Windowsでsshクライアント「PuTTY」を使うTech TIPS

Linux/UNIX系のOSやホスティングサービスのシステムなどをリモートから管理する場合、sshをサポートした端末ソフトウェアが必要だ。Windows環境でよく使われるsshクライアント「PuTTY」を紹介する。

» 2016年09月14日 05時00分 公開
[打越浩幸デジタルアドバンテージ]
「Tech TIPS」のインデックス

連載目次

対象ソフトウェア:Putty



解説

 TIPS「WindowsのTelnetクライアントの使い方」では、Windows OSに標準で用意されているTelnetクライアントソフトウェアのインストール方法や使い方を説明した。Telnetを使えば、(主に)LinuxやUNIXなどにログインして、リモートからシステムを操作したり、サーバプロトコルのデバッグを行ったりできる。

 だが、リモートシステムにログオンする場合(特にインターネット上のサービスを利用する場合)、現在ではtelnetプロトコルではなく、通信内容を暗号化するsshの利用が求められていることがほとんどである。Windows標準のTelnetクライアントはsshをサポートしておらず、このような目的のためには利用できない。

 Windows上でsshプロトコルによるリモートログインを行いたい場合は、サードパーティー製のsshクライアントソフトウェアが必要である。

 Windows向けのssh/telnetクライアントソフトウェアとして、日本でよく使われているものとしては「PuTTY」や「Tera Term」「Poderosa」などがある。本TIPSではPuTTYについて紹介する。

PuTTYでssh接続する PuTTYでssh接続する
Windows向けのsshクライアントとしてよく使われているPuTTY。Linux/UNIX系のサーバやクラウドサービス、ホスティングサービスなどをリモートから管理するには、このようなsshをサポートしたCUIのターミナルエミューレータが必須だ。Windows標準のtelnetクライアントと比較すると、非常に高速・軽快である。単なるtelnet端末やシリアル通信端末としても利用できる。

 「PuTTY]は、Simon Tatham氏が開発した、オープンソースの端末エミュレータソフトウェアである。sshプロトコルだけでなく、telnetやrlogin、シリアルポート通信などにも対応している。ただしオリジナルバージョンでは欧文文字しか表示できないので、日本語表示を可能にしたバージョンがいくつか開発されている。

 本TIPSでは、PuTTY-ranvis版の利用方法を紹介する。Windows標準のtelnetよりも高速・高機能なので、sshだけでなく、telnet端末ソフトウェアとしても快適に利用できる。

操作方法

●日本語化されたPuTTYのダウンロードとインストール

 PuTTYのオリジナルの最新版は、原稿執筆時点ではVer.0.67である。これを日本語化したものが以下のページで提供されている。

 「ダウンロード」のリンク先から最新版のZIPファイルをダウンロードして適当なフォルダへ展開し、必要ならばショートカットを作成してスタートメニューなどにも登録しておく。英語版をインストールしておく必要はなく、このZIPファイルだけで日本語化されたPuTTYとして利用できる。putty.exeがPuTTYの本体、puttygen.exeが「PuTTY Key Generator(ssh用の鍵ペア生成アプリ)」である。

 手動で展開したりショートカットを作成したりするのが面倒なら、オリジナルの英語版をいったんインストールしてから日本語版のファイルを「上書き」してもよい。

 上のページにあるインストーラ(putty-0.67-installer.msi)をダウンロードして、まず英語版PuTTYをインストールする。

PuTTYのインストーラ画面 PuTTYのインストーラ画面
英語版のインストールを使って一度全部インストール後、PuTTY-ranvis版のファイルを上書きコピーすると、[スタートメニュー]への登録などを行ってくれるので便利である。だがいちいちインストールしなくても、PuTTY-ranvis版のZIPファイルをどこかに展開して、そこから直接実行してもよい。
  (1)デフォルトのインストール先フォルダ。

 英語版のインストール後、PuTTY-ranvis版のZIPに含まれるファイル(〜.exeや〜.ini)やフォルダ(Japaneseフォルダ)をインストール先のフォルダに「すべて上書き」する。

 以上、いずれの方法でインストールしてもよいが、最後にインストール先のJapaneseフォルダにある3つの「〜.lng」という言語リソースファイルを、putty.exeファイルのある場所(1つ上のフォルダ)へ全部コピーしておく。さもないとダイアログやメッセージが英語のままになり、日本語で表示されない。

日本語リソースファイルのコピー 日本語リソースファイルのコピー
PuTTY-ranvis版のJapaneseフォルダに含まれている3つの言語リソースファイルをコピーしておく。
  (1)Japaneseフォルダには「〜.lng」ファイルが3つあるので、それをPuTTYのインストール先へコピーしておく。

●PuTTYでsshのサーバに接続する

 Putty.exeを起動すると、次のような画面が表示される。ダイアログメッセージが英語の場合は「〜.lng」というファイルが正しくコピーされていないので、再確認すること。

PuTTYの起動画面 PuTTYの起動画面
PuTTYを起動すると、最初にこのような画面(接続先指定と端末設定を1つにまとめた画面)が表示される。
  (1)接続先情報をここに入力する。
  (2)接続先ポート番号。sshはTCPの22番。
  (3)接続タイプの指定。sshだけでなく、telnetやrlogin、シリアル通信、Raw(何も変換せずそのまま通信する)がサポートされている。
  (4)デフォルトの設定はここに保存されている。接続先ごとに文字コードや画面サイズの設定を「保存」しておくことができる。
  (5)接続先を指定後、これをクリックすると、接続が開始される。

 sshサーバにパスワード認証方式で接続するには、[接続タイプ]を[SSH]にして、接続先のホスト名やIPアドレスを入力し、[開く]ボタンをクリックする。

 正しく接続できると次のような画面が表示されるはずである。

セキュリティ警告画面 セキュリティ警告画面
telnetだと、リモートのサーバに接続すればすぐにログイン画面(ログインプロンプト)が表示される。だがsshによる通信では、最初に相手側サーバとの間に暗号化通信路を開設するかどうかのネゴシエーションが行われる。この画面は、そのネゴシエーションをするかどうかの許可を求める画面。
  (1)今まで接続したことがないサーバ(キャッシュされていないサーバ)に接続しようとすると、この確認画面が表示される。
  (2)これをクリックすると通信路が開設され、相手先の情報がローカルにキャッシュされる。一度キャッシュされると、以後は問い合わせは行われない。
  (3)キャッシュせずに通信する。次回接続しようとすると、またこの確認画面が表示される。
  (4)通信をキャンセルする。

 最初の1回はこのようなセキュリティの確認画面が表示されるので、[はい]をクリックして先へ進める。

 するとターミナル画面が表示されるので、ユーザー名とパスワードを入力してログインする。

PuTTYによるsshログイン PuTTYによるsshログイン
通信路が確立できたら、後は通常通りにユーザー名とパスワードを入力してログインする。
  (1)ログイン名の入力。
  (2)パスワードの入力。

 SSHのログイン方式には、以上のようなパスワード認証方式の他にもう1つ、公開鍵認証を使う方式がある。具体的には、PuTTYgenツールを使って最初に暗号鍵ペアを作り、それを使ってログインする。詳細についてはTIPS「公開鍵認証でSSH2サーバにログインする(PuTTY編)」を参照していただきたい。

●PuTTYの設定を変更する

 PuTTYの画面設定や文字コード、フォントサイズ、設定などを変更したければ、ウィンドウ左上のアイコンをクリックしてメニューを表示させて操作する。Windows標準のtelnetと違ってUTF-8もサポートされているので、UNIX/Linux系のOSにも問題なく接続して利用できる。

PuTTYの設定変更や特殊操作 PuTTYの設定変更や特殊操作
PuTTYの設定は左上のメニューから変更できる。
  (1)ここをクリックするとメニューが表示される。
  (2)BreakやSIGNALなど、特殊なコマンドを送信する。
  (3)別のホストに接続したい場合はこれを実行する。
  (4)設定画面を表示させたり、設定に名前を付けて保存したりするには、これをクリックする。

●接続先設定の保存

 PuTTYの設定(文字フォントや文字コード、その他の設定)は、接続先ごとに変更できる。設定を変更後、セッションの保存画面(最初の画面「PuTTYの起動画面」参照)で名前を付けて保存しておけば、次回からはその設定が自動的に適用される。

PuTTY設定の保存 PuTTY設定の保存
接続先ごとにフォントや文字コード、その他の設定を変更して保存しておくと、次回起動時にすぐに呼び出せる。
  (1)設定画面で[セッション]を選択する。
  (2)設定の保存名。
  (3)これをクリックすると設定が保存される。

■更新履歴

【2016/09/14】「PuTTYごった煮」版がすでに開発終了しているので、「PuTTY-ranvis」版をベースに内容を更新しました。

【2010/06/25】初版公開。「PuTTYごった煮」版をベースに解説。


「Tech TIPS」のインデックス

Tech TIPS

Copyright© Digital Advantage Corp. All Rights Reserved.

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

AI for エンジニアリング
「サプライチェーン攻撃」対策
1P情シスのための脆弱性管理/対策の現実解
OSSのサプライチェーン管理、取るべきアクションとは
Microsoft & Windows最前線2024
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。