食べる時間はない。そんな場合、近くのコンビニで弁当を買って済ませる人も多いのではないだろうか。そこで、フードプロデューサー、フードジャーナリスト、料理研究家でタレントの園山真希絵さんに、健康的なコンビニ弁当の選び方を伝授してもらおう。
お昼どき、コンビニに行ったはいいものの、何を買っていいのか迷ってしまうという方も多いのでは?
忙しくてコンビニで悩む時間はない!
そこで、今回は、メインとなるエネルギー源食品(おにぎり・パン・お弁当)を軸に、ぱぱっと選べて、体にいい食べものをチョイスしてご紹介します。
おにぎりは、海苔(のり)がおにぎり全体に巻いてあるものを選びましょう。海苔は、ビタミン・食物繊維・カルシウムを豊富に含むアルカリ性食品であるため、酸性に傾きがちな体を正常に戻す働きがあります。また、大豆に匹敵するくらいの良質なたんぱく質を含み、さらに、マグネシウム・鉄分・亜鉛・ヨウ素など有効な微量元素を含んでいます。海苔を食べることで、体内のミネラルバランスを調整する働きもしてくれるというわけです。
もし、白米でなく、低エネルギー&高栄養素の玄米・黒米・赤米などのおにぎりがあれば、そちらもかなりお薦めです!
理想の組み合わせは?
例)たらこおにぎり+もずく酢+なめこの味噌汁+豆乳飲料(写真1)
たらこには、良質なたんぱく質・元気の源であるビタミンB群・精神状態を安定させるカルシウム・血行促進に効果のある鉄分などが含まれているため、とても栄養価に優れた食材です。
が、唯一、コレステロール値が高いのが難点。酸化したコレステロールは、血管を狭め血行を阻害し、結果、エネルギー代謝が低下して肥満を招きます。
そこで、登場するのが、もずく酢やなめこです。これらには、コレステロール値を下げてくれる食物繊維が豊富ですので、たらこのコレステロール値を取り除いてくれるというわけです。さらに、もずく酢に含まれる酢のクエン酸効果は、ダイエットにも役立ちます。また、味噌や豆乳には、脂肪を燃焼してくれる働きもあるので、もずく酢やなめこに加えて、ダイエット効果増大です。
ちなみに豆乳には、約2%の脂肪が含まれていますが、その脂肪はコレステロールを含みません。さらに豆乳には動物性油脂の摂り過ぎからくる血管に吸着したコレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やしてくれる働きがあります。また、うれしいことに、集中力アップのビタミンB群や、老化を防ぐビタミンEも含まれています。
しかし、これじゃいくら何でもすぐにお腹が空く、という方に、あと一品追加するなら、次はどうでしょう。
例)ちーかま・ちくわなどの魚介の練り物製品
これらは、低カロリーで高タンパク、かつ、コレステロール値が低いだけでなく、血栓を溶かし、血液をサラサラにして動脈硬化を防ぐEPA(エイコサペンタエン酸)や、生活習慣病予防に効果を発揮するDHAが含まれます。
例)昆布のおにぎり+かぼちゃの煮物+ほうれん草の胡麻和え+緑茶
昆布には、ミネラル・カルシウム・鉄分などが豊富に含まれます。しかも、昆布のミネラルは、体内への消化吸収率が高く、その約80%が体内に吸収されるといわれています。また、昆布の食物繊維は、コレステロールや糖分を排出してくれる働きも持っています。
かぼちゃやほうれん草は、カロチンやビタミンCが豊富です。カロチンは視力低下に効果的であるうえ、コレステロールの排泄を促進します。また、かぼちゃ・ほうれん草・胡麻ともに悪玉コレステロールを取り除く効果もあるため、血管系を若く保つことができます。
もし、これらのお惣菜のほかにさらに追加したい場合は、コレステロール値を下げる効果を持つ不飽和脂肪酸の多い食品(青魚やオリーブオイルなど)や、食物繊維の多い食品(きのこ・寒天・ひじき・わかめ・こんにゃく・大豆・切り干し大根・さつまいも・ごぼう)などの入ったものを選びましょう。
ということで、上記にさらに一品追加するならば、鯖の味噌煮・ところてん・きんぴらごぼうなどをお薦めします。
甘い洋菓子の菓子パンは避けましょう。例えば、クリームパン・メロンパン・デニッシュ・ドーナツなどは、中に入ってる栄養素が少なすぎてNGです。また、「飽和脂肪酸(主に動物性の油)」の多い食べ物(肉・生クリーム・鶏卵・バターなど)と、糖質を多く含んだものをたくさん摂取すると、血液中のコレステロール値を上昇させ、動脈硬化などを促進してしまいます。
よって、野菜がいっぱいのサンドイッチや、惣菜パンを。ただし惣菜パンも、揚げ物や焼きそば入りはNG。もし、どうしても甘い菓子パンが食べたいとなれば、体脂肪分解作用のあるブラックコーヒーをお薦めします。無糖コーヒーは、脳の活性化にも役立ちます。
例)あんパン(粒あん)+トマトジュース(orトマトスープ)(写真2)
あんこ(小豆)には、糖質を分解してエネルギーに変えるビタミンB1や、血液サラサラ効果のあるサポニン、成人病を防いでくれるアントシアニン、そして、あんこ自体の糖分の吸収を妨げる食物繊維が豊富に含まれます。この食物繊維は、こしあんより粒あんからの方に多く含まれるので、ぜひ粒あんを選んでみて下さい。
そして、このあんパンに足りない栄養素をトマトジュースから補います。トマトジュースに使われるトマトは、加工用に栽培されている赤系トマトと呼ばれるもので、生食用のピンク系トマトに比べると、リコピンの量が断然豊富です。リコピンは、注目の抗酸化物質で、人間の体に悪影響をもたらす活性酸素を退治してくれる優れた栄養成分です。
このほかに、トマトジュースには、胃を丈夫にするビタミンUや、抗がん作用を持つとされるクロロゲン酸やケルセチン、また、血清コレステロール濃度を下げたり、糖分の吸収を妨げる食物繊維も含まれています。
よって、あんパンの糖分も小豆と共にカットしてくれるというわけです。もちろんトマトを生で食べるのもいいですが、ジュースなら、効率よく手軽にトマトの栄養を摂りいれることができるので、よりお薦めです。さらに、トマトジュースはカロリーも低いので、ダイエット中の方にももってこいです。そして、トマトの独特な酸味には胃酸の出過ぎによるむかつきをやわらげる効果があるため、二日酔いにも効果てきめんです。
例)チーズと野菜のサンドイッチ+レモンジュース(写真3)
チーズは牛乳が原料であるため、たんぱく質・脂肪・ビタミンA・ビタミンB2・カルシウムが豊富です。また、加熱されないナチュラルチーズは、乳酸菌が生きたまま腸内で増殖するため、おなかの調子も整えてくれますし、皮膚や粘膜の強化作用や、内蔵系を強くしてくれるともいわれています。
このチーズに足りない栄養素とくれば、ビタミンCです。よって、一緒にビタミンC豊富な野菜やレモンをプラスしましょう。ただし、レモン入りのジュースを選ぶ際、成分表示を参考にして、ビタミンC含有率が高いものを選ぶことが重要です。でないと、ほとんどレモンが入っていないということも。また、レモンにはチーズに含まれる脂質が体内に蓄積されるのを防ぐ働きもあるので、ダイエットにも最適です。
もし、これらにもう1品プラスするとすれば、より整腸作用に効果的なヨーグルトです。カルシウムもアップされるので、イライラしやすい方、ストレスのたまっている方にも最適です。
サンドイッチのパンですが、もしあれば、白いパンでなく、ビタミン・ミネラル豊富な全粒粉パンか、ライ麦パン・胡麻パンを選びましょう。全粒粉やライ麦は、血糖値の急激な上昇を避けてくれるので、肥満予防にもつながります。
野菜類のおかずや焼き物などバランスよく入ったものを選びましょう。となれば、お弁当では、幕の内弁当や和風弁当が最適です。
チャーハン・カツ丼・そぼろ丼などでは、食材の種類が少なすぎて、カロリーだけ多く摂取することになり、栄養が偏ってしまいます。
もしどうしても食べたいのであれば、お弁当とは別に、副菜で野菜のお惣菜(おからの煮物・ひじきの煮物・青菜のお浸し等)や海藻類(ところてん・わかめの酢の物等)を組み合わせましょう。また、もしミニサイズがあれば、ぜひそちらを。
パスタもきのこや野菜の多めに入ったものをチョイスすることを心がけましょう。そして、パスタには、代謝を促進してくれるタバスコをかけることをお忘れなく。
例)中華丼+わかめスープ+カテキンの多い緑茶(写真4)
丼ものの中でも、ヘルシーな具材が多く含まれる中華丼は栄養面からすると優秀です。が、油がたっぷり使われているのが気になるところです。
そこで登場するのが、脂肪を効率良く分解して中性脂肪を低下させるといわれるわかめです。低エネルギーであるうえ、わかめの食物繊維は便秘防止に効果ありです。
さらに、わかめに含まれるカルシウムの吸収率を高めるにはお酢が一番なので、このスープにお酢を加えて飲んで頂ければよりグッドです。
ですので、わかめスープの代わりに、「わかめときゅうりの酢の物」でもいいですね。わかめにはビタミンAも含まれますが、このビタミンAは、油と一緒に採ると吸収率がアップするため、中華丼の油との組み合わせはとても理にかなったものといえます。
そして、体脂肪が気になる方は、カテキン成分の多い緑茶を。緑茶のカテキンには、血圧上昇抑制効果や口臭予防・腸内細菌の正常化・糖尿病予防・動脈硬化予防にも効果があるといわれています。しかし、これも定期的に続けなければ、意味がありません。継続は力(健康体への第一歩)なりです。
例)幕の内弁当+烏龍茶
やはりおかずがバランスよく入った食品数の多い幕の内弁当はお薦めです。が、とはいっても、いろんなものが入っている分、脂肪分も多くなります。揚げ物の衣は、ちょっとはずしたりしましょう。また、食べる順番として、食物繊維の入ったものや酸味のあるものなどから箸をつけてください。
こうすることで、血糖値の上昇を緩やかにして、体に脂肪がつきにくい体にしてくれます。そして、一緒に烏龍茶を。
烏龍茶のポリフェノールは、消化酵素の働きを阻害し、脂肪分が排泄されるように働きかけます。また脂肪分解酵素リパーゼを活性化させて、内臓脂肪を燃焼しやすくしてくれます。
例)蕎麦+キムチ+100%グレープフルーツジュース(写真5)
蕎麦は、ご存じのとおり、多くの健康効果が期待できます。例えば、「コレステロールを下げる」「糖の吸収を遅らせ、インスリンの分泌を促進して、糖尿病を予防する」「抗動脈硬化作用がある」「毛細血管の強化作用がある」「血圧低下作用がある」などです。
こんな素晴らしい働きをしてくれる蕎麦ですが、より一層健康効果を高めるには、上記に挙げたサンドイッチのように、ビタミンCをプラスすることです。薬味のネギにも多少は含まれていますが、それではちょっと足りません。
そこで、ビタミン豊富なキムチやグレープフルーツジュースをお薦めします。キムチの栄養素で、まっさきに挙げられるのは、ビタミンの豊富さです。これは、野菜などのキムチの材料に元来含まれていたビタミンに加えて、発酵でさらに多くのビタミンが作られるためです。ビタミンB群は特に多いのですが、ビタミンCも見逃せない存在です。1日300〜400gのキムチで60〜80mgのビタミンCを摂ることができます。
そのほか、体の中でビタミンAとして働くカロチンも多く含まれていますが、これは、キムチには欠かすことのできない唐辛子が、豊富にカロチンを含んでいるからです。もし、キムチが苦手な方は、蕎麦をおろし蕎麦(大根にもビタミンCが豊富)にするとか、蕎麦に七味をかけるなどしてみてください。
そのほか、最近ではヘルシー系のカップ麺が続々と出てていますので、カップ麺で済ませたい方は、そうしたものを選んでみてください。
そのほか、枝豆・野菜たっぷりの暖かいスープ・さけるチーズ(ピリ辛)・ミミガー・海藻サラダ・里芋の煮物・梅干し・納豆・お漬け物・ししゃも・干し芋・おでん(大根・昆布・白滝)・するめ・アーモンド・豚汁・アミノ酸飲料、大豆食品(納豆・豆腐・豆乳・おからなどなど)・温野菜もの(生野菜より栄養価に優れています)・魚貝類・酸味の効いたもの(梅干し・酢・レモンなど)を積極的に摂りましょう。
タバコを吸われる方は、1本吸うごとに25mgのビタミンCが失われていくので、意識して多めにビタミンCを摂ることをお薦めします。ビタミンCは細菌に関する抵抗力を高める働きもあるので、風邪の予防にも最適です。
脂っこいものには、お酢や辛み成分をプラスしましょう。ただし、唐辛子の多量摂取は味覚障害の原因になるので、ほどほどに。
デザートがどうしても食べたいときは、フルーツの入ったゼリーや、ヨーグルト・ムース系ものを。またチョコレート好きな方には、カカオ成分の高いビターなチョコがお薦めです。
さらに、カルシウム・鉄・カリウム・マグネシウムなどのミネラルを豊富にバランス良く含んでいるアーモンドが入ったアーモンドチョコは理想的です。しかし、食べ過ぎに注意です。チョコはちょこっと。そして、無糖の温かい飲みものを合わせましょう。
サプリメントは、あくまでも食事の補佐役に。食事の代わりにサプリメントだけで済ます方もいますが、となるとエネルギー不足になり、疲れやすくなります。きちんと食事をしたうえで、賢くサプリメントを摂りましょう。
食事後は、シュガーレスガムを。口の中がすっきりすれば、またリフレッシュして仕事を再開できます。
園山真希絵
高校時代に「食」に目覚め、食べることでキレイになるオリジナル料理の研究を始める。この料理のお陰で、1年間でリバウンドなく健康的に25キロのダイエットに成功。現在、数々の雑誌でコラム・料理レシピなどを紹介をするかたわら、テレビやラジオ番組にも多数出演。料理トークショー・講演会・料理教室といったイベント活動も行う。また、レストランの料理プロデュース・商品開発・食カウンセリングも手掛けるなど、フードプロデューサー・フードジャーナリスト・料理研究家・タレントとして活躍の場を広げている。株式会社MAKIEAT 代表取締役。
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