急速なビジネスの変化に対応できる「BRMS」の常識企業システムの常識をJBossで身につける(終)(4/4 ページ)

» 2010年11月18日 00時00分 公開
[佐脇愛史, 相原淳, 多田丈晃, 上川伸彦株式会社ビーブレイクシステムズ]
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実行されるルールの中身をGuvnor上で確認

 Navigateメニューの「Package snapshots」セクションを開き、ツリー「Package snapshots/mortgages/TEST」を選択し、スナップショット画面を開きます。「スナップショット」とはGuvnor上にデプロイされたルールを指します。

図16 スナップショット画面 図16 スナップショット画面

ルール一覧の取得

 ここで表示されるパッケージツリーの「mortgages/Business rule assets」を選択します。すると、このスナップショットで使用するルールが一覧で表示されます。

図17 ビジネスルールの一覧 図17 ビジネスルールの一覧

 ルールの左にアイコンが付いています。これはルールの種類を表しています。「Pricing loans」は決定テーブルを表し、それ以外はビジネスルールを表しています。

表3 サンプルにあるルールの種類
アイコン ルールの種別 内容
ビジネスルール 入力値が指定した条件に合致する場合、指定した処理を実行
決定テーブル 表でルールを定義し、入力項目が共通する複数の条件を定義し、それぞれに結果を定義するルール。Guvnor上で設定する以外にExcelシートでの作成もサポートされている

ビジネスルールの中身

 では、ビジネスルールの「Bankruptcy history」を開いてみます。

図18 ビジネスルールの例 図18 ビジネスルールの例図18 ビジネスルールの例

 このビジネスルールは、LoanApplicationの別名を「a」として定義し、「Bankruptcy(破産情報)」が存在し、かつ「yearOfOccurrence(発生日)」が1990以降、かつ「amountOwed(借入金)」が10000以上の場合、LoanApplicationの「approved(審査結果)」にfalseを設定し、「explanation(説明)」に、審査に落ちた理由を設定します。そして最後に、「Retract」で実行しているセッション上からLoanApplicationを取り下げます。

 なお今回のサンプルでは、用意されているすべてのビジネスルールの条件に合致しません。そのため、ビジネスルールは適用されません。

決定テーブルの中身

 次に、決定テーブルの「Pricing loans」を開きます。

図19 決定テーブルの例 図19 決定テーブルの例

 この決定テーブルでは借入金額、借入期間、収入源、頭金から融資の審査を行っています。表にある矢印の左側が条件になり、合致する行があると矢印の右側の値が設定されます。サンプルでは2行目の条件に合致するので、2行目の結果が実行結果として表示されています。

企業を取り巻く環境は“変化”し、システムは“進化”する

 今回は、BRMS・ESB・SOAの常識について説明しました。今後、読者の皆さんがビジネスルールに携わることになったら、ここでの知識を少しでも生かしていただければと思います。

 本連載も、今回で最後となりました。全体を通じて、「エンタープライズをターゲットとしたオープンソースのソフトウェアからイロハを学ぶ」というアプローチで、企業システムの全体像を把握できたかと思います。

 しかし、今回冒頭でお話ししたように、企業を取り巻く環境は急速に“変化”し、それに対応するための企業システムは“進化”し続けています。JBossも例外ではありませんし、ほかのソフトウェアプロダクトも同じ状況といえます。新しいプロダクト、新しいコンポーネント、新しい機能がリリースされますし、既存部分もブラッシュアップされていくことでしょう。それはまさに、企業システムが進化していることにほかなりません。

 本連載は、「現時点での」企業システムの常識といえます。そのため、企業システムの進化に従って、使う側の知識も更新していくことが求められるかと思います。その際には、本連載の内容、アプローチ方法を参考にしていただけると幸いです。

筆者紹介

2008年より株式会社ビーブレイクシステムズに在籍

佐脇 愛史(さわき なるふみ)

長年の保守業務から更なるスキルアップを目指し現在に至る。ユーザー目線でシステムの使いやすさを第一に考えたシステムの設計、開発を日々課題とする


筆者紹介

株式会社ビーブレイクシステムズ開発部所属

相原 淳(あいはら じゅん)

専門分野:Webシステム開発・保守

2008年よりビーブレイクシステムズに在籍。

前職では、Javaを用いたWEB系のシステム開発や保守作業に従事。Javaの開発を行っていく中で、オープンソースに興味を持ち、その分野で活躍できるビーブレイクシステムズに転職し、現在に至る。


筆者紹介

2008年より、株式会社ビーブレイクシステムズに在籍

多田 丈晃(ただ たけあき)

システム開発の様々な工程を経験し、果ては新人研修まで担当したが、さらなる高みを目指してJavaとOSSに強いビーブレイクシステムズの門をたたく。

同僚の知識量と能力の高さに驚きつつ、日々研鑽を続けている。


筆者紹介

株式会社ビーブレイクシステムズ技術担当取締役

上川 伸彦(かみかわ のぶひこ)

RDB製品の開発、各種業界団体におけるXML/EDI標準の策定やSOA基盤の設計などに従事。最近は、ITコンサル業よりも、業務システムの構築に携わることが多く、お客さまからの無理難題と向き合う日々を送っている。


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