あるきっかけで生まれ変わったASPサービス担当者ITエンジニアのためのモチベーション診断(1)(2/2 ページ)

» 2008年05月16日 00時00分 公開
[荒井亜子@IT]
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机に看板を立てた、あるASPサービス担当者の話

 田中氏が、あるエンジニアの事例を話してくれた。

 「僕の仕事を誰も理解してくれない」とふてくされていたあるASPサービス担当者が、モチベーション研修をきっかけに行動を起こした例である。モチベーション研修のグループワークで「どうせ僕の仕事なんて分かってくれない」とすねていたASPサービス担当者に対し、グループのメンバーから「そもそも、あなたの仕事、何しているかなんて分からないですよ。知らないのに分かってくれないといわれても困る」と指摘された。参加者のひとりが「自分の仕事は○○だ!」と宣言すればいいじゃないですか」とアドバイスをした。

 翌日このASPサービス担当者は、「ASPのことなら僕にお任せください」という看板を机に掲げた。本当に地味で小さい看板だった。ところが、その反響がすごい。口コミで社内に広がり、最初はからかい半分で研修参加者たちが見に来た。しばらくすると、ASPに関してはもちろん、ASPに直接関係ないことまでいろいろ聞きに来る人が増え、門前市をなす状態になり、質問をさばかなくてはいけなくなってしまった。「お任せください」といった手前、知らないとはいえないので、自発的に新しいことも勉強するようになった。こんなに自分に興味・関心を示してくれると分かったら、急に仕事に燃えだした。さらに、「情報が集まってくる」という予想外の副産物が彼のやる気を刺激し、それ以来2年間ずっとモチベーションが下がっていない。以前は内向的で話し掛けにくかったが、すごい変わりようだった。


 このASPサービス担当者は、自分の仕事内容が誰にも知られていないことに最初はショックを受けたというが、周りから「アピールしなければ分からないよ」と気付かされ、行動が変わったのだ。

モチベーションとコミュニケーションはセットで考える

 田中氏は、「誰かのモチベータ(やる気の元)を刺激するには、『コミュニケーションを介して』でないとできない」と述べる。ディスカッションをして自分の課題に気付いたり、人からアドバイスをもらって行動に移したり、周りの人とのコミュニケーションが非常に重要だ。

 このASPサービス担当者の場合も、グループディスカッションを通して、周囲からアドバイスをもらい、自分に足りなかったものに気付けた。さらに、周囲の人からの興味や関心を得られるような具体的な行動を取ることができた。その結果、自分の仕事が世の中に必要とされていることを知り、モチベーションの向上につながった。従って、個人のモチベーションは、周囲とのコミュニケーションを通じて育まれていくといえる。

 モチベーションを上げる秘けつは、コミュニケーションにあるのかもしれない。

次回予告

 ASPサービス担当者の例のように、モチベーション管理には、客観的な分析を通じて自分の課題を知ることが重要だ。次回、JTBモチベーションズが提供する「やる気」分析システムMSQ(Motivation of Status Quo)の簡易版を、記事上で実施する。自分のやる気が上がる要因、やる気が下がる要因は何か? 現状を知るために効果的な方法の1つとして紹介する。客観的に自分のモチベーションを測りたいという人はぜひお試しいただきたい。


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