HTTPSプロトコルによる暗号化通信では、Webサイトのデジタル証明書が使われる。公開サーバで利用するなら、デジタル証明書は正規の認証局から発行してもらうことが望ましい。Webサイトのデジタル証明書が公認の認証局から発行されたものかどうかを確認することは、安全なWebアクセスのために最低限必要なことである。
対象ソフトウェア:Internet Explorer 6/Internet Explorer 7
氏名や住所、口座番号、メール・アドレスなどのほか、重要な情報をWebサイト経由でやりとりする場合、一般的にはSSLを使った暗号化通信(HTTPSプロトコル)が利用される。Webブラウザでアクセスする場合は、アドレス欄(URL)が「http://〜」ではなく、「https://〜」で始まっていれば、HTTPSでアクセスしているということを表している。HTTPSでは、サイトに割り当てられたデジタル証明書などに基づいて通信データを暗号化し、Webサイトの改ざんやなりすまし、盗聴などから通信を保護している。デジタル証明書には、そのサイトが正規のものであることを保証するデータが含まれており、公的な機関や、その身元が厳格に保証されている機関が発行し、認証のための基盤として機能している。
だがこのような公式なデジタル証明書ではなく、裏付けのない、勝手に作成された証明書に基づいてWebサイトが構築されていることがある。このような証明書は、「自己発行証明書」とか「オレオレ証明書」などと呼ばれることがある。
デジタル証明書の作成作業そのものは非常に簡単であるため、意図的であるにしろ、そうでないにしろ、このような“オレオレ証明書”を使って構築されたサイトは少なからず存在する(正規のデジタル証明書の取得方法やIISでの運用方法などについては、「個人情報保護法時代のIISセキュリティ対策」を参照のこと)。だが安全にWebサイトを利用するには、常にWebサイトのデジタル証明書が正しいかどうか(正規に発行されたデジタル証明書が使われ、それが現在有効であるかどうか)を確認するようにしたい。本TIPSでは、その方法について解説する。
なお、たとえ正規のデジタル証明書が用いられているWebサイトでも、悪意のあるコンテンツが仕込まれている可能性がある。こうした危険性への対処については別稿で触れるつもりである。
Internet Explorerを使って現在アクセスしているWebサイトが、正しいデジタル証明書を利用しているかどうか確認する方法は、非常に簡単である。Webサイトにアクセスしているときに、Webページ上で、画像などがないところを右クリックし、ポップアップ・メニューから[プロパティ]を選択する。[ファイル]−[プロパティ]メニューを実行してもよいが、ポップアップ・ダイアログやフレームを使ったWebサイトのように、ページ上部にURL(アドレス・バー)が表示されていないページの場合は、右クリックして[プロパティ]メニューを実行するのが簡単である。
このウィンドウには、アクセスしているプロトコルが最上部に表示されているが、ここが[HyperText 保護機能付き転送プロトコル (HTTP)]となっていれば、HTTPSによる暗号化通信が行われている。だが単に[HyperText 転送プロトコル (HTTP)]となっていれば(そして、その下の[接続:]が[暗号化なし]になっていれば)、それはHTTPプロトコルによる非暗号化通信が遣われている。
HTTPS通信の場合は、さらに右下の[証明書]ボタンをクリックして、デジタル証明書の内容を確認する。正しい(有効な)デジタル証明書ならば、例えば次のように表示される。
これに対し、自己発行されたデジタル証明書の場合は、例えば次のように表示される。
(1)の証明書アイコンに赤い×印が付いていることから分かるように、この証明書は正しいデジタル証明書ではない。その理由にはいくつかあるが、この場合は、自己発行された、いわゆるオレオレ証明書なので、正しい証明書であるかどうかを判断できないので、問題があると見なされている。自己発行されたものかどうかは、[証明のパス]タブをクリックすると確認できる。
これに対し、正規のデジタル証明書の場合は、次のような階層構造が表示される。
以上が、Webサイトのデジタル証明書が正しいかどうかを確認する方法であるが、実際には、そのWebサイトにアクセスする前に問題がないかどうかを検出し、そのサイトへのアクセスをやめるべきである。
何らかの問題のあるデジタル証明書を持つサイトへ(HTTPSで)アクセスしようとした場合、Internet Explorerでは、次のようなダイアログを表示するので、その時点でアクセスを中断することを勧める。特にInternet Explorer 6(以下IE6)では、1度アクセスを許可してしまうと、以後は警告しなくなるので、問題があるかどうかが分からなくなってしまうからだ(IE6を再起動すればまた警告する)。Internet Explorer 7(以下IE7)の場合は、そのようなデジタル証明書を持つページへアクセスしていると、アドレス・バーの部分にずっと赤い警告表示が行われるので、分かりやすくなっている。
IE7で同様にアクセスしようとすると、よりはっきりと、問題のある証明書であることが表示される。
(2)を選んで強制的にWebページを表示させると、次のように、アドレス・バー部分が赤く表示され、問題が発生していることがすぐに分かる。可能な限り、このようなWebページへのアクセスは避けるべきである。
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