ヤバい頭痛に気を付けろ!──頭痛の種類を把握するドクトル・ピノコのプチ元気の薬(1)(1/2 ページ)

女医のドクトル・ピノコが、つらい日々を送る現代人の体と心にお届けする医療コラム。今回は頭痛を取り上げる。「頭痛」と簡単にいうけれど、実はその種類は千差万別。痛みの種類などを把握し、適切な対応が取れるようにしておきたい。

» 2008年10月03日 00時00分 公開

 頭が痛いことが多い。物価は上がるし、サブプライム問題だって気がかりだし、ダイエットもしなきゃいけないし……。こんな頭が痛いことだらけの時代だからこそ、「頭痛」について知っておこうじゃないか! 強引な出足ですいません。

 さて、その頭痛。1日中パソコンに向かっていると、首や肩が凝ってだんだん頭が痛くなってくるなんてことはありませんか? パソコンとは無縁な仕事に見られがちの私のような臨床医でも、最近は電子カルテ化が進んだためにパソコンへ向き合って仕事をする時間が一気に増えています。パソコンってほんとに目が疲れるのよね。目をしょぼしょぼさせながら電子カルテを打ち込んでいると、だんだん具合が悪くなってきて、自分が医者なのか患者なのか分からなくなってくるし。

 それにしても、頭痛って奥が深いというか、幅広いというか、変わった症状です。だって、頭の痛みにもいろいろな種類があるでしょ。とても身近なものなのに、病院に行ってもどの科の医者にかかればいいのかも分かりにくいという話もよく聞きます。一般的にはまず内科ってことが多いけど(しかも内科もさらにいろいろ分かれているし)、脳梗塞(こうそく)や脳出血なら脳外科や神経内科だし、メンタル的なものから来ていれば精神科や心療内科だし……。ああ、悩ましい。

ひと口に「頭痛」といっても──

 ひと口に「頭痛」といっても、その性状や内容はさまざま。痛みなどの種類によって、それを引き起こしている原因も異なるのです。でも、脳出血による頭の痛みと、肩凝りからもたらされた頭の痛み、どちらも患者からすれば「頭が痛い=頭痛」という同じ症状として解釈されてしまう。そして、その痛みがもう救急車を呼ぶべき事態になっているのか、家で寝ていればよい程度のことなのか、素早く判断することは意外と難しいものです。医者でも迷うことがしばしばですから、患者本人が正確に判断することは極めて難しいはず。

 まず頭痛の中で一番怖いのは、いうまでもなく「脳からくる痛み」、つまり脳卒中によるものでしょう(厳密にいえば脳自体には痛みを感じる機能はないんだけど、その周りの血管などに痛みのセンサーがあるんです)。現に「最近どうも頭痛がするから脳卒中じゃないかと心配なので、ぜひともCTスキャンで見てほしい」という患者さんが多く来ます。でも、意外なことに、頭痛のない脳卒中はとても多いんですよ(ちなみに脳卒中の中に脳梗塞と脳出血が含まれます)。だから「痛くないから大丈夫」というのは実は大きな誤解です。現に脳梗塞の多くは痛みを伴わないんですもの。

 反対に脳出血の場合は痛みを伴うことが多いのですが、中でも最も痛みが激しいものとして有名なものに「くも膜下出血」という病気があります。この頭痛を私は経験したことがないのですが、とてつもなく強烈な痛みだと聞きます。よく、「後ろから突然鈍器で殴られたような頭痛」といった表現をされることが多いのですが、これに嘔吐(おうと)などの症状が伴えばなおさら危険な頭痛の可能性が高くなり、もう救急車を呼ばねばならない状況なのです。

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