Redmineの運用を筆者が経験し、考えたことを以下に挙げる。
1.プロジェクトの問題や進ちょくを見える化できた
Redmineのロードマップ、チケット一覧、ガントチャート、カレンダー、サマリなどの機能で、残タスク、進ちょく率をリアルタイムにモニタリングできる。
遅延タスクをすぐに察知できるため、管理者として早期に是正対策を取ることができるようになった。
2.チーム内の連携作業がスムーズになった
例えば、Redmineでチケット駆動開発を運用後、下記のような運用ルールが自然に生まれた。
開発者の視点では、チケットで自分のタスクやリスクが明確になること、チケットとバージョン管理の連携によってソース修正作業がやりやすくなったことが良かったようだ。
管理者の視点では、作業の担当が替わるたびに担当切替を連絡しなくてもよいことと、Redmine上で作業の状態をリアルタイムにモニタリングできるのが最大の利点だと思う。
3.Redmineによるプロジェクト管理を経験してアジャイル開発をようやく理解できた
Redmineでソフトウェア開発のタスク管理を行うと、RedmineのバージョンがXPのイテレーション、Scrum(WikipediaのScrumの解説へ)のスプリントに相当するように自然に運用できる。
理由は、Redmineのバージョンに紐付くチケットがすべて終了ステータスになると、そのバージョンをリリースできる状態になるからだ。
1イテレーションでリリースするから、イテレーションの単位で開発のリズムが生まれる。RedmineのロードマップがXPのイテレーション計画に相当するように、1イテレーションを2〜4週間で区切れば、アジャイル開発を実践できる。
すると、Redmineのバージョン(XPのイテレーション)へ含むチケットの取捨選択が重要になってくる。理由は、2〜4週間という短い期間でリリースするには、重要度や緊急度の高いチケットを優先しなければ、すぐにタスクが溢れてしまうからだ。
すなわち、プロジェクト管理をチケット管理へ置き換えることで、本来のマネジメントを見える化しているのだ。
Redmineを運用して得た経験は、Redmineによってプロジェクト管理をすべてWeb化できる可能性があることだ。Web化することによって、リアルタイムな進ちょく管理、情報共有が実現される。
チケット入力の運用ルールさえ徹底できれば、Redmineの優れたプロジェクト管理機能のおかげで、進ちょくや作業状態、システムの品質などのメトリクスをバックグラウンドで自動集計してくれる。
開発者は作業報告を気にしないで作業できるし、管理者は進ちょく管理やリスク管理のための材料収集の作業が不要となり、本来のマネジメントに専念できる環境が出来上がる。
Redmineのチケット管理を上手に運用すれば、アジャイル開発を実践するためのプロジェクトマネジメントのインフラになり得るといえる。
Redmineを運用してみて、筆者は下記の課題があると考えている。
上記のケースをクリアできれば、ソフトウェア開発に関するほぼすべての作業をRedmine上に乗せる可能性が広がるだろう。
Redmineでチケット駆動開発を実践して、アジャイルに開発する手法はまだ実験中であるが、従来のプロジェクト管理を根本的に変える可能性があると筆者は考えている。
読者から運用のフィードバックがあればぜひお聞きしたい。
あきぴー
業務系Webシステムの開発部隊に所属するエンジニア。プログラミング開発からプロジェクト管理まで何でも担当している。XP(eXtreme Programming)を代表とするアジャイル開発に興味があり、管理者主体ではなくプログラマ主体の開発プロセスをずっと追い掛けている。主にXPJUG関西(日本XPユーザーグループ関西)やSEA関西(ソフトウェア技術者協会(SEA)関西支部 プロセス分科会)などのコミュニティを中心に活動している。
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