ホームグループに参加後、エクスプローラを起動すると、左側のツリーに[ホームグループ]という項目が表示され、その下に公開されているユーザー名とコンピュータ名のツリーが表示されているはずである。これを見ると分かるように、ホームグループでは、ユーザーごとにそれぞれ固有のライブラリ・フォルダが公開される。
ホームグループを使ってデータをやり取りするためには、単にこのフォルダの中にデータを書き込めばよい。そうすると自動的に相手側のフォルダにデータが渡される。また新しいフォルダを追加で共有したければ、エクスプローラで目的のフォルダを選択し、[共有]メニューを利用して、新しく追加すればよい。
ホームグループを作成する場合、デフォルトではランダムなパスワード(大文字/小文字は区別される)が設定されるが、これでは使いにくいだろう。ホームグループを新規作成するたびにパスワードが変更されると(デフォルトではそうなっている)、コンピュータを立ち上げてホームグループに接続するたびにいちいち新しいパスワードを調べて入力しなければならないからだ。特に離れた場所にコンピュータが設置されているとパスワードを調べるのは大変なので、ある程度固定的なパスワードで運用してもよいだろう。
パスワードを変更するには、エクスプローラで[ホームグループ]アイコンを右クリックし、[ホームグループ設定の変更]をクリックする。
ホームグループに参加済みの場合は次のようなダイアログが表示されるので、[パスワードの変更]をクリックして、新しいパスワードを指定する。
ホームグループを終了するには、上の設定画面で[ホームグループへの参加の終了]をクリックする。すると確認ダイアログが表示されるので、[ホームグループへの参加を終了します]をクリックすればよい。
なお、ホームグループを構成するコンピュータの役割はほぼ対等であり、ホームグループへの参加と終了の順番は任意である。ホームグループの作成後に何台か追加したり、削除したりしても、ホームグループのパスワードはずっと同じものが維持される。ただし最後の1台を終了させるとホームグループそのものがなくなり、次回はまたホームグループの作成から始める必要がある。その場合は新しいパスワードが作成されるので、参加するユーザーにパスワードを配布しないと、利用できない。
ホームグループは、内部的には従来のファイル共有の仕組みをベースにして実現されている。具体的には、ユーザー「$HomeGroupUser」、グループ「HomeUsers」という特別なアカウント(ホームグループが有効な間だけ存在するアカウント)を用意し、各コンピュータ上でこのアカウントに対する共有公開の設定と、それを使った外部アクセスを行っている。この様子は、例えば共有フォルダの管理ツールで確認できる。
ホームグループは、従来のWindows OSでは面倒だったファイルやフォルダの共有を極力簡素化し、ライブラリ機能と併せて、Windows 7向きに使いやすくしたネットワーク共有機能である。各ユーザーのドキュメント・フォルダの内容をほかのコンピュータへ移したり、コピーしたりするといった用途には、手間もかからず、確かに便利である。その名前のとおり、家庭で使うにはこれでも十分だろう。だがいくつか気になる点もある。
まずWindows 7でしかサポートされていない、ということが挙げられる。既存のWindows VistaやWindows XP、そのほかのOSからではまったく利用できない。また、最初にワークグループを作ったときにパスワードを付けても、すべてのコンピュータの電源を落としてしまうとホームグループが消滅してしまう。そのため、次はまた(新しいパスワードで)ホームグループを作成しなければならない。離れた場所にコンピュータがあったり、複数のユーザーで使っていると、パスワードをメモして伝えるなどの手間もかかる。また当然ながら、スリープとか休止状態になると使えなくなるので、ずっと電源を入れておくファイル・サーバ的な使い方にもあまり向かない。 そのような用途では、今回は触れなかったが「パブリック・フォルダ」の機能を使って、従来のようにボリュームをファイル共有機能で公開するのがよいだろう(もしくはファイル・サーバやNASなどを導入するとか)。 これならばアクセス権もユーザーごとのパスワードで制御できる。
今回はWindows 7のネットワーク機能の概要と、ホームグループ機能について解説した。Windowsファイアウォールや管理ツールなど、そのほかのネットワーク機能については次回以降で開設する。
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