サーバ統合で広く活用されているVMware Infrastructure 3であるが、最近はこれをデスクトップシステムにおいても活用しようという動きが広まってきている。デスクトップOSであるWindows XP、Windows VistaもVMware ESX上で動作させるゲストOSとして正式サポート対象であるため、サーバOSと同様に仮想マシン上で利用できる。Windows XP Professional、Windows Vista Business、Windows Vista Ultimate、Windows Vista Enterpriseはリモートデスクトップのホスト機能を保有しており、IPネットワーク経由で遠隔から利用可能である。そこでユーザーのデスクトップ環境をすべて、データセンター上で動作する仮想マシンという形で集約し、個々のユーザーは、例えばシンクライアント端末などから、リモートデスクトップ機能を用いて自分のデスクトップを遠隔利用するといった業務形態をとることができる。
ヴイエムウェアではこのソリューションのことをVirtual Desktop Infrastructure - VDIという呼び方で提供している。VDIではユーザーのデータはすべてデータセンター側に配置されるのが最大の特長である。ユーザーの利用環境、例えばオフィス側に対しては画面を転送するのみであるため、デスクトップ環境のデータは一切保存されない。このため管理者はデータセンターに集約された各ユーザーのデスクトップを集中的に管理することが可能となるため、管理コストの削減とセキュリティの向上を同時に実現することができる。
各ユーザーに個別にデスクトップPCやラップトップPCを物理的に割り当てる方式の場合、さまざまなデータは個々の環境の内蔵ディスクに保存されることになる。これは企業にとっては、大切な情報が個人の保有する環境に散在しているということを意味しており、データの適切な保護や漏えい対策など、さまざまな難しい課題を抱えることになる。VDIではデータはすべてデータセンターに配置されるため、バックアップなどは集中的に行うことができ、またユーザーが利用する物理端末が盗難に遭った場合でもデータが漏えいする危険性は非常に低くなる。
VDIでは、ユーザーはおのおの1つの仮想マシンを与えられ、それを自由に使用することができる。従来のシンクライアントにはないユーザー利便性の向上が期待でき、同時に、セキュリティの向上やPC管理のインフラ統合によるコスト削減等、相反するニーズを共存させ得るソリューションとして注目が集まっている。
VMware Infrastructure 3を保有しているユーザーはその環境をそのままVDIとして転用することが可能であるが、企業がユーザー全体に対してこの方式を適用しようと考えた場合、ユーザー認証機構との連動、ユーザーとデスクトップ仮想マシンとの対応付け、セッションの暗号化・中継機構といった、さまざまな管理機構も必要となる。これを実現するための製品として、VMwareではVMware Virtual Desktop Manager(以下VMware VDMと略記)という製品を提供している。すでにVMware Infrastructure 3を保有しているユーザーはVMwareVDMのみのライセンスを追加購入することができるし、そうでないユーザーはVMware Infrastructure 3の使用権も含めた形でVM数単位でVMware VDMのライセンスを購入することもできる。
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