富士通シーメンス統合で世界の4強に、富士通IAサーバの国内シェア首位も目指す

» 2009年03月31日 00時00分 公開
[三木泉,@IT]

 富士通は3月30日、同社が2008年11月に発表した富士通シーメンス・コンピューターズの完全子会社化について改めて、報道関係者やアナリストに説明した。富士通シーメンスは4月1日に社名を富士通テクノロジー・ソリューションズ(FTS)に変更し、富士通のIAサーバ開発を包括的に担う組織となる。

 富士通 代表取締役社長 野副州旦氏は、FTSを富士通のグローバル化の変革の軸と表現し、その重要性を強調した。

富士通代表取締役社長 野副州旦氏

 サーバ市場においてメインフレームやUNIXサーバが微減傾向にあるなか、IAサーバの重要性は富士通グループにとってもますます高まる。野副氏は現在27万台のIAサーバ販売実績を、2010年には50万台にする目標を「実現することが富士通のグローバル化のマイルストーン」といい、具体的な数値目標を世界で初めて共有できることになると話した。

 富士通は長期的にはIAサーバの世界市場シェア10%以上を達成し、HP、デル、IBMと並んで明確に4強の1社となることを目指すという。「(目標達成は)容易ではないが、これを達成できるスピードを実現していく」(野副氏)

 富士通 取締役副社長 富田達夫氏は、IAサーバ以外の事業を意識的に縮小する考えはないと明言した。「すべてのセグメントでの製品提供は変わらない。そのなかでIAサーバをどう強化するかということ。既存の顧客はきっちりまもるのがベースだが、そうはいってもIAを主体とし、軸足を移していく」

富士通シーメンス(FSC)の完全子会社化を国内ビジネスの変革にもつなげるという

 富士通は、IAサーバの開発機能をFTSに集約し、4月出荷モデルからグローバルに統一された製品を提供するという。開発製品の評価については、これまで富士通シーメンスにおける評価に加え、富士通における評価が二重に実施されていた。4月からはこの重複作業を排除する。また、量産共通化に向け、製造・試験内容の共通化を図る。

 IAサーバの製造は当面、ドイツのアウグスブルグと日本の福島で行う。新製造拠点を設置する場合には、製造立ち上げをアウグスブルグ工場がサポートすることになる。

 サプライチェーンについてもグローバルで最適化する。グローバル調達センターを設立し、調達窓口を一本化。現在富士通シーメンスと富士通が中国と台湾にそれぞれ独自に持っている国際調達部隊は2009年度上半期中に統合する。さらにリードタイム、在庫回転率などの評価目標を共通化し、品質、コスト、納期の最適化を目指す。

 富士通は国内IAサーバ市場でも、現在の販売台数約8万台を、2010年には20万台に増やし、トップシェアを目指すという。

 これは「いまのままの販売体制では達成できない」(野副氏)。特に中堅・中小企業への販売では、外部チャンネルの活用がかぎとなる。価格勝負に陥ることを避けながら、外部チャンネルに対して明確なインセンティブを提供していくことが重要と話した。

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