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» 2008年09月03日 00時00分 公開

仮想化技術のさまざまな用途VMware Infrastructure 3 徹底入門(5)(3/3 ページ)

[ヴイエムウェア株式会社,@IT]
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ディザスタリカバリにおける仮想マシンの活用

 ビジネス継続性、災害復旧といったキーワードが注目されるようになって久しいが、ここ数年の動向として、これらを実現する際の効果的なツールとしてのVMware Infrastructure 3の活が活発化している。

 災害への対策、例えば地震や火災などで本番環境を稼働させていたビルが倒壊してしまった、という場合の対策を考えてみてほしい。これまでさまざまなソリューションが提供されてきているものの、管理者にとっては依然として難しい問題が多数あるというのが現状だろう。例えば、長距離接続を行うソリューションとしてはDWDMや広域IP系のサービスなどがすでに存在する。データを遠隔複製するためのソリューションも各ストレージベンダから提供されている。サービスを引き継ぐためのソフトウェア的ソリューションも各種提供されている。しかし、それらの各種ソリューションを組み合わせた環境を設計・構築し、実際に災害が発生した際に適切な手順で対応していくというのは、管理者にとっては大きな負担であり、また容易ではないというのが実態である。

 VMware Infrastructure 3を利用すると、このような課題をさまざまな方向から緩和することができる。VMware Infrastructure 3には以下のような特徴が備わっているということを思い出してほしい。

  • パーティショニング
    物理マシンを複数の仮想マシンに分割して並列利用
  • カプセル化
    仮想マシンの情報はすべてファイルという形態で保持される
  • ハードウェア非依存
    ある物理マシンで動作していた仮想マシンのデータを別の物理マシンに移動させても、そのまま問題なく動作させることができる
  • ストレージアレイ装置の活用
    仮想マシンのデータは、起動用領域も含めすべて外付けされたストレージアレイ装置上に格納可能

 これらの特性は、ディザスタリカバリ環境を設計する際においても非常に効果的であるということがお分かりいただけるだろう。例えば、プロダクションサイトとリカバリサイト間で必ずしも完全に同一のハードウェアをそろえる必要はなくなるし、リカバリサイトについては統合比率を高めに設計してハードウェアのコストを抑えるといった構成にすることもできる。そして決定的なのは、仮想マシンのデータはOS起動領域も含めてすべてストレージアレイ装置上に格納できてしまうため、ストレージアレイ装置が保有する遠隔複製機能などを用いてデータの複製をしておけば、その複製ボリュームからそのまま仮想マシン群を起動できてしまうという部分である。このためプロダクションサイトでパッチを適用したらリカバリサイトでもパッチを適用する、あるいはプロダクションサイトのパラメータを変更したらリカバリサイトでも同様に変更する、といったような、さまざまな運用上の工数を削減・単純化することができ、また人為的ミスを減らすことも期待できる。

図4 ディザスタリカバリにおけるVMware Infrastructure 3の活用 図4 ディザスタリカバリにおけるVMware Infrastructure 3の活用

 このアプローチはVMware Infrastructure 3環境上で動作するすべてのサービスに対して適用可能である。従って、サーバ系のシステムのみならず、前節で説明したデスクトップ系のシステムさえもディザスタリカバリの対象にしてしまうことが可能となる。

 VMware Infrastructure 3を使うだけでも、かなりディザスタリカバリの設計・運用を容易にすることができるが、それでもなお幾つかの手動ステップが存在する。そこで、このような環境を管理する際に必要となる、VMware Infrastructure 3環境に対する制御とストレージアレイ装置に対する制御を包括的に提供する製品としてVMware Site Recovery Manager(以下、VMwareSRMと略記)という製品が提供されている。VMware SRMはVMware VirtualCenterと連携すると同時に、ストレージアレイ装置とも連携し、ボリュームの切り離しやプロパティの変更、サイトのフェールオーバやその試験といった事項を包括的に制御する。ストレージアレイ装置との連携モジュール部分についてはVMwareとストレージベンダ各社との共同開発といった形で実装を進めており、さまざまなストレージベンダの装置との接続モジュールが出そろうことが期待されている。

仮想化とグリーンIT

 今日のITインフラを考えるに当たり、エネルギー消費は極めて重大な課題である。多くの方にとって、コスト、環境の両面において興味深いテーマではないだろうか。

 仮想マシンを活用することで統合化を進め、稼働する物理マシンの数を減らすことができる。仮想化されていないx86サーバの平均的なCPU資源利用率は1割弱程度ともいわれており、今日も多くのマシンが「アイドル時間」のためにエネルギー資源を消費し続けている。

 VMware Infrastructure 3はエネルギー消費を抑えるためのツールとしても非常に有効である。またVMwareはデータセンターおよびコンピューティング・エコシステムのエネルギー効率を促進するべく結成されたグローバルコンソーシアムThe Green Gridの創設メンバーの一員としてもこの問題に取り組んでいる。

 また北米では、仮想化による物理マシンの削減に応じて、電力会社が企業に対してインセンティブを支払うといったプログラムも提供されている。日本とは電力会社の在り方が異なるため単純には適用できないかもしれないが、今後の方向性として非常に興味深い取り組みではないだろうか。


 今回は仮想化によってもたらされるデータセンターの新しい形と、それを活用したソリューションについて紹介した。

 次回からはいよいよ実践編ということで、VMware Infrastructure 3環境の設計、インストール、構成といったより具体的な内容の連載を開始する。

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