では、Solaris Clusterはどのような構成で動作するのでしょうか。
図1が、クラスタリングアプリケーションのイメージです。ここで示すように、各ノードは、オペレーティングシステム、クラスタインフラストラクチャ、高可用性を提供するためのエージェント、アプリケーションという4つのソフトウェアスタックから成り立っています。
各ノードは、互いに通信するためのインターコネクトでつながる一方で、各ノードが共通にアクセスするための共有ストレージを持っています。このようなアーキテクチャを持つことで、外部から見て1つのクラスタリングインフラを提供し、サービスに高可用性を持たせることができます。
クラスタソフトウェアスタックについて、もう少し補足しましょう。
まずオペレーティングシステムが基盤にあり、クラスタリングを構成するための環境があります。その環境インフラ上に、クラスタリングを利用し、高可用性を実現するためのエージェントが動作しています。このエージェントは、アプリケーションに密接に関連しており、もし、アプリケーションが提供しているサービスが停止してしまった場合、ほかのノードにサービスを移動することができます。
次に、Solaris Clusterのインフラを形作るハードウェア構成を見ていきましょう(図2)。ここに示したのは、2ノードからなるクラスタリングの利用例です。
まずネットワークから紹介しましょう。各クラスタノードは、冗長化されたIPネットワークマルチパスを持っています。この冗長化されたIPマルチパスのことをIPMPといいます。IPMPの詳しい説明は、「Solarisのシステム管理(IPサービス)」を参照してください。Solaris Clusterでは、このIPMPを用いて、ネットワーク障害の検知や冗長化を行っています。
ここでは特に、ノード間をつないでいる「Cluster Transport Cables」に注目してください。これは、ノードが互いに生存を確認するハートビートの構成になっています。このような構成を持つことで、ノードが互いに監視し合い、停止していないかをやりとりしています。
図2のような構成では、ネットワークを冗長化しながら、外部からのアクセスを受け付けるためのサービスIPアドレス(論理IPアドレス)を設定する必要があります。そのような論理IPアドレスによって設定されたホストを「論理ホスト」といいます。論理ホストを用意することで、物理的には複数のノードから構成されていても、外部からはあたかもシングルホストのように見ることができます。また、クラスタノードのうちどれか1つが何らかの障害によってダウンしたとしても、その論理IPアドレスはほかのノードに引き継がれます。
続いて、共有ストレージの利用について解説します。各ノードが共通のディスクを持つことができるように構成します。
ここでポイントとなるのは、共有ストレージは、必ず「単一障害点」がないよう構成しなければならない点です。ネットワークの冗長構成と同様に、ストレージへのパスについても冗長化を行う必要があります。
ストレージへのパスの冗長化に関しては、サードパーティの製品を使うか、Solaris標準の機能であるSTMS(Sun StorageTek Traffic Manager Software)を利用する必要があります。詳しい設定や説明は「Solaris SAN Configuration and Multipathing Guide」にあります。
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