いよいよデータベース構築です。ここでは、Oracle10g RAC特有のASM(Automatic Storage Management)の作り方と使い方について特記します。なお、データベース構築もOracle Netの設定同様、GUIのDBCA(Database Configuration Assistant)を使用します。DBCAでは、もろもろの選択肢が表示されますので、それを選択するだけでデータベースを作成できます。
その項目ですが、まず[ASMインスタンスの作成]の画面で、[初期化パラメータ・ファイル(IFILE)を作成]するか、[サーバ・パラメータ・ファイル(SPFILE)を作成]するか、を聞かれます(図8)。仮に共有ディスク上のRaw DeviceにSPFILEを作成し、全ノードで共有できるのであれば、SPFILEがよいと思います。しかしDBCAのデフォルトは、Raw DeviceではなくFile Systemのため、IFILEで問題ありません。
続いて[ディスク・グループの作成]の画面です(図9)。[新規作成]ボタンを押下すると、使用可能なRaw Deviceや、冗長性について聞かれます。冗長性とは「ディスク・グループを何重化するか?」の設定であり、[高]は3重化、[通常]は2重化、[外部]は1重化(冗長化しない)です。共有ディスクの機能でRAIDを構成していたり、バックアップ運用との兼ね合いもありますので、適した設定を行います。冗長性に加え、ディスク・グループ名とRaw Deviceを設定したら[OK]ボタンを押下します。
以上の手順で、ASMディスク・グループは作成できます。後は、作成したディスク・グループを使って、データベースを作成します。DBCAでは、使用したいディスク・グループ名を指定することで、当該ディスク・グループにファイルを作成できます。
またDBCAではあまり意識しませんが、ディスク・グループ上のファイルを扱うには、ディスク・グループ名の頭に「+」を付けます。例えば、「DATA」というディスク・グループにUSERS表領域を作成する場合、リスト1のようなSQL文となります。
CREATE TABLESPACE users |
リスト1 ディスク・グループのファイルに表領域を作成するSQL文 |
制御ファイルやデータファイル、REDOログ・ファイルなどの作成場所を設定したら、通常どおりデータベースを作成します。作成が終了したら「crs_stat -t」コマンドでOracle Clusterwareのリソースを確認してみましょう。すべてのリソースに「ONLINE」と表示されれば、正常に構築完了です(リスト2)。
$ crs_stat -t |
リスト2 Oracle Clusterwareのリソースを確認 |
今回は3回にわたりOracle Standard Edition RACについて連載しました。Standard EditionでもRACが構築可能となったことで、RACを導入する際の敷居は大分低くなったと思います。しかし、ただ構築すればよいということではありません。RACは、あくまでアーキテクチャの1つです。そのアーキテクチャを生かし、どのような環境と組み合わせてシステムを構築するかは、エンジニアの手腕にかかっています。OSやデータベースに限らず、より多くのパーツを組み合わせ、よりよい環境ができればと思います。今回の連載が、少しでもそのきっかけにつながれば幸いです。3カ月間、ご高覧いただき誠にありがとうございました。(連載完)
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