第7回 Windows 7のネットワーク機能概要とホームグループWindows 7新時代(1/3 ページ)

Windows 7のネットワーク機能は何が強化されたのか? 今回はその概要と、手軽なファイル共有を実現するホームグループ機能について解説する。

» 2010年01月21日 00時00分 公開
[打越浩幸デジタルアドバンテージ]
Windows 7新時代
Windows Server Insider

 

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連載目次

 今回からは数回に渡って、Windows 7のネットワーク機能について取り上げていく。今回は、Windows 7のネットワーク機能の概要について触れた後、ホームグループ機能について解説する。

Windows 7のネットワーク関連の新機能

 Windows 7のネットワーク関連の機能のうち、主なものを次に挙げておく。BranchCacheやDirectAccess、ホームグループ機能など、新しく追加されたものもいくつかあるが、それ以外の基本的なネットワーク機能はWindows Vista/Windows Server 2008のものとそう大きくは変わっていない。

機能 Starter Home Premium Professional Ultimate/ Enterprise
BranchCache
DirectAccess
ワークグループ・ネットワーク
ホームグループ・ネットワーク 参加のみ ホスト/参加 ホスト/参加 ホスト/参加
ドメイン参加機能
最大共有接続数 20 20 20 20
パブリック・フォルダ共有
同期センター
ネットワークと共有センター
ネットワーク・プロジェクター
ネットワーク・ブリッジ
オフライン・ファイル
IEEE1394ネットワーク・アダプタ
Windowsファイアウォール
セキュリティが強化されたWindowsファイアウォール
ICS(インターネット接続の共有)
リモート・デスクトップ・ホスト
リモート・デスクトップ・クライアント
リモート・アシスタンス
Windows Media Center
Windowsモビリティ・センター
メディア・ストリーミング
ホームメディアへのインターネット・アクセス
PowerShell 2.0/ISE
netsh管理ツール
ネットワーク経由のバックアップ
IIS Webサーバ
IIS Web管理ツール appcmdのみ
VPN再接続
エディション別のWindows 7の主なネットワーク関連の機能
Windows 7のネットワーク関連の機能の概要。新しく導入された機能だけでなく、従来から使える機能やその改良機能もいくつか含めている。いくつかの機能はWindows Server 2008 R2でも利用できる。各機能の詳細については今後解説する予定。

 以下、いくつか特徴的な機能について簡単にまとめておく。詳細な解説は次回以降で行う。

■BranchCache
 本社から細いネットワーク回線で接続された支店などにおいて、ネットワークの使用帯域を抑制する機能。支店内のコンピュータが本社のサーバなどへアクセスしてデータを取得した場合、そのデータを支店内のWindows 7/Windows Server 2008 R2コンピュータに自動的にキャッシュし、以後はそのキャッシュからデータを取得する。同じデータ(ファイルやWebアクセスなど)を何度もアクセスする場合に、ネットワーク・トラフィックを抑制し、応答時間を短縮させることができる。

■DirectAccess
 IPv6を使ってインターネット経由で安全にサーバへアクセスする機能。Windows Server 2008 R2で構築したDirectAccess用のサーバをインターネットに向けて設置しておくと、VPNを使わずに、Windows 7から安全にサーバへアクセスできるようになる。一般的には社内ではLAN、インターネットではVPNと使い分け、操作する必要があるが、DirectAccess環境では自動的に環境が判断され、Windows 7のユーザーは意識する必要なく、安全に社内のサーバへアクセスできるようになる。

■セッション数制限の緩和
 従来、Windows XPやWindows VistaといったクライアントOSでは、同時利用可能なセッション数(同時接続可能なユーザー数)は最大10セッション(10ユーザー)までであった。ネットワーク経由で共有できるのは10ユーザーまでに限られており、それ以上のユーザーは接続できなかった。だがWindows 7ではこの制限が緩和され、20セッションまでとなっている。その理由は不明だが、ホームグループやストリーミング、BranchCache機能の導入などで、(暗黙のうちに)同時接続するユーザーが増えることを考慮してのことなのかもしれない。

C:\>net config server ……ファイル・サーバの構成を表示させるコマンド
サーバー名                               \\WIN7PC_001
サーバー コメント

ソフトウェア バージョン                  Windows 7 Ultimate
アクティブなネットワーク (サーバー)
        NetbiosSmb (WIN7PC_001)
        NetBT_Tcpip_{567AE258-27AB-43A8-B954-0B71D98734BD} (WIN7PC_001)


隠しサーバー                             No
最大ユーザー数                           20 ……20になっている
各セッションのオープン ファイルの最大数  16384

アイドル セッション時間 (分)             15
コマンドは正常に終了しました。

「ネットワークと共有センター」

 Windows 7ではネットワーク関連の状態の表示や設定項目などが、すべて[コントロール パネル]の[ネットワークと共有センター]というところにまとめられ、簡単に参照できるようになった。これはWindows VistaやWindows Server 2008でも導入されていたものだが、より多くの情報を集約している。

Windows 7の「ネットワークと共有センター」
Windows 7の「ネットワークと共有センター」 ネットワークと共有センターでは、ネットワークの設定や状態の確認、ファイアウォール関連などの機能が集約されている。
  (1)「ネットワークの場所」に基づいてネットワーク機能の設定が変更される。
  (2) これをクリックすると、LLTD(Link-Layer Topology Discovery)プロトコルに基づいて、ネットワークの物理的な接続状況が表示される。
  (3) ネットワーク・インターフェイスやホームグループの状況などが表示される。

「ネットワークの場所」

 Windows Vistaの「ネットワークと共有センター」と比較するとかなり項目が増えているが、一番分かりやすい違いはネットワークの場所(ネットワークの種類)の表示だろう(画面の(1)部分)。Windows Vistaでは「パブリック ネットワーク」と「プライベート」の2種類しかなかったが(これ以外に「ドメイン」というのもある。詳細は連載「Vistaの地平」の「進化したWindows Vistaのファイアウォール機能」参照)、Windows 7では以下の3つのタイプがある(これ以外にもう1つ「ドメイン ネットワーク」もある)。この設定は、Windows 7のインストール時に選択するか、上の画面の(1)の部分をクリックして、変更することもできる。コンピュータが設置されている場所のネットワーク環境に応じて、これらのうちのいずれかを選択しなければならない。

ネットワークの場所
Windows 7では、この3種類のネットワークの種類に応じて(これ以外に、ドメイン・ネットワークというのもある)、ファイアウォールや検索機能(コンピュータ・ブラウザなど)の挙動が変化する。

 この3種類の違いは次のようになる。

場所 意味
ホーム・ネットワーク 一番セキュリティ的に緩い設定。家庭内もしくはそれに準ずるような、閉じた環境のネットワーク向きの設定。ネットワークの探索(エクスプローラの[ネットワーク]アイコンの下など)によって、ほかのコンピュータを見つけることもできるし、自分自身の存在がほかのコンピュータからも見つけられるように、周囲に「アナウンス」する。主にワークグループ・ネットワーク向け
社内ネットワーク ホーム・ネットワークとほぼ同じで、セキュリティ的にインターネットなどとは隔離された、比較的安全な閉じたネットワーク向きの設定。自分自身のアナウンスや周囲のコンピュータの探索機能などが有効。ワークグループのほか、ドメイン形態でも運用される
パブリック・ネットワーク インターネットや公衆ネットワーク、無線LAN環境など、最も高いセキュリティが求められる環境向けの設定。自分自身の存在を外部へアナウンスしないし、ほかのコンピュータを探索することもしない。また可能な限り、多くのネットワーク・ポートを閉じ、外部からアクセスされないようにする
Windows 7/Windows Server 2008 R2における「ネットワークの場所」

 これを見ると「ホーム・ネットワーク」と「社内ネットワーク」の違いがあまりないように思われるが、「Windowsファイアウォール」や「セキュリティが強化されたWindowsファイアウォール」のプロファイル(ネットワーク環境別のファイアウォール規則のセット)と組み合わせた場合にその違いが大きく現れる。特にWindows 7/Windows Server 2008 R2のファイアウォールでは従来とは違い、同時に複数のファイアウォール・プロファイルが利用可能になっているので(ネットワーク・インターフェイスごとに異なるプロファイルを割り当てるなど)、これらを区別することは意味がある。Windowsファイアウォールについては、回を改めて詳しく解説する。

Windows 7のWindowsファイアウォール
Windows 7では、ネットワーク・インターフェイスごとにプロファイルを割り当て、適用できる。
  (1)ホーム・ネットワークおよび社内ネットワークに対するファイアウォール。
  (2)パブリック・インターフェイスに対するファイアウォール。


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